「NOT回路」の解説

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2019年07月28日 更新。
用語:NOT回路
読み:ノットかいろ
同義語・似た意味の言葉:NOTゲート論理反転回路論理否定回路インバータインバーター
このページで解説している他の用語:論理反転論理否定
概要

NOT回路は1入力1出力の二値論理回路の一種で、0を入力すると1を出力し、1を入力すると0を出力します。NOT回路はNOTゲート論理反転回路論理否定回路、あるいはインバータとも呼ばれます。また、NOT回路は、基本論理ゲートの一種です。

後述する様に、NOT回路は、入力信号から論理反転した信号を生成したり、正論理の信号と負論理の信号の変換に使われます。

図1、NOT回路の回路記号
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図1、NOT回路の回路記号

目次

1. NOT回路の回路記号、真理値表、および論理式 … 1ページ
2. 論理反転(論理否定) … 1ページ
2-1. 正論理回路における論理反転 … 1ページ
2-2. 負論理回路における論理反転 … 1ページ
3. 正論理信号と負論理信号の変換 … 1ページ
3-1. 正論理信号から負論理信号への変換 … 1ページ
3-2. 負論理信号から正論理信号への変換 … 1ページ
4. 論理圧縮に使えるNOT回路の性質 … 1ページ
4-1. 必ずLが入力されるNOT回路 … 1ページ
4-2. 必ずHが入力されるNOT回路 … 1ページ
4-3. 偶数個のNOT回路を従属に接続した場合の等価回路 … 1ページ
4-4. 奇数個のNOT回路を従属に接続した場合の等価回路 … 1ページ
5. NOT回路の性質を利用した論理圧縮の実例 … 1ページ
5-1. 準備(OR回路の性質の確認) … 1ページ
5-2. 例題1 … 1ページ
5-3. 例題2 … 1ページ
5-4. 例題1と例題2の補足 … 1ページ
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1.NOT回路の回路記号、真理値表、および論理式

NOT回路の回路記号を図1に、真理値表を表1に示します。

図1(再掲)、NOT回路の回路記号
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図1(再掲)、NOT回路の回路記号
表1、NOT回路の真理値表(真理値表期)
入力信号の真理値 出力信号の真理値
X Y
0 1
1 0

この様に、入力電圧と反対の真理値を出力する事から、「反対の」という意味を込めて、NOT回路という名称が用いられています。

NOT回路の入出力の電圧(LまたはH)の関係を真理値表で表すと、正論理の回路の場合も、負論理の回路の場合も、表2の様になります。

表2、NOT回路の真理値表(電圧表記)
入力電圧 出力電圧
X Y
L H
H L

論理回路を数式表記したのを論理式といいます。信号XをNOT回路に通した信号を、論理式で表すと、Xとなります。

図1の回路は、論理式で表すと、式(1)になります。

Y=X ・・・ 式(1)

参考1:NOT回路に通した信号全体に上線を付けます。例えばA+B(AとBの論理和)をNOT回路に通した場合、A+Bと表記します。

参考2:負論理の信号の名称に上線を付ける習慣は、NOT回路に通した信号の名前に上線を付けて表記する事に由来しています。

2.論理反転(論理否定)

NOT回路の持つ論理反転(あるいは論理否定)という基本的な性質を、正論理の回路の場合と負論理の回路の場合について、順に説明します。

2-1.正論理回路における論理反転

図2の様に、プッシュスイッチのボタンが押されている(プッシュスイッチがONになった)事を表すPRESSEDという正論理の信号をNOT回路に入力して、プッシュスイッチのボタンが押されていない(プッシュスイッチがOFFになった)事を表すRELEASEDという正論理の信号を生成する回路について考えます。

図2、正論理の信号をNOT回路で論理反転する回路の例
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図2、正論理の信号をNOT回路で論理反転する回路の例

プッシュスイッチは押しボタンスイッチとも呼ばれます。スイッチに押しボタンが付いており、ボタンを指で押すかどうかで、ONとOFFを切り替えます。図2に使われているプッシュスイッチの場合、ボタンを指で押すとスイッチがONになり、ボタンから指を離すとスイッチがOFFになります。

図中のVCCは電源電圧を表しています。これ以降の図においても、VCCは電源電圧を表すものとします。

参考:"pressed"という英単語は「押された」という意味の形容詞です。また"released"という英単語は「離された」という意味の形容詞です。

PRESSED信号は、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に偽(0)になり、ボタンが押されている時に真(1)になります。

PRESSED信号は正論理の信号ですから、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に電圧がLになり、ボタンが押されている時に電圧がHになります。

これらの事をまとめると、表3の様になります。

表3、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のPRESSED信号の真理値と電圧
スイッチの状態 真理値 電圧
ボタンが押ていない(スイッチOFF) 0(偽) L
ボタンが押されている(スイッチON) 1(真) H

確認のために図2の回路図を見ると、プッシュスイッチがOFFの場合は、PRESSED信号は抵抗によりプルダウンされるため、電圧が実際にLになる事が分かります。

また、プッシュスイッチがONの場合は、PRESSED信号はプッシュスイッチを介してVCCに接続されるため、電圧が実際にHになる事が分かります。

一方で、RELEASED信号は、PRESSED信号とは逆に、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に真(1)になり、ボタンが押されている時に偽(0)になります。

RELEASED信号も正論理の信号ですから、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に電圧がHになり、ボタンが押されている時に電圧がLになります。

これらの事をまとめると、表4の様になります。

表4、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のRELEASED信号の真理値と電圧
スイッチの状態 真理値 電圧
ボタンが押ていない(スイッチOFF) 1(真) H
ボタンが押されている(スイッチON) 0(偽) L

表3と表4とを比較すると、PRESSED信号とRELEASED信号は、対立する概念を表現する信号である事が分かります。すなわち、PRESSED信号が0の時はRELEASED信号は1になり、PRESSED信号が1の時はRELEASED信号は0になります。PRESSED信号とRELEASED信号が共に0になったり1になったりする事はありません。

スイッチの状態とPRESSED信号やRELEASED信号の電圧の関係を1つの表で対比できるようにすると、表5の様になります。

表5、スイッチの状態とPRESSED信号やRELEASED信号の電圧の関係
スイッチの状態 PRESSED信号の電圧 RELEASED信号の電圧
ボタンが押ていない(スイッチOFF) L H
ボタンが押されている(スイッチON) H L

この表で、「PRESSED信号の電圧」を「X」(NOT回路の入力電圧)と読み替え、「RELEASED信号の電圧」を「Y」(NOT回路の出力電圧)と読み替えると、表2に示したNOT回路の真理値表が得られますから、PRESSED信号をNOT回路に入力すると、RELEASED信号が得られる事が分かります。

この様にして、図2の回路において正しくPRESSED信号からRELEASED信号が得られる事が確認できました。

この例で分かる様に、NOT回路は、ある信号を入力すると、入力信号と対立した概念を表す信号を出力します。NOT回路のこの様な作用を論理反転あるいは論理否定と呼びます。

2-2.負論理回路における論理反転

前節ではNOT回路の入力信号と出力信号が共に正論理の場合を取り上げましたが、入力信号と出力信号が共に負論理の場合も、NOT回路で論理反転が行えます。

図3の様に、プッシュスイッチのボタンが押されている事を表すPRESSEDという負論理の信号をNOT回路に入力して、プッシュスイッチのボタンが押されていない事を表すRELEASEDという負論理の信号を生成する回路について考えます。

図3、負論理の信号をNOT回路で論理反転する回路の例
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図3、負論理の信号をNOT回路で論理反転する回路の例
この回路図の書き方も間違いではありませんが、後に出てくる図5の回路図の方が一般的です。

PRESSED信号は、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に偽(0)になり、ボタンが押されている時に真(1)になります。PRESSEDが負論理の信号である事に注意して、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のPRESSED信号の真理値と電圧の関係を表にすると、表6の様になります。

表6、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のPRESSED信号の真理値と電圧
スイッチの状態 真理値 電圧
ボタンが押ていない(スイッチOFF) 0(偽) H
ボタンが押されている(スイッチON) 1(真) L

確認のために図3の回路図を見ると、プッシュスイッチがOFFの場合は、PRESSED信号は抵抗によりプルアップされるため、電圧が実際にHになる事が分かります。

また、プッシュスイッチがONの場合は、PRESSED信号はプッシュスイッチを介してGNDに接続されるため、電圧が実際にLになる事が分かります。

RELEASED信号は、プッシュスイッチのボタンが押されていない時に真(1)になり、ボタンが押されている時に偽(0)になります。RELEASEDが負論理の信号である事に注意して、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のRELEASED信号の真理値と電圧の関係を表にすると、表7の様になります。

表7、スイッチのボタンが押されていない時と押されている時のRELEASED信号の真理値と電圧
スイッチの状態 真理値 電圧
ボタンが押ていない(スイッチOFF) 1(真) L
ボタンが押されている(スイッチON) 0(偽) H

表6と表7を見比べると、PRESSED信号がLの場合はRELEASED信号がHになり、PRESSED信号がHの場合はRELEASED信号がLになるので、PRESSED信号をNOT回路に入力すれば、RELEASED信号が得られる事が分かります。

この様に、負論理の回路の場合でも、論理反転(対立する概念を表す信号への変換)ができる事が確認できました。

なお、負論理の回路においてNOT回路で論理反転する場合は、NOT回路の回路記号として図4の記号を使う場合がよくあります。

図4、負論理の回路で論理反転を行う場合によく使われるNOT回路の回路記号
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図4、負論理の回路で論理反転を行う場合によく使われるNOT回路の回路記号

図4の記号を用いて図3の回路を描き直すと、図5の様になります。

図5、図4の回路記号を用いて図3の回路図を描き直した物
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図5、図4の回路記号を用いて図3の回路図を描き直した物

3.正論理信号と負論理信号の変換

NOT回路を使うと、同じ概念を表す正論理の信号と負論理の信号を変換できます。正論理信号を負論理信号に変換する場合と、負論理信号を正論理信号に変換する場合を、順に説明します。

3-1.正論理信号から負論理信号への変換

図6の様に、プッシュスイッチのボタンが押されている事を表すPRESSEDという正論理の信号を、NOT回路を用いて、負論理のPRESSEDという信号に変換する回路について考えます。

図6、正論理信号をNOT回路で負論理信号に変換する回路の例
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図6、正論理信号をNOT回路で負論理信号に変換する回路の例

PRESSED信号は、スイッチのボタンが押されている事を表す正論理の信号ですから、ボタンが押されていない時に真理値が偽(0)で、電圧がLになり、ボタンが押されている時に真理値が真(1)で、電圧がHになります。

図6の回路図の左側の、プッシュスイッチと抵抗の直列回路により実際にPRESSED信号が得られる事は、図2の回路の場合と同様の考察で理解できます。

一方でPRESSED信号は、PRESSED信号と同様、スイッチのボタンが押されている事を表す信号ではありますが、負論理の信号ですから、ボタンが押されていない時に真理値が偽(0)で、電圧がHになり、ボタンが押されている時に真理値が真(1)で、電圧がLになります。

スイッチの状態と、PRESSED信号やPRESSED信号の真理値や電圧を対比した表が表8です。

表8、スイッチの状態と、PRESSED信号やPRESSED信号の真理値や電圧を対比した表
スイッチの状態 PRESSED PRESSED
真理値 電圧 真理値 電圧
ボタンが押されていない(スイッチOFF) 0(偽) L 0(偽) H
ボタンが押されている(スイッチON) 1(真) H 1(真) L

この表から、PRESSED信号とPRESSED信号とでは、電圧が反対になっている(LHが入れ替わっている)事が分かります。

よって、図6の回路の様に、正論理のPRESSED信号をNOT回路に入力すれば、負論理のPRESSED信号が得られる事が分かります。

この例から分かる様に、NOT回路には、正論理の信号を、同じ概念を表す負論理の信号に変換する作用があります。

3-2.負論理信号から正論理信号への変換

図7の様に、プッシュスイッチのボタンが押されている事を表すPRESSEDという負論理の信号を、NOT回路を用いて、正論理のPRESSEDという信号に変換する回路について考えます。

図7、負論理の信号をNOT回路で正論理に変換する例
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図7、負論理の信号をNOT回路で正論理に変換する例
この回路図の書き方も間違いではありませんが、後に出てくる図9の回路図の方が一般的です。

PRESSED信号は、スイッチのボタンが押されている事を表す負論理の信号ですから、ボタンが押されていない時に真理値が偽(0)で、電圧がHになり、ボタンが押されている時に真理値が真(1)で、電圧がLになります。

図7の回路図の左側の、抵抗とプッシュスイッチの直列回路により実際にPRESSED信号が得られる事は、図3の回路の場合と同様の考察で理解できます。

一方でPRESSED信号は、PRESSED信号と同様に、プッシュスイッチのボタンが押されている事を表す信号ですが、正論理の信号なので、ボタンが押されていない時に真理値が偽(0)で、電圧がLになり、ボタンが押されている時に真理値が真(1)で、電圧がHになります。

スイッチの状態と、PRESSED信号やPRESSED信号の真理値や電圧を対比した表が表9です。

表9、スイッチの状態と、PRESSED信号やPRESSED信号の真理値や電圧を対比した表
スイッチの状態 PRESSED PRESSED
真理値 電圧 真理値 電圧
ボタンが押されていない(スイッチOFF) 0(偽) H 0(偽) L
ボタンが押されている(スイッチON) 1(真) L 1(真) H

注:表8と表9とは、同じ内容を表しています。

この表から、PRESSED信号とPRESSED信号とでは、電圧が反対になっている(LHが入れ替わっている)事が分かります。

よって、図7の回路の様に、負論理のPRESSED信号をNOT回路に入力すれば、正論理のPRESSED信号が得られる事が分かります。

この例から分かる様に、NOT回路には、負論理の信号を、同じ概念を表す正論理の信号に変換する作用があります。

NOT回路を負論理信号から正論理信号への変換に用いる場合には、図8に示す回路記号を使う事がよくあります。

図8、負論理信号を正論理信号に変換する目的でNOT回路を使う場合によく使われるNOT回路の回路記号
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図8、負論理信号を正論理信号に変換する目的でNOT回路を使う場合によく使われるNOT回路の回路記号

この回路記号を使って図7を描き直すと、図9の様になります。

図9、図8の回路記号を使って図7の回路図を描き直した物
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図9、図8の回路記号を使って図7の回路図を描き直した物

4.論理圧縮に使えるNOT回路の性質

論理回路を論理圧縮する場合に利用できる、NOT回路の性質をいくつか説明します。

注:論理圧縮とは、なるべく少ない基本論理ゲートを用いた、元の回路と等価な論理回路を求める事を指します。

4-1.必ずLが入力されるNOT回路

図10に示す様に、必ずLが入力されるNOT回路の出力は、必ずHになります。

図10、必ずLが入力されるNOT回路
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図10、必ずLが入力されるNOT回路

4-2.必ずHが入力されるNOT回路

図11に示す様に、必ずHが入力されるNOT回路の出力は、必ずLになります。

図11、必ずHが入力されるNOT回路
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図11、必ずHが入力されるNOT回路

4-3.偶数個のNOT回路を従属に接続した場合の等価回路

図12に示す様に、2つのNOT回路を従属に接続した場合に、A点、B点、C点の電圧の関係を真理値表にすると表10の様になります。

図12、2つのNOT回路を従属に接続した回路
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図12、2つのNOT回路を従属に接続した回路
表10、図7の回路の真理値表
入力電圧 中間電圧 出力電圧
A B C
L H L
H L H

表10より、入力電圧Aと出力電圧Cは、同じ電圧になる事が分かります。

この事は、図12に示した2つのNOT回路を従属接続した回路が、図13に示すバッファ回路と等価である事を示しています。

図13、図12の回路に等価なバッファ回路
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図13、図12の回路に等価なバッファ回路

ここでバッファ回路は、表11の真理値表に示す様に、入力電圧と同じ電圧を出力する回路の事です。

表11、図8のバッファ回路の真理値表
入力電圧 出力電圧
A C
L L
H H

バッファ回路は、場合によってはA点とC点を結ぶ、ただの配線(図14参照)だと説明される事がありますが、バッファ回路とただの配線とは少し違います。

図14、端子Aと端子Cを結ぶ配線
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図14、端子Aと端子Cを結ぶ配線

図13のバッファ回路の場合、A点は必ず入力端子で、C点は必ず出力端子です。よって、図15の様に、C点にNOT回路(U3)の出力を接続したり、A点にNOT回路(U1)の入力端子を接続したりする事ができません。

図15、バッファ回路はC点からA点に信号を伝えられない
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図15、バッファ回路はC点からA点に信号を伝えられない

一方で、ただの配線なら、図16の様にC点にNOT回路(U2)の出力を接続し、A点にNOT回路(U1)の入力端子を接続し、C点からA点に信号を伝えられます。

図16、ただの配線ならC点からA点に信号を伝えられる
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図16、ただの配線ならC点からA点に信号を伝えられる

他にも、バッファ回路には、ただの配線にはない、電流増幅作用や波形整形作用があります。

次に、図17の上側の回路の様に、NOT回路を偶数個従属接続した場合を考えます。

図17、偶数個のNOT回路を従属に接続した回路の等価回路
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図17、偶数個のNOT回路を従属に接続した回路の等価回路

NOT回路を2つ従属接続した場合と同様の考察により、この回路が、図17の下側に示した様に、1つのバッファ回路と等価になる事が分かります。

4-4.奇数個のNOT回路を従属に接続した場合の等価回路

図18の様に、3つのNOT回路を従属に接続した場合を考えます。

図18、3つのNOT回路を従属に接続した回路
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図18、3つのNOT回路を従属に接続した回路

A点~D点の電圧の関係を真理値表にすると、表12の様になります。

表12、図13の回路の真理値表
入力電圧 中間電圧 出力電圧
A B C D
L H L H
H L H L

この真理値表から分かる様に、入力電圧AがLの時は出力電圧DがHになり、入力電圧AがHの時は出力電圧DがLになります。

この事は、NOT回路を3つ従属に接続した回路は、図19の様な、1つのNOT回路と等価である事を示しています。

図19、図18の回路に等価な回路
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図19、図18の回路に等価な回路

次に、図20の上側の回路の様に、NOT回路を奇数個従属接続した場合を考えます。

図20、奇数個のNOT回路を従属に接続した回路の等価回路
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図20、奇数個のNOT回路を従属に接続した回路の等価回路

NOT回路を3つ従属接続した場合と同様の考察により、この回路が図20の下側に示した様に、1つのNOT回路と等価になる事が分かります。

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5.NOT回路の性質を利用した論理圧縮の実例

それでは、前章で説明したNOT回路の性質を利用して、論理圧縮をしてみましょう。2つの例題の回路をあげ、実際に論理圧縮してみます。

5-1.準備(OR回路の性質の確認)

NOT回路の性質を利用しただけでは、複雑な回路を論理圧縮できませんから、次に示す、OR回路の性質も利用する事にします。

図21の様に、一方の入力にHが入力されたOR回路は、必ずHを出力します。

図21、一方の入力にHが入力されたOR回路
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図21、一方の入力にHが入力されたOR回路
OR回路の一方の入力がHだと、もう一方の入力Aの値にかかわらず、出力Bの電圧はHになります。

また、図22の左側の回路の様に、一方の入力にLが入力されたOR回路の出力には、もう一方の入力のAがそのまま出力されます。つまりこの回路は、図22の右側の回路の様に、バッファ回路と等価になります。

図22、一方の入力にLが入力されたOR回路
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図22、一方の入力にLが入力されたOR回路
OR回路の一方の入力にLが入力されていると、出力BにはAの電圧が出力されます。つまり、このOR回路は、Aを入力してBを出力するバッファ回路と等価です。

参考:OR回路の持つ図21や図22の性質は、OR回路の真理値表から簡単に証明できます。是非自分でこれらの性質を証明してみましょう。

5-2.例題1

それでは、例題1として、図23の回路を論理圧縮してみましょう。

図23、例題1で論理圧縮する回路
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図23、例題1で論理圧縮する回路

この回路にはNOT回路が5個、OR回路が3個ありますが、これら8個の基本ゲートに、U1~U8の部品番号を付けてあります。

この回路の入力は2つありますが、一方の電圧はHに固定されています。もう一方の入力にはAという信号名を付けています。

この回路の出力は1個で、Cという信号名を付けています。

今U2に注目すると、入力電圧が必ずHですから、図11に示したNOT回路の性質により、出力電圧はLになるはずです。この事により、U2を回路図より省く事ができます。実際にU2を省いた回路図を図24に示します。

図24、図23の回路からU2を省いた回路
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図24、図23の回路からU2を省いた回路

ここでU4に注目すると、OR回路の一方の入力にHが入力されていますから、図21に示したOR回路の性質により、U4の出力は必ずHになります。

またU5に注目すると、OR回路の一方の入力にLが入力されていますから、図22に示したOR回路の性質により、U5は、U3の出力とU7の入力をつなぐ配線に置き換えられます。

注:図24の回路では、信号がU3の出力端子からU7の入力端子に向けて伝わるので、U3の出力信号を入力したバッファ回路の出力をU7の入力端子に接続する事は、U3の出力端子とU7の入力端子を配線でつなぐ事と同じである事に注意してください。

これらの理由により、図24の回路からU4とU5を省くと図25の様な回路になります。

図25、図24の回路からU4とU5を省いた回路
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図25、図24の回路からU4とU5を省いた回路

ここでU6に注目すると、入力電圧が必ずHなので、図11に示したNOT回路の性質により、U6の出力電圧は必ずLになります。

またU1、U3、U7の3つのNOT回路について注目すると、3つのNOT回路が従属に接続されているため、図20に示したNOT回路の性質により、これら3つのNOT回路は1つのNOT回路に置き換えられます。今、U1とU3を省いてU7を残す事にします。

これらの理由により、図25の回路からU1、U3、U6の3つのNOT回路を省くと、図26の回路になります。

図26、図25の回路からU1、U3、U6の3つのNOT回路を省いた回路
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図26、図25の回路からU1、U3、U6の3つのNOT回路を省いた回路

ここでU8に注目すると、図22に示したOR回路の性質により、U8は、U7の出力とCを結ぶ配線に置き換えられる事が分かります。

図26の回路からU8を省くと、最終的に図27の様に、NOT回路が一つだけの回路が得られます。

図27、最終的に得られた図23の回路の論理圧縮の結果
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図27、最終的に得られた図23の回路の論理圧縮の結果
この回路は、図26の回路からU8を省く事により得られます。

5-3.例題2

例題2として、図28の様な回路を論理圧縮してみます。この回路は、例題1で論理圧縮した図23の回路で、Hを入力していた左上の端子に、今度は逆にLを入力した回路となっています。

図28、例題2で論理圧縮する回路
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図28、例題2で論理圧縮する回路
この回路と、例題1で論理圧縮した図23の回路とは、左上の端子にLを入力するかHを入力するかの違いを除けば、同じ回路です。

今U2に注目すると、図10に示したNOT回路の性質により、U2の出力電圧が必ずHになる事が分かります。

この理由により、図28の回路からU2を省くと、図29の回路になります。

図29、図28の回路からU2を省いた回路
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図29、図28の回路からU2を省いた回路

ここでU4に注目すると、図22に示したOR回路の性質により、U4を取り除いて、U1の出力を直接U6に入力しても、動作が変わらない事が分かります。

またU5に注目すると、図21に示したOR回路の性質により、U5の出力電圧が必ずHになる事が分かります。この事により、U5が回路から省けます。さらに、U3の出力電圧はU5の出力電圧に影響しないため、U3も回路から省けます。

これらの理由により、U3、U4、U5の3つを図29の回路図から省くと、図30の回路になります。

図30、図29の回路からU3、U4、U5の3つを省いた回路
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図30、図29の回路からU3、U4、U5の3つを省いた回路

ここでU1とU6に注目すると、図17に示したNOT回路の性質により、これら2つのNOT回路を回路から省き、AをU8の上側の入力端子に直接入力しても、回路の動作が変わらない事が分かります。

またU7に注目すると、図11に示したNOT回路の性質により、U7の出力電圧が必ずLになる事が分かります。

これらの理由により、図30の回路からU1、U6、U7の3つを省くと、図31の回路になります。

図31、図30の回路からU1、U6、U7の3つを省いた回路
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図31、図30の回路からU1、U6、U7の3つを省いた回路

ここでU8に注目すると、図22に示したOR回路の性質により、U8は、Aを入力とし、Cを出力とするバッファ回路に置き換えられる事が分かります。

この置き換え操作により、最終的に図32の様な回路が得られます。

図32、最終的に得られた図28の回路の論理圧縮の結果
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図32、最終的に得られた図28の回路の論理圧縮の結果
この回路は、図31の回路のU8を、バッファ回路に置き換えると得られます。

5-4.例題1と例題2の補足

図23(あるいは図28)の回路の左上の入力端子の電圧を、H(図23の場合)やL(図28の場合)に固定せずに、Bという信号名の信号にした、図33の様な回路について考えてみます。

図33、この節で考察する回路
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図33、この節で考察する回路

例題1により、Bの電圧がHの場合には、出力CはAになる事が分かっています。

また例題2により、Bの電圧がLの場合には、出力CはAになる事が分かっています。

これらの事から、図33の回路の真理値表を作成すると、次の様になります。

表13、図33の回路の真理値表
入力信号 出力信号
備考
A
B
C
L L L C=A
L H H C=A
H L H C=A
H H L C=A

この真理値表を見ると、図33の回路は、図34に示すXOR回路と等価である事が分かります。

図34、図33の回路の等価回路
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図34、図33の回路の等価回路
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