しなぷすのハード製作記

「フィルタ回路」の解説

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2018年06月24日 更新。
用語:フィルタ回路
読み:ふぃるたかいろ
同義語・似た意味の言葉:フィルター回路フィルタフィルター濾波器
このページで解説している他の用語:ハイパスフィルタ高域通過濾波器ローカットフィルタHPFローパスフィルタ低域通過濾波器ハイカットフィルタLPFバンドパスフィルタBPFバンドエリミネーションフィルタ帯域阻止濾波器帯域阻止フィルタ帯域除去フィルタバンドストップフィルタBEFパッシブフィルタ受動フィルタアクティブフィルタ能動フィルタ

概要

フィルタ回路は単にフィルタあるいは濾波器(ろはき)とも呼ばれ、色々な周波数成分を含む信号から、目的の信号を含む周波数成分を取り出すために使われる電子回路の事を指します。

例として、高い周波数成分を取り出すハイパスフィルタについて説明します。

マイクでシンバルの音を録音したところ、再生するとハムノイズ(商用電源の周波数のノイズ。東日本なら50Hz。西日本なら60Hz)が入っていたと仮定します。この時の信号の周波数成分を表わしたのが図1です。シンバルの音は数kHz~十数kHzの高い周波数帯域(周波数の範囲)に分布しています。一方で、ハムノイズは50Hz(東日本の場合)と低い周波数です。

図1、録音した信号の周波数成分
図1、録音した信号の周波数成分

後述するハイパスフィルタを使うと、設定した周波数以下の成分を減衰させる事ができます。つまり、設定した周波数が適切であれば、ハムノイズのみを減衰させて、シンバルの音のみを取り出す事ができるのです。

信号を通過する周波数帯域を通過帯域といいます。また信号を減衰させる周波数帯域を阻止帯域といいます。高い周波数の成分のみを通過させるハイパスフィルタは、阻止帯域よりも高い周波数側に通過帯域があるフィルタと考える事ができます。

通過帯域と阻止帯域の境目の周波数をカットオフ周波数と呼びます。図2は通過帯域、阻止帯域およびカットオフ周波数の関係を示した図です。

図2、阻止帯域と通過帯域とカットオフ周波数の関係
図2、阻止帯域と通過帯域とカットオフ周波数の関係

図2のグラフの縦軸は、利得といい、フィルタ回路の出力電圧をフィルタ回路の入力電圧で割ったものです。利得は、信号の通過しやすさを表わしています。利得が1なら信号は完全にフィルタ回路を通過し、利得が0なら信号は完全にフィルタ回路で減衰してしまいます。

フィルタ回路で効率よく不要な周波数成分(ノイズ)を減衰させるためには、図2の青線で示した特性を持つフィルタ回路があれば理想的です。しかし現実的には、カットオフ周波数より少しでも通過帯域寄りの周波数なら完全に信号を通過し、カットオフ周波数より少しでも阻止帯域寄りの周波数なら完全に信号を減衰する様な、鋭い特性のフィルタ回路を実現する事はできません。現実のフィルタ回路は、図2の赤線で示した様な、カットオフ周波数付近で少しなまった特性になるのです。

この様に、現実のフィルタ回路では、通過帯域と阻止帯域の境界があいまいになります。そこで便宜上、利得が通過帯域の平坦部の1/√2(約0.707。デシベル値に換算すれば-3dB)となる周波数をカットオフ周波数と呼ぶ事が多いです。そして、その様に定義したカットオフ周波数を境に、通過帯域と阻止帯域を区別します。

注:カットオフ周波数は、通過帯域の平坦部と比較して、信号電圧が1/√2倍になる周波数ですが、信号電力で考えると、1/2倍になる周波数です。

図1の例で考えると、50Hzと数kHzの間の周波数で、なおかつ50Hzにも数kHzにも近すぎない周波数(例えば1kHz)がカットオフ周波数のハイパスフィルタを使うと、上手くハムノイズだけ減衰させ、シンバルの音はほとんど損なわずに取り出す事ができます。

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取り出す周波数周波数によるフィルタ回路の分類

信号を取り出す周波数帯域の設定方法により、フィルタ回路は次の様に分類できます。

ハイパスフィルタ

ハイパスフィルタは、設定した周波数より低い周波数帯域の信号を減衰させ、高い周波数帯域の信号を取り出すフィルタ回路です。高域通過濾波器ローカットフィルタとも呼ばれます。また、High-Pass Filterの頭文字をとって、HPFと表記される事もあります。

ハイパスフィルタの例として、抵抗とコンデンサからなる、1次CRハイパスフィルタの回路図を図3に示します。またこの回路の周波数特性を図4に示します。

図3、1次CRハイパスフィルタの回路図
図3、1次CRハイパスフィルタの回路図
図4、1次CRハイパスフィルタの周波数特性の計算例
図4、1次CRハイパスフィルタの周波数特性の計算例

1次CRハイパスフィルタのカットオフ周波数fcは、次の数式で求まります。

式(1)・・・式(1)

例としてR=1[kΩ]、C=0.1[μF]として計算すると、fc=1.59[kHz]となります。図4の黒い線の特性のカットオフ周波数と一致している事が分かります。

ローパスフィルタ

ローパスフィルタは、設定した周波数より高い周波数帯域の信号を減衰させ、低い周波数帯域の信号を取り出すフィルタ回路です。低域通過濾波器ハイカットフィルタとも呼ばれます。また、Low-Pass Filterの頭文字をとって、LPFと表記される事もあります。

ローパスフィルタの例として、抵抗とコンデンサからなる、1次CRローパスフィルタの回路図を図5に示します。またこの回路の周波数特性を図6に示します。

図5、1次CRローパスフィルタの回路図
図5、1次CRローパスフィルタの回路図
図6、1次CRローパスフィルタの周波数特性の計算例
図6、1次CRローパスフィルタの周波数特性の計算例

1次CRローパスフィルタのカットオフ周波数fcは、1次CRハイパスフィルタの場合と同様、式(1)で求まります。

バンドパスフィルタ

バンドパスフィルタは、設定した2つの周波数の間の周波数帯域の信号のみを取り出すフィルタ回路です。帯域通過濾波器とも呼ばれます。また、Band-Pass Filterの頭文字をとって、BPFと表示される事もあります。

バンドエリミネーションフィルタ

バンドエリミネーションフィルタは、設定した2つの周波数の間の周波数帯域の信号のみを減衰させるフィルタ回路です。帯域阻止濾波器帯域阻止フィルタ帯域除去フィルタバンドストップフィルタとも呼ばれます。また、Band-Elimination Filterの頭文字をとって、BEFと表記される事もあります。

信号を減衰させる周波数帯域が特に狭いバンドエリミネーションフィルタの事を特に、ノッチフィルタと呼びます。

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使用する部品によるフィルタ回路の分類

フィルタ回路に用いる部品の種類により、フィルタ回路は次の様に分類できます。

パッシブフィルタ

抵抗、コンデンサ、コイルなど、受動部品だけで構成されたフィルタ回路をパッシブフィルタあるいは受動フィルタと呼びます。パッシブフィルタを通過した信号の電力は、パッシブフィルタの入力に接続した信号源から供給されます。そのため、パッシブフィルタは信号処理だけではなく、電源回路で雑音を取り除く用途などにも使用できます。

アクティブフィルタ

トランジスタなどの能動部品を含むフィルタ回路アクティブフィルタあるいは能動フィルタと呼びます。アクティブフィルタを通過した信号の電力のほとんどは、アクティブフィルタの入力に接続した信号源ではなく、アクティブフィルタ内の能動部品から供給されます。そのため、アクティブフィルタは信号処理には利用できますが、電源回路で雑音を取り除く用途などには、電力効率の点から利用できません。

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