しなぷすのハード製作記

「カットオフ周波数」の解説

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2018年06月24日 更新。
用語:カットオフ周波数
読み:かっとおふしゅうはすう
同義語・似た意味の言葉:遮断周波数

概要

カットオフ周波数は、フィルタ回路において、通過帯域と阻止帯域の境目となる周波数の事です。カットオフ周波数は、遮断周波数とも呼ばれます。

フィルタ回路は、特定の周波数帯域の信号のみを通過し、それ以外の周波数帯域の信号を減衰させて、元々の信号から、好ましくない信号成分(ノイズ)を除去するために使われる回路です。

フィルタ回路において、信号を通過する周波数帯域を通過帯域といい、信号を減衰させる周波数帯域を阻止帯域といいます。通過帯域と阻止帯域の境目となる周波数がカットオフ周波数です。

有用な信号成分をなるべく残し、ノイズをなるべく減衰できるフィルタ回路の設計をするためには、フィルタの回路の構成を適切に選択する事と共に、カットオフ周波数を適切に設定する事が重要となります。カットオフ周波数は、フィルタ回路の特性を考える際に、最も重要な指標の一つとなります。

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より厳密な定義

ここで、低い周波数帯域を減衰し、高い周波数帯域を通過するハイパスフィルタを例に挙げて、もう少し詳しく説明します。

フィルタ回路を通過させたい信号と、フィルタ回路で減衰させたい信号の、周波数にあまり差がない場合、図1の青線で示した様な急峻な特性を持ったフィルタ回路を使う事が好ましいです。青線を見ると、カットオフ周波数を境目に、その周波数から少しでも高い周波数の成分は完全に通過させ(利得=1)、境目の周波数から少しでも低い周波数の成分は完全に減衰させる(利得=0)、理想的な特性になっている事が分かります。

図1、阻止帯域と通過帯域とカットオフ周波数の関係
図1、阻止帯域と通過帯域とカットオフ周波数の関係

しかしながら、現実のフィルタ回路では、この様な理想的な特性は得られません。現実のフィルタ回路は、図1の赤線で示した様な、カットオフ周波数の近辺でなだらかになった特性を持っています。

参考:図1の青線で示した様な理想的な特性のフィルタ回路を実際に作る事はできませんが、青線の特性に限りなく近づける事は理論的には可能です。その場合、特性を理想に近づけるほど回路の規模が大きくなります。また、特性を理想に近づけるほど群遅延時間(簡単に言うと、信号が入力されてから出力されるまでの時間)が長くなり、出力信号の遅れが問題になります。無限大の群遅延時間が必要になるため、完全に特性を理想的にする事は不可能です。

この様に、現実のフィルタ回路では通過帯域と阻止帯域の境界があいまいになります。境界があいまいだと、カットオフ周波数も厳密に定義できなくなります。

この様なあいまいさを避けるため、通常は、利得が通過帯域の平坦部の1/√2倍(約0.707倍)になる周波数(デシベル値で表わすと利得が通過帯域の平坦部から3dB低下する周波数)の事を、カットオフ周波数と呼びます。

注1:カットオフ周波数においては、電圧利得は、通過帯域の平坦部の1/√2倍になりますが、電力利得は、通過帯域の平坦部の1/2倍になります。

注2:図1に示したフィルタ回路では、通過帯域の平坦部の利得が1倍になっていますが、後述する様に、利得が1倍より小さな値を取るフィルタ回路もあります。また、アクティブフィルタの場合は、通過帯域の利得が1倍を超える場合もあります。

1次CRハイパスフィルタ・ローパスフィルタのカットオフ周波数

図2は、1次CRハイパスフィルタの回路図です。また図3は、1次CRローパスフィルタの回路図です。

図2、1次CRハイパスフィルタの回路図
図2、1次CRハイパスフィルタの回路図
図3、1次CRローパスフィルタの回路図
図3、1次CRローパスフィルタの回路図

これらの回路のカットオフ周波数は、共に次の式で与えられます。

式(1)・・・式(1)

ここで、fcは1次CRハイパスフィルタおよび1次CRローパスフィルタのカットオフ周波数です。

電子回路の設計をしていると、この式を非常によく使いますので、憶えておくといいでしょう。

例として、C=0.1[μF]、R=1[kΩ]としてカットオフ周波数を計算すると、fc=1.59[kHz]となります。CRがこれらの値の場合に、1次CRハイパスフィルタおよび1次CRローパスフィルタの周波数特性を計算した結果を図4に示しますが、どちらの回路も、確かに1.59kHzの時に利得が-3dBになっている事が確認できます。

図4、1次CRハイパスフィルタ/ローパスフィルタの周波数特性
図4、1次CRハイパスフィルタ/ローパスフィルタの周波数特性

通過帯域の平坦部の利得が1倍でない場合

図5に示すのは、通過帯域で減衰が生じるCR1次ハイパスフィルタの一例です。この回路では、通過帯域の平坦部の利得が-6dB(0.5倍)になります。

図5、通過帯域で6dBの減衰が生じるCR1次ハイパスフィルタ
図5、通過帯域で6dBの減衰が生じるCR1次ハイパスフィルタ

C=0.1[μF]、R=1[kΩ]の場合に、図5の回路の周波数特性を計算した結果を図6に示します。この場合のカットオフ周波数は、利得が-9dB(通過帯域の平坦部の利得-6dBからさらに3dB引いた値)になる796Hzです。

図6、C=0.1[μF]、R=1[kΩ]の場合の図5の回路の周波数特性
図6、C=0.1[μF]、R=1[kΩ]の場合の図5の回路の周波数特性
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