しなぷすのハード製作記

「PWM」の解説

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2016年09月30日 更新。
用語:PWM
読み:ピー・ダブリュー・エム
略語の完全な表記:pulse width modulation
同義語・似た意味の言葉:パルス幅変調
このページで解説している他の用語:デューティ比チョッパ回路チョッパ制御

概要

PWMパルス幅変調とも呼ばれ、デューティー比(後述)を変化する事により平均電圧を制御する、パルス波の変調方式の事です。電力効率を落とすことなく出力制御する事ができるため、パワーエレクトロニクスの分野では、モーターの出力調整や照明機器の明るさの調整などに使われます。またPWM信号をLPF(ローパスフィルタ)でフィルタリングするとアナログ信号が得られ、かつPWM信号の生成回路はデジタル回路だけで構成できるため、マイコン等のデジタル回路において、D/A変換器出力の代わりにPWM出力が用いられる事が良くあります。

PWMの波形と平均電圧

PWMの信号は、図1に示す様に、一定周期 T のパルス波形ですが、パルス幅 TP が場所により異なります。

図1、PWM信号と平均電圧
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図1、PWM信号と平均電圧

PWM信号のデューティー比 D は、パルス幅 TP と周期 T の比で定義されます。また、100倍して百分率(パーセント表記)される事もしばしばあります。

式(1)(1)

パルス電圧を VP とすると、1周期内の平均電圧 Vm は次の様に求まります。

式(2)(2)

この様に、デューティ比 D を変化させることで、パルス電圧 VP を変えることなく、平均電圧 Vm を制御する事ができます。

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通信への応用

PWMは、デューティ比 D を滑らかに(無段階に)変化させることにより、アナログ信号の通信に使う事ができます。この場合、図2(a)の様にPWM信号にノイズが乗っても、ノイズ電圧がパルス電圧 VP よりも十分小さく、かつパルスの立ち当たり時間と立下り時間が十分に短いという条件では、例えば VP /2の閾値で2値化処理を行う事により、図2(b)の様に元のPWM信号が復元できます。この様にPWMは、アナログ信号の伝送時に、ノイズの影響を低減するために利用する事ができます。

一方で、伝えたい信号の帯域に比べて、PWM信号の帯域がかなり広くなるという欠点もあります。

図2、2値化処理によるPWM信号の復元
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図2、2値化処理によるPWM信号の復元

電力制御への応用(チョッパ回路)

図3の様に、負荷抵抗 RL にかかる平均電圧を、スイッチのON・OFFの制御によりコントロールする場合を考えます。

図3、チョッパ回路
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図3、チョッパ回路

スイッチSW1が周期 T で周期的にON・OFFを繰り返して、かつONになっている時間が1周期当たり TP である場合、図1に示したのと同じ電圧波形が RL に加わります。この場合、平均電圧 Vm は式(2)で得られ、デューティ比 D (式(1)参照)に比例する事が分かります。

この様に、スイッチ制御のデューティ比により負荷に加わる平均電圧をコントロールする電源回路の事を、チョッパ回路といいます。また、チョッパ回路により電源の出力を調整する制御方式をチョッパ制御といいます。

チョッパ回路にはジュール熱を発生する要素がないため、理論的には100%の電力効率で、負荷電圧を制御する事ができます。(実際には、スイッチで若干の電圧降下が生じるため、電力効率は完全には100%になりません)

ところで、出力電圧の制御は、図4に示す分圧回路によっても行う事ができます。

図4、分圧回路による出力電圧の制御
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図4、分圧回路による出力電圧の制御

この回路の場合、直流の電圧が出力されますが、その電圧 VOUT は次の式で与えられます。

式(3)(3)

この分圧回路でも、可変抵抗の値 RV を調節する事により、出力電圧 VOUT を0~ VP の範囲で調節できますが、負荷電流が RV にも流れるため、そこでジュール熱が発生し、電力損失が発生します。

例えば、出力電圧を半分( VP /2)にする場合では、 RVRL と同じジュール熱が発生し、電力効率が50%になります。また出力電圧が半分より小さい場合には、負荷 RL に供給される電力よりも、 RV で消費される電力の方が多くなり、電力効率は50%未満になります。

この様にチョッパ制御は、分圧回路による出力電圧の制御に比べ、電力効率の点で優れています。また、式(2)から分かる様に、出力電圧が負荷抵抗の影響を受けないという点でも、分圧回路を使う方式より優れています。

簡易型D/Aコンバータとしての応用

マイコンやFPGAなどのデジタル回路で、アナログ的な制御を行う場合、出力をD/A変換器でアナログ値に変換する必要があります。この場合、デジタルICにD/Aコンバータなどのアナログ回路を混載するとコストが上昇するという問題が発生します。

そこで、図5に示す様に、タイマ回路を使ってPWM信号を発生し、その出力をLPF(ローパスフィルタ)により平滑化する事で、簡易型のD/A変換器を構成する事が良くあります。

図5、タイマ回路により発生したPWM信号をLPFで処理した簡易型D/A変換器
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図5、タイマ回路により発生したPWM信号をLPFで処理した簡易型D/A変換器

例えばArduinoanalogWrite関数は、実際にはアナログ信号を発生するのではなく、PWM信号を発生します。アナログ信号を得るためには、外部にLPFを設ける必要があります。

注:Arduino DueやArduino M0など、一部のD/A変換器を搭載したArduinoでは、analogWrite関数により直接アナログ信号を得る事ができます。

PWMをLEDの明るさの制御に用いる場合、網膜で発生する残像が、実質的に平滑化処理を行うため、LPFを省略する事ができます。また、DCモーターの回転数制御に使う場合は、機械系の慣性が実質的に平滑化処理を行うため、やはりLPFを省略する事ができます。この様に、応用する分野によっては、図5の中のLPFを省略してしまう場合が良くあります。

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