2019年07月03日 | 更新。 |
クロック同期という言葉は、電気通信の方式の一種として使われる場合と、論理回路の構成法の一種として使われる場合とがありますが、ここでは前者の説明をします。
デジタル通信において、信号線で1(H)と0(L)からなる信号の列を順に送る場合、ある信号と、次の信号の境目のタイミングを伝える方法が重要になります。信号の送り手と受け手が、信号の境目のタイミングを共有することを同期といいます。同期のためのクロック信号用の信号線を、情報送信用の信号線とは別に設けて同期をとる方式をクロック同期といいます。
簡単な例を挙げて説明します。図1の様に、01101001という8ビットの信号を、0をL、1をHに対応させて、各ビットを1msごとに送信すると、図1の様な送信波形になります。
この波形を受信側が読み取るときに、仮に1.5msごとに1ビットの情報を読み取るとすると、図2の様に010101という6ビットの情報が読み取られてしまい、元々送信した信号とは別の情報が受け取られてしまう事になります。
この様に情報が誤って読みだされてしまうのは、各ビットを送信したタイミングに合わせて受信していないからです。このような状態を「同期が取れていない」状態と呼びます。
情報を正確に読みだすには、各ビットを送信したタイミングに合わせて受信すればよいのですが、この動作が実現できている状態を「同期が取れている」状態と呼びます。
送信側と受信側で同期を取るには、各ビットを送信したタイミングを、何らかの手段で送信側から受信側に伝える必要があります。この際に、各ビットを送信したタイミングを伝えるための、クロックと呼ばれる一定周期の信号を別に用意して、同期を取る方法が考えられます。この様に、クロックを使って同期を取る通信方式をクロック同期と呼びます。
図3が、信号線とは別にクロック用の線を用いた場合の、電圧波形になります。
信号は、クロックの立下りエッジに合わせて送信されている事がグラフより分かります。受信側が信号を読み取るには、クロックの立ち上がりのタイミングで信号を読み取ればいい事になります。
調歩同期と比較すると、クロック同期には次の様な特徴があります。
クロック同期を用いたシリアルバスの形式としては、SPIやI2Cが挙げられます。