チップ部品のサイズとサイズの名称について

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2014年10月01日 図2および表2~4追加。
2020年03月23日 マルツでDigiKeyの部品を取り寄せられる事を追記。
1608サイズのチップセラミックコンデンサの例
1608サイズのチップセラミックコンデンサの例

目次

1. はじめに … 1ページ
2. JIS表記とEIA表記 … 1ページ
3. チップ部品の入手について … 1ページ
3-1. チップ抵抗の入手について … 1ページ
3-2. チップコンデンサの入手について … 1ページ
4. 基板のパッドの寸法について … 1ページ
5. 参考文献 … 1ページ

1.はじめに

小型の角型表面実装部品はチップ部品とも呼ばれます。チップ部品には、標準的に使われる長さと幅の組み合わせがJIS(日本工業規格)やEIA(電子工業会)で規格化されており、これにより異なる会社の製品でも、置き換えが容易にできるようになっています。またそれぞれの標準サイズには、例えば1608(1.6mm×0.8mm)のような、数字4桁(場合によっては5桁)の略称が定められています。

JISは日本の工業規格であり、EIAは米国の工業規格であることから、同じサイズを規格化しているにも関わらず、サイズの表記法がJISではmm単位、EIAではインチ単位と異なっています。日本ではmm単位で表わしたサイズの略称が使われる場合が多いですが、諸外国ではインチ表記が普通なので混乱の原因になっています。さらに、0603という略称は、JISでは0.6mm×0.3mmを表わすのに対し、EIAでは1.6mm×0.8mmを表わすという具合に、同一の略称をJISとEIAで別の解釈をする場合があるので、これがさらに事態を混乱させています。

この記事では、標準的に使われるチップ部品のサイズと、そのJISおよびEIAの略称について説明します。また、チップ部品の入手の方法や、基板のパッドのサイズについても、少し説明します。

2.JIS表記とEIA表記

さきほど述べたように、JISでは、チップ部品のサイズをmm表記し、それに基づいて数字4桁の略称を決めています。例えば1.0mm×0.5mmのサイズの略称は、それぞれの辺の長さを0.1mm単位で表わして、1005という略称を用います。1.6mm×0.8mmなら、1608という略称になります。

一方でEIAではサイズをインチ表記しますので、略称が変わってきます。例えば1.0mm×0.5mmは、インチ換算すると0.03937インチ×0.019685インチになりますので、それぞれの辺の長さを0.1インチ単位で表わして0402という略称になります。1.6mm×0.8mmは0.062992インチ×0.031496インチなので、0603という略称になります。

標準的に使われるチップ部品のサイズとJISおよびEIAの略称の表を次の表に示します。

表1、チップ部品のサイズとサイズの名称
長さ[mm] 幅[mm] JIS略称(mm表記) EIA略称(インチ表記) チップ抵抗の定格電力[W]
0.4 0.2 0402 01005 0.031 (1/32)
0.6 0.3 0603 0201 0.05 (1/20)
1.0 0.5 1005 0402 0.063 (1/16)
1.6 0.8 1608 0603 0.1 (1/10)
2.0 1.25 2012 0805 0.125 (1/8)
3.2 1.6 3216 1206 0.25 (1/4)
3.2 2.5 3225 1210 0.25 (1/4)
5.0 2.5 5025 2010 0.5 (1/2)
6.4 3.2 6432 2512 1

チップ抵抗の場合、サイズが大きくなるほど定格電力(消費させることのできる最大電力)が大きくなります。表1のチップ抵抗の定格電力の欄には、参考資料としてROHMのMCRシリーズの場合の定格電力を表記しました。別のメーカーのチップ抵抗の場合、定格電力が表1とは異なる場合がありますので、かならずお使いのチップ抵抗のデータシートをご確認ください。

3.チップ部品の入手について

アマチュアの電子工作愛好者がチップ抵抗やチップコンデンサなどの部品を部品屋で入手する場合、1608サイズや2012サイズ(共にJIS略称。以下、サイズは全てJIS略称)の部品が入手しやすいようです。1005サイズやそれより小さい部品は、手半田が難しいため、あまり使う機会がないでしょう。

以下、チップ抵抗やチップコンデンサをアマチュアの電子工作愛好者が入手する方法について、説明します。

3-1.チップ抵抗の入手について

秋月電子では、1608サイズの抵抗を2500個巻いたリールを500円で販売しています。(価格は2013年10月時点のもの)ある程度まとまった数を使う時には、これらのリールを使うと、1個当たり0.2円で抵抗が入手できることになります。ただし、抵抗値については良く使われる代表的なものしか扱っていません。

マルツでは、2012サイズの抵抗が10個単位で購入できます。E24系列の抵抗が全て揃っているようですので、確実に使いたい抵抗値が入手できます。ただし、10個で52円と、価格は高めです。(価格は2013年10月時点のもの)

共立エレショップでは、1608サイズの抵抗が比較的良く揃っています。また、20個単位で購入でき、少数買うのには便利ですが、単価が5円と高めです。(価格は2013年10月時点のもの)

小売店ではなく、チップワンストップのような商社を使うと、色々なサイズや抵抗値の抵抗が、(まとめ買いをすると)安く買えます。ただ、基本的に業者相手に商売をしているところなので、個人で利用するのはちょっと敷居が高く感じるかもしれません。(もちろん個人相手にも部品を売ってくれます) チップワンストップは送料が450円と秋月電子より安い上に、代引き手数料が相手持ち(客から見れば無料)なので、ちょっとした買い物にも利用しやすいです。部品価格は在庫状況によって日々変わります。また、社外在庫品も多く扱っており、納期が部品によりバラバラです。

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3-2.チップコンデンサの入手について

チップ抵抗の場合は、定格電力が一緒なら、抵抗値に関わらずサイズが一律なので、設計時にサイズを決めやすいのですが、コンデンサの場合は、定格電圧、容量、誘電体の種類の組み合わせでサイズが決まるので、サイズの決定は、抵抗よりも慎重に行う必要があります。実際には、部品を購入する予定の店で扱っているコンデンサを調べたり、メーカーが発行しているコンデンサのカタログを見て決めることになります。

秋月電子、マルツ、共立電子(共立エレショップ)といった小売店の場合、扱っているチップコンデンサの種類がかなり限られてきます。そのため、例えば「回路設計の教科書を参考にコンデンサの容量を決めたら、店で売っていなかった」といったことが頻繁に起こります。小売店を使う場合は、そこで扱っているコンデンサを使うことを前提に回路設計を行う必要があります。

色々な容量のコンデンサを自由に使いたい場合は、やはり商社から購入することになります。チップワンストップは日本の商社ですので、送料が安い点でお勧めです。海外に目を移すと、Digi-Key(アメリカ)やmouser(香港)が比較的利用しやすい商社として挙げられます。Digi-Keyもmouserも日本語のサイトがありますし、円建てで決済できます。海外の商社を使う場合は、部品のサイズの表記にJISではなくEIAの略称を用いている場合がほとんどですので注意が必要です。日本の商社を使うにせよ、海外の商社を使うにせよ、購入する部品の使用目的や納入先など、小売店で購入する時には尋ねられなかった事を、ユーザー登録時や購入時に質問されることがあります。

2020年3月23日追記

現在は、Digi-Keyで売っている部品をマルツで取り寄せて購入できる様になりました。Digi-keyから直接購入する方が、部品の単価が安いですが、マルツで買う方が、送料が安いです。安価な部品を少量買う場合は、マルツで買う方が安くなります。

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4.基板のパッドの寸法について

チップ抵抗にしろ、チップコンデンサにしろ、メーカーのデータシートには、基板設計時の推奨パッド(ランド)寸法が記載されています。

ROHMとKOAの2012サイズの抵抗、および村田製作所の2012サイズの積層セラミックコンデンサのリフロー半田付け時の推奨パッド寸法をデータシートで調べ、それに基づいて作図したら、次の図のようになりました。村田製作所のコンデンサの推奨パッドについては、寸法の推奨値が範囲を持って指定されていますので、範囲の中央値を用いて作図しています。図に書いてある寸法の単位はmmです。

図1、2012サイズのチップ部品のメーカー推奨パッド寸法の例
図1、2012サイズのチップ部品のメーカー推奨パッド寸法の例

図1の(a)と(b)を比較すると、同じ2012サイズの抵抗なのに、推奨パッド寸法が微妙に違うことが分かります。ただし、データシートに載っているのは、あくまで推奨の寸法なので、完全に寸法を合わせる必要はありません。ROHMの推奨パッド寸法で基板を設計し、そこにKOAの抵抗を実装しても、問題は発生しないと思われます。

また、データシートに載っているのは、リフローで半田付けする際の推奨パッド寸法ですが、半田ごてを使って手半田する場合は、パッドを長手方向に少し伸ばして、こてを当て易くする方が作業性が良く、そのようなパッドの延長も実際によく行われています。

しかし積層セラミックコンデンサの場合は、パッド寸法を抵抗の場合よりは厳格に考える方がいいと思います。セラミックはもろい材料なので、曲げたり伸ばしたりする力が加わると、簡単に割れてしまいます。パッドを大きくして半田の量が増えてしまうと、基板が湾曲した時にコンデンサに過大な力がかかり、割れの原因になるそうです。少なくとも、抵抗のパッド寸法をコンデンサに流用したり、手半田がし易くなるようにパッドの長さを極端に長くする事は避けるほうが無難です。

他のサイズのチップ部品についても、リフロー半田付け用のメーカー推奨パッドの寸法を表2(ROHM MCRシリーズチップ抵抗)、表3(KOA RK73シリーズチップ抵抗)、表4(村田製作所 GRMシリーズチップセラミックコンデンサ)に示します。寸法の凡例は図2をご覧ください。

図2、チップ部品のリフロー半田付けの推奨パッド寸法の凡例
図2、チップ部品のリフロー半田付けの推奨パッド寸法の凡例
表2、ROHM MCRシリーズのチップ抵抗のパッド寸法(リフロー)
チップ寸法(mm表記) チップ寸法(インチ表記) パッド寸法a
[mm]
パッド寸法b
[mm]
パッド寸法c
[mm]
備考
0402 01005 0.2 0.1 0.16 MCR004シリーズ
0603 0201 0.3 0.27 0.3 MCR006シリーズ
1005 0402 0.5 0.4 0.5 MCR01シリーズ
1608 0603 1.0 0.5 0.8 MCR03シリーズ
2012 0805 1.2 0.7 1.15 MCR10シリーズ
3216 1206 2.2 0.9 1.5 MCR18シリーズ
3225 1210 2.2 0.9 2.3 MCR25シリーズ
5025 2010 3.8 1.1 2.3 MCR50シリーズ
6432 2512 5.1 1.5 3.0 MCR100シリーズ
表3、KOA RK73シリーズのチップ抵抗のパッド寸法(リフロー)
チップ寸法(mm表記) チップ寸法(インチ表記) パッド寸法a
[mm]
パッド寸法b
[mm]
パッド寸法c
[mm]
備考
0402 01005 0.12 0.18 0.18 RK73B1Fシリーズ
0603 0201 0.25 0.225 0.3 RK73B1HシリーズRK73H1Hシリーズ
1005 0402 0.5 0.4 0.3 RK73B1EシリーズRK73H1Eシリーズ
1608 0603 1.0 0.5 0.6 RK73B1JシリーズRK73H1Jシリーズ
2012 0805 1.3 0.6 1.05 RK73B2AシリーズRK73H2Aシリーズ
3216 1206 2.2 0.9 1.4 RK73B2BシリーズRK73H2Bシリーズ
3225 1210 2.2 0.9 2.3 RK73B2EシリーズRK73H2Eシリーズ
5025 2010 3.3 1.4 2.3 RK73BW2Hシリーズ
5025 2010 3.5 1.4 2.3 RK73H2Hシリーズ
6432 2512 4.6 1.7 3.0 RK73BW3AシリーズRK73H3Aシリーズ
表4、村田製作所GRMシリーズのチップコンデンサのパッド寸法(リフロー)
チップ寸法(mm表記) チップ寸法(インチ表記) パッド寸法a
[mm]
パッド寸法b
[mm]
パッド寸法c
[mm]
備考
0402 01005 0.16​~​0.2 0.12​~​0.18 0.2​~​0.23 GRM02シリーズ
0603 0201 0.2​~​0.3 0.2​~​0.35 0.2​~​0.4 GRM03シリーズ
1005 0402 0.3​~​0.5 0.35​~​0.45 0.4​~​0.6 GRM15シリーズ
1608 0603 0.6​~​0.8 0.6​~​0.7 0.6​~​0.8 GRM18シリーズ
2012 0805 1.0​~​1.2 0.6​~​0.7 0.8​~​1.1 GRM21シリーズ
3216 1206 2.2​~​2.4 0.8​~​0.9 1.0​~​1.4 GRM31シリーズ
3225 1210 2.0​~​2.4 1.0​~​1.2 1.8​~​2.3 GRM32シリーズ
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5.参考文献

  1. ロームMCRシリーズ角型チップ抵抗器データシート(2014.04 - Rev.E)
  2. KOA RK73B角型チップ抵抗器データシート
  3. KOA RK73H角型チップ抵抗器(精密級)データシート
  4. KOA推奨ランド寸法データシート(Feb. 2014)
  5. 村田製作所チップセラミックコンデンサデータシート(C02J.pdf 10.12.20)

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