2020年01月07日 | 更新。 |
ブリックサイズ(brick size)とは、主に通信機器業界でよく使われる、基板搭載型(オンボードタイプ)のDC/DCコンバータの、標準的なケースサイズの事です。基準となる1ブリック(1 brick)あるいはフルブリック(full brick)は長さ4.6インチ×幅2.4インチ×高さ0.5インチ(長さ116.8mm×幅61.0mm×高さ12.7mm)のケースを指します。
ブリックは元々レンガを表します。直方体のDC/DCコンバータがレンガの形に似ているので、それをケースの大きさの呼称に使ったのだと推察されます。(長さ4.6インチ×幅2.4インチ×高さ0.5インチは小ぶりのレンガです)
1ブリック、1/2ブリック、1/4ブリック、1/8ブリックなどと、DC/DCコンバータのケースに標準サイズを設ける事で、DC/DCコンバータのメーカー間の相互交換がしやすい様にするための、通信機器業界のデファクトスタンダードになっています。
1ブリック(フルブリック)以外にも、1/2ブリック(1/2 brick)またはハーフブリック(half brick)、1/4ブリック (1/4 brick)またはクオーターブリック(quarter brick)、1/8ブリック(1/8 brick)またはエイスブリック(eighth brick)という具合に、等比的に面積がおおよそ半分ずつに小さくなったケースサイズも使用されます。
Power ElectronicsというサイトのPower Management, Chapter 4: Power Supply Packagesというページによると、標準的に使われるブリックサイズのDC/DCコンバータの寸法は、表1の様になっています。
種類 | 長さ | 幅 | 高さ |
---|---|---|---|
1ブリック | 4.60インチ(116.8mm) | 2.40インチ(61.0mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
3/4ブリック | 3.45インチ(87.6mm) | 2.40インチ(61.0mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
1/2ブリック | 2.40インチ(61.0mm) | 2.28インチ(58.4mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
1/4ブリック | 2.28インチ(58.4mm) | 1.45インチ(36.8mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
1/8ブリック | 2.28インチ(58.4mm) | 0.9インチ(22.9mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
1/16ブリック | 1.65インチ(41.9mm) | 0.8インチ(20.3mm) | 0.5インチ(12.7mm) |
注:表1の引用元にはインチ単位のサイズしか書かれていません。括弧つきで書いたmm単位のサイズは、筆者がインチ単位の数字に25.4を掛け、小数点以下2桁目を四捨五入して計算しました。
注意しなければならないのは、製造元によって、同じブリックサイズの表記でも、インチサイズ(あるいはmmサイズ)で表わした大きさが、少し違う事です。
TDK Lambda UKの用語集のFull Brick、Half Brick、Quarter Brick、Eighth Brick、およびSixteenth Brickの各項目に載っているサイズをまとめた物を、表2に示します。
種類 | 長さ | 幅 |
---|---|---|
1ブリック | 116.8mm(4.6インチ) | 61mm(2.4インチ) |
1/2ブリック | 61mm(2.4インチ) | 57.9mm(2.28インチ) |
1/4ブリック | 57.9mm(2.3インチ) | 36.8mm(1.5インチ) |
1/8ブリック | 57.9mm(2.3インチ) | 22.8mm(0.9インチ) |
1/16ブリック | 33mm(1.3インチ) | 22.9mm(0.9インチ) |
注:表2においては、引用元に高さは記されていませんでした。また、長さと幅については、引用元にmm単位とインチ単位の数値が併記されていましたので、それをそのまま引用しています。
表2に基づき、1ブリックから1/16ブリックまでの相対的な大きさを比較した図を、図1に示します。また図1をクリックすると、A4サイズの実寸大のPDFファイルとして表示します。
この図は表2に基づいて、各ブリックサイズの長さと幅を示した物です。
この図は、個人または会社等の団体内で自由にご利用いただけますが、この図またはこの図を加工した図を2次配布する事は禁止します。クリックして表示/ダウンロードされるPDFファイルも、2次配布を禁止します。
1/4ブリックの2種類のDC/DCコンバータの外形図を比較してみます。
COSELのCHS700という型番のDC/DCコンバータの外形寸法図を、同製品のデータシートから引用した物を図2に示します。
TDKラムダのCN50A110-12という型番のDC/DCコンバータの外形寸法図を、同製品のデータシートから引用した物を図3に示します。
同じ1/4ブリックのDC/DCコンバータであるにも関わらず、CHS700のケースのサイズ(58.4mm×36.8mm)とCN50A110-12のケースのサイズ(57.9mm×36.8mm)が微妙に違うのも気になりますが、それ以上に、ピン配置が異なる点が、両DC/DCコンバータを置き換える際の障害になります。この様に、同じブリックサイズでも、ピン配置が違うDC/DCコンバータがあるので、置き換えの予定がある場合は、ピン配置を事前に良く調べる必要があります。