2016年08月22日 | 更新。 |
ブレークアウト基板とは、手作業で半田付けなどの配線作業をするのが困難な狭ピッチのICやコネクタなどを、手作業で配線したり、ブレッドボードに差し込んだりできる様に、ピッチ変換したり、ピンヘッダやターミナルブロックを取り付けたりするための、小さなプリント基板の事です。単にピッチ変換などを行うだけでなく、パスコンや水晶振動子などの、ICを動作させるのに最低限必要な周辺回路を実装している場合もあります。
製品を大量生産する際には、回路の動作に必要な部品をすべて実装できる大型の基板を製作するのが普通ですので、ブレークアウト基板は、回路の試作(プロトタイピング)、きわめて小ロットの製造、アマチュアの電子工作などに用いられます。
メイカー・ムーブメントの広がりにより、各種のマイコン、センサ、電源回路などのブレークアウト基板が安価に手に入るようになってきています。それらを組み合わせ、若干の回路を追加する事で、さまざまな電子回路が短時間で試作できる様になってきました。
ブレークアウト基板は、試作に使うユニバーサル基板などに直接半田付けして使う事もありますが、ピンヘッダやピンソケットなどのコネクタで接続して使う場合が多いです。コネクタ接続の場合は、ブレークアウト基板をある回路の試作に使った後に、別の回路の試作に使いまわす事ができます。
また、一部のICでは、特定の部品を至近距離に配置しないといけないとか、指定以上の太さの配線が必要だとか、ICの直下に放熱用のベタ面を既定の面積以上設けないといけないなど、ユニバーサル基板を使った手配線では実現の難しいアートワーク上の条件が付いている事があります。そういう場合も、ブレークアウト基板を使うと、その様な条件に対応する事ができます。
注:ノーブランドのブレークアウト基板には、ICの指定するアートワーク条件を守っていない製品が少なからずありますので、注意が必要です。
breakout(またはbreak out)という言葉には色々な意味がありますが、「使用できる様に取り出す」という意味もあります。
ブレークアウト基板の例を、写真1~写真4に示します。
Arduinoに拡張基板を増設する場合、ブレークアウト基板ではなくシールドを使用する方法もあります。シールドはサイズが規格化されているため、ブレークアウト基板よりも大きくなる傾向がある一方、ブレークアウト基板よりも複雑な機能を搭載している事が多いです。
ブレークアウト基板と同等の機能のシールドがある場合、シールドの方が基板が大きい分だけコストが高くなる場合が多いです。(基板そのものが高いだけでなく、購入時の送料なども高くなる傾向にあります) ただし、ブレークアウト基板が何らかの配線作業をしないとArduinoに接続できないのに対し、シールドの場合はArduinoに直接装着できるという利点があります。
写真5に示す様に、ピンヘッダの配列を工夫する事でArduinoに直接装着できる様にしたブレークアウト基板もありますが、装着時の安定性の面ではシールドの方が優れています。