しなぷすのハード製作記

「74HC74」の解説

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2019年01月13日 更新。
用語:74HC74
読み:ななよんエッチシーななよん
同義語・似た意味の言葉:74HCT7474AC7474ACT7474LS74

概要

74HC74は、74HCシリーズの高速CMOSロジックICの一つで、ポジティブエッジトリガDフリップフロップを2個、14ピンパッケージに内蔵しています。各Dフリップフロップには、D端子やQ端子の他に、反転出力端子(Q端子)、独立したクロック端子、独立した負論理非同期クリア端子、および独立した負論理の非同期プリセット端子を備えています。

74HC74は、2つのDフリップフロップでクロックなどの信号を共有していないため、リップルカウンタなどを構成する事もでき、Dフリップフロップの動作原理を学習するのには最適なICです。

また、定番ICであり、電子工作を楽しむ個人にも入手しやすいのが74HC74の利点です。

IC内の全てのDフリップフロップでクロックを共有していい場合は、74HC175(4回路入り)、74HC174(6回路入り)、74HC273(8回路入り)などの使用を検討すると、使用するICや実装面積が減る可能性があります。

74HC74よりも入力電圧の閾値を下げてTTLと接続できるようにした74HCT74や、74HC74の高速版の74AC74、74HCT74の高速版の74ACT74、TTLの74LS74も、機能やピン配置は、このページで説明する74HC74と同じです。

74HC74の入手先を知りたい方は、このページの最後の購入ページの一覧表をご利用ください。

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ピン配置、等価回路および各端子の意味

74HC74のピン配置を図1に示します。

図1、74HC74のピン配置
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図1、74HC74のピン配置

注:このページは、TEXAS INSTRUMENTS社のSN74HC74のデータシートを参考に記述していますので、ピンの名称はそのデータシートに従っています。他社の互換ICの場合、ピン名称が異なる場合がある事に注意してください。

74HC74の等価回路を図2に示します。

図2、74HC74の等価回路
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図2、74HC74の等価回路

各端子の意味を、表1にまとめました。

表1、74HC74の各端子の意味
名称 意味
1CLK 1番目のDフリップフロップの、クロック信号の入力端子です。1CLR信号と1PRE信号が共にHの時に、1CLK信号が立ち上がる瞬間の1D端子の論理値を、1番目のDフリップフロップが記憶します。
1D 1番目のDフリップフロップの入力端子です。1CLR信号と1PRE信号が共にHの時に、1CLK信号が立ち上がる瞬間の1D端子の論理値を、1番目のDフリップフロップが記憶します。
1Q 1番目のDフリップフロップの出力端子です。1番目のDフリップフロップが記憶している論理値を出力します。
1Q 1番目のDフリップフロップの反転出力端子です。1番目のDフリップフロップが記憶している論理値を論理反転したものを出力します。
1CLR 1番目のDフリップフロップの、負論理の非同期クリア信号です。この端子がLになると、1番目のDフリップフロップに強制的にLを記憶させます。なお、1CLR端子と1PRE端子を同時にLにする事は推奨されません。
1PRE 1番目のDフリップフロップの、負論理の非同期プリセット信号です。この端子がLになると、1番目のDフリップフロップに強制的にHを記憶させます。なお、1CLR端子と1PRE端子を同時にLにする事は推奨されません。
2CLK 2番目のDフリップフロップの、クロック信号の入力端子です。2CLR信号と2PRE信号が共にHの時に、2CLK信号が立ち上がる瞬間の2D端子の論理値を、2番目のDフリップフロップが記憶します。
2D 2番目のDフリップフロップの入力端子です。2CLR信号と2PRE信号が共にHの時に、2CLK信号が立ち上がる瞬間の2D端子の論理値を、2番目のDフリップフロップが記憶します。
2Q 2番目のDフリップフロップの出力端子です。2番目のDフリップフロップが記憶している論理値を出力します。
2Q 2番目のDフリップフロップの反転出力端子です。2番目のDフリップフロップが記憶している論理値を論理反転したものを出力します。
2CLR 2番目のDフリップフロップの、負論理の非同期クリア信号です。この端子がLになると、2番目のDフリップフロップに強制的にLを記憶させます。なお、2CLR端子と2PRE端子を同時にLにする事は推奨されません。
2PRE 2番目のDフリップフロップの、負論理の非同期プリセット信号です。この端子がLになると、2番目のDフリップフロップに強制的にHを記憶させます。なお、2CLR端子と2PRE端子を同時にLにする事は推奨されません。
VCC 電源端子です。74HC74、および74AC74の場合は、この端子に2~6Vの範囲の電源を供給します。74HCT74、74ACT74および74LS74の場合は、この端子に5Vの電源を供給します。
GND グランド端子です。

動作の説明

詳しい説明は、この用語集のDフリップフロップのページをご覧ください。ここでは概要だけ説明します。

74HC74には2個のDフリップフロップが入っていますが、これらのDフリップフロップは全く同じ動作をするので、1番目のDフリップフロップ(信号名が"1"で始まるフリップフロップ)の真理値表のみを、表2に示します。

表2、74HC74のDフリップフロップの真理値表
入力信号 出力信号 動作
1CLR 1PRE 1CLK 1D 1Q 1Q
L H X X L H 非同期クリア
H L X X H L 非同期プリセット
L L X X H H 禁止
H H L X 1q 1q 保持
H H H X 1q 1q
H H X 1q 1q
H H L L H 読み取り
H H H H L

ただし、表2には次の記号を使っています。

74HC74のタイミングチャートの例を図3に示します。2個のDフリップフロップの機能が同じため、1つ目のDフリップフロップのみのタイミングチャートを示します。

図3、74HC74のタイミングチャートの例
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図3、74HC74のタイミングチャートの例
図の中のXは、不定(LかHか分からない状態)を表します。「リセット」は「クリア」と同じ意味の言葉です。また「セット」は「プリセット」と同じ意味の言葉です。

未使用入力端子の処理

74HC74の機能を部分的に使わず、使用しない端子が生じる事があります。出力端子の場合は、使わない端子を単にオープンにする(どこにも接続しない)だけでいいのですが、未使用の入力端子は適切に処理する必要があります。この節では、未使用の入力端子の処理法について説明します。

Dフリップフロップを1つしか使わない場合の処理

74HC74には同機能のDフリップフロップが2つ内蔵されていますが、必要なDフリップフロップが1つだけの場合もあります。この場合、使わない方のDフリップフロップの端子の中で、処理すべき入力端子は、CLK、D、PREおよびCLRの4つです。一番簡単な処理方法は、これら4つの端子を全てVCCに接続して、Hを入力する事です。(図4参照)

図4、使わないDフリップフロップの入力端子の処理方法
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図4、使わないDフリップフロップの入力端子の処理方法
VCCは電源電圧を表しています。また、Q端子とQ端子に付いている×印は、どこにもつながっていない(オープンになっている)事を示しています。

参考:図4の通りではなくても、4つの入力端子がそれぞれVCCかGNDのどちらかに接続されていればいいのですが、PRECLRの両方を同時にGNDに接続するのは、Dフリップフロップを禁止状態にしてしまう事になるので、避ける方が無難でしょう。

後の仕様変更により、使っていなかったDフリップフロップを使う可能性があるならば、図5の様に数kΩ~1MΩ程度の適当な抵抗(回路の他の部分で使っている抵抗値を選ぶと部品調達が楽になる)で、VCCにプルアップするといいでしょう。

図5、現在は使わないが後の仕様変更で使用する可能性のあるDフリップフロップの入力端子の処理方法
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図5、現在は使わないが後の仕様変更で使用する可能性のあるDフリップフロップの入力端子の処理方法
VCCは電源電圧を表しています。また、Q端子とQ端子に付いている×印は、どこにもつながっていない(オープンになっている)事を示しています。

ユニバーサル基板に回路を組んだ場合は、比較的配線の変更は楽ですが、プリント基板に回路を組んだ場合は、VCCやGNDに直結した端子をVCCやGNDから切り離すのは面倒です。特に多層基板を使っており、VCCやGNDが内層にある場合は、端子をVCCやGNDから切り離すのは極端に難しくなります。

そういう場合は、図5の様に抵抗を介して端子をプルアップ(またはプルダウン)しておくと、端子からジャンパ線を飛ばすだけで、未使用だったDフリップフロップが使用できるようになります。

非同期クリアと非同期プリセットの一方もしくは両方を使わない場合の処理

非同期クリア端子と非同期プリセット端子の一方もしくは両方を使わない場合があります。その様な場合は、使用しない端子をVCCに接続して処理します。(図6~図8参照)

図6、非同期クリア端子を使わない場合の処理
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図6、非同期クリア端子を使わない場合の処理
図7、非同期プリセット端子を使わない場合の処理
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図7、非同期プリセット端子を使わない場合の処理
図8、非同期クリア端子と非同期プリセット端子の両方を使わない場合の処理
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図8、非同期クリア端子と非同期プリセット端子の両方を使わない場合の処理

D端子とCLK端子を使わない場合の処理

変わった使い方になりますが、D端子をCLK端子を使わずに、CLR端子とPRE端子のみを入力端子とすると、非同期のRSフリップフロップとして使用できます。(図9参照)

図9、D端子とCLR端子をVCCに接続して処理して作ったRSフリップフロップ
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図9、D端子とCLR端子をVCCに接続して処理して作ったRSフリップフロップ
図10、NAND回路2つで作ったRSフリップフロップ
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図10、NAND回路2つで作ったRSフリップフロップ

図9の回路は、図10に示す様にNAND回路2つで作ったRSフリップフロップと機能的に等価です(同じ真理値表になります)。図9あるいは図10のRSフリップフロップの真理値表を、表3に示します。

表3、図9あるいは図10のRSフリップフロップの真理値表
入力信号 出力信号 動作
R S Q Q
L H L H 非同期リセット
H L H L 非同期セット
H H q q 保持
L L H H 禁止

ただし、表3には次の記号を使っています。

電子工作に74HC74を使う場合の入手先

趣味の電子工作で74HC74、および同機能のIC(74AC74等)を使う方を想定して、インターネット上で購入できるサイトへのリンクを集めました。下の表で部品の型番をクリックすると、販売ページにジャンプします。

なお、この表は2018年12月時点での情報をまとめたものです。

ユニバーサル基板で試作する場合は、DIPパッケージの製品を購入してください。

表4、74HC74、および同機能のICの入手先
企業名・店舗名 部品の型番 パッケージ メーカー 備考
秋月電子 TC74HC74AP DIP 東芝 廃止品。
SN74HC74N DIP TEXAS INSTRUMENTS
GD74LS74A DIP Goldstar TTL。廃止品。
マルツ SN74HC74N DIP TEXAS INSTRUMENTS
TC74HC74AP(F) DIP 東芝
TC74HC74AF(F) SOP 東芝
TC74HCT74AP(F) DIP 東芝
TC74HCT74AF(F) SOP 東芝
TC74AC74P(F) DIP 東芝
TC74AC74F(F) SOP 東芝
TC74VHC74F SOP 東芝
TC74VHCT74AF(F) SOP 東芝
共立エレショップ 74HC74 DIP 各社 どのメーカーの製品が届くか分からないので、微妙な特性が問題になる場合は要注意。
74HC74 SOP 各社 どのメーカーの製品が届くか分からないので、微妙な特性が問題になる場合は要注意。
74VHC74 SOP 各社 どのメーカーの製品が届くか分からないので、微妙な特性が問題になる場合は要注意。
74LS74 DIP 各社 どのメーカーの製品が届くか分からないので、微妙な特性が問題になる場合は要注意。
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ISBN:978-4-7775-1941-5
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