2016年09月12日 | 「Arduinoとホットプレートを使ったリフロー装置の製作」から「Arduinoとホットプレートを使ったリフロー装置(1号機)の製作」へ改題。 |
この記事で扱うリフロー装置は、高電圧や高温を扱います。知識が不十分なまま利用したり、利用中に注意を怠ったりすると、感電、やけど、火災などの事故が起こり、あなた自身やあなたの大切な人たちの人命、健康、財産などを失ったり損なったりする危険があります。リフロー装置を扱う場合は、十分な知識を身に付け、十分な準備を行い、なおかつ十分に注意をして行ってください。この記事のまねをして事故が起こったとしても、当方は一切責任を負いません。
参考:この連載で説明している温度制御装置の改良版について書いた記事もあります。あわせてご覧ください。
携帯電話が爆発的に普及して以来、電子機器が年々小型化していっています。それに伴い、電子部品の小型化も進んできました。部品を小型化するためには単に同じ形のまま部品を小さくするだけではだめで、基板に部品を実装する方法も変える必要がありました。
旧来使われていたリード部品は少しずつ使われることが少なくなり、表面実装部品が使われることが多くなってきました。次の写真に示すように、両側にリード電極(いわゆる足)がついたリード抵抗よりも、リードのない表面実装抵抗(チップ抵抗ともいう)の方がずっと小さいことがわかります。
部品の形状や実装方法が変化すれば、当然半田付けの方法も変化します。表面実装部品が多く使われる基板では、基板上のパッド(半田をつける銅箔、ランドともいう)に、クリーム半田(フラックスと顆粒状の半田を混ぜたもの)を印刷し、その上に部品を載せた上で、基板全体を加熱して半田付けする、リフローという方法がよく用いられます。表面実装部品は手作業でも半田付けできますが、リフローを使うとはるかに速く半田付けができます。
工業用のリフロー装置は大きくて高価で、とても家庭で使えるものではありませんが、オーブントースター、ホットプレート、アイロンなどを熱源として、自宅でリフローをする試みが、各国のアマチュア電子工作家によりなされています。
この記事では、調理用ホットプレートを熱源として用いて、リフローによる半田付けをした例を紹介します。
半田の融点は鉛入り半田で170℃程度、鉛フリー半田で220℃程度です。リフローで半田付けすると、基板全体を高温にするため、温度や加熱時間をきちんと管理しないと、半田付けがうまくいかないだけでなく、部品や基板がダメージを受けてしまいます。リフロー際の温度制御の装置を、今回はArduino Uno、熱電対センサモジュール、グラフィックLCDシールド、パワーリレー等を組み合わせることで試作しました。
本題に入る前に、リード部品と表面実装部品の半田付けの方法をおさらいしておきましょう。(そんな事はいいので、早く温度制御装置の話が読みたいという方は、こちらからお読みください)
半田付けには色々な方法がありますが、ここで扱うのは、アマチュアが家庭でできる半田付け方法だけです。まずは、半田ごてを使って、手作業で 部品を基板に半田付けする方法(これを手半田という)についておさらいします。
なお、なぜこのようなおさらいをするかというと、リフローで半田付けをすると作業時間が短くなることを、理解していただきたいからです。リード部品および表面実装部品の手半田の手順と、表面実装部品のリフローの手順を是非理解して、比較してください。
リード部品を手半田する場合は、リードを通すための穴が開いた基板を使い、部品と反対側の面に設けられたパッドにリードを半田付けします。
それでは、1/4Wのリード抵抗をユニバーサル基板に半田付けしてみましょう。
ユニバーサル基板(万能基板)は、回路の試作用に用いられる基板で、通常2.54mm(0.1インチ)ピッチで穴がたくさん開いています。パッドが両面に付いている物と、片面だけについているものがありますが、上の写真のユニバーサル基板は、片面だけにパッドがあるものです。写真に写っていない裏面に、パッドが並んで配置されています。
リード部品を手半田するためには、糸半田と、半田ごて、こて台、ラジオペンチ、ニッパなどの工具が必要です。
電子工作の場合、一般に20W程度の半田ごてを使う場合が多いですが、大型の部品を基板のベタパターンに半田付けする場合は、もっと発熱の多い半田ごてが必要になります。私の愛用しているHAKKO PRESTO No.984という半田ごては通常は20Wで、黄色いボタンを押すと一時的に130Wになるという、優れ物です。
糸半田は、電子工作には直径が0.3mmから1.0mmの物が良く使われます。小さい部品を付ける場合は細めの半田を、大きい部品を付ける場合は太目の半田を使うと作業がやりやすいです。写真に写っている半田は直径が0.6mmの半田です。
こて台に付いているスポンジは、水道水で少し湿らせておき、こて先が汚れた時に、ぬぐってクリーニングをするために使います。
リード抵抗を半田付けするには、まず、ラジオペンチでリードの整形をします。次の写真のように、コの字型に整形してください。
次に基板の穴にリードを通します。リードが突き出ている面にパッドが来るようにリードを通してください。
リードを通したら、次の写真のように、両側のリードを外側に少し折り曲げると、部品が基板から浮かなくなり、半田付け作業がしやすくなります。
ここで、いよいよ半田付けをします。半田でリードやパッドを過熱してから、そこに糸半田を流し込むようにして半田付けします。
半田付けが終わると、半田が富士山のすその様な形に付きます。
半田が団子のように丸くなった場合は、半田の付けすぎです。半田を付けすぎると、後に接触不良を起こす原因となります。
後は、ニッパで不要なリードを切り落とせば、半田付けの完成です。
次のページでは、表面実装部品の半田付けの方法について解説します。
商品名 | 122X32モノクログラフィックLCDシールド | |
税抜き小売価格 | 3333円 | |
販売店 | スイッチサイエンス | |
サポートページ | 122X32モノクログラフィックLCDシールドサポートページ |