2022年02月25日 | 更新。 |
メールサーバは、インターネットで電子メールを送受信する際に使われる、サーバソフトウェアまたはサーバコンピュータの事です。メールサーバは、SMTPサーバと、POPサーバまたはIMAPサーバの組み合わせで構成されています。
インターネット上でメールのやり取りをするには、メールを送受信したいパソコンや携帯電話等とメールサーバと呼ばれるサーバを接続しなければならない事を知っている人は多いと思います。このメールサーバには、メールの配送と蓄積の機能があります。
図1にメールサーバの構成の概念図を示します。この図において、クライアント機器というのは、メールのやり取りに使うパソコンや携帯電話等の事を指しています。
この図から分かる様に、メールサーバは、メールの配送の機能を担うSMTPサーバと、受信したメールを、閲覧するパソコンや携帯電話等に転送する、POPサーバまたはIMAPサーバの組み合わせでできています。SMTPサーバと、POPサーバまたはIMAPサーバとは、原則的に同じコンピュータ内に構築されます。
注1:メールサーバは、POPサーバとIMAPサーバのいずれか一方とSMTPサーバの組み合わせで構成されるのが一般的ですが、POPサーバ、IMAPサーバおよびSMTPサーバの全てを含み、利用者にPOPを使うかIMAPを使うか選択させるタイプのメールサーバもあります。
注2:また、利用者の多いメールサーバの場合、SMTPサーバとPOPサーバ(またはIMAPサーバ)が、別々のサーバコンピュータ内に構築される事もあります。
灰色のPOPサーバまたはIMAPサーバは、この図で問題にしているメールの転送には関与していません。
この図では、送信側のメールサーバと受信側のメールサーバが異なり、送信側と受信側のメールサーバの間に中継するメールサーバが1つある場合について書いてあります。実際には、送信側と受信側のメールサーバが同じ場合、送信側と受信側のメールサーバが直接回線で接続されており、中継サーバがない場合、2つ以上の中継サーバを経てメールが転送される場合などがあります。
図2に、メールを送信する際のメールの流れを描いてあります。この図の様に、送信側のクライアント機器は、送信側のメールサーバにメールを送信し、そのメールは、いくつかのメールサーバで中継された後、受信側のメールサーバに届きます。
受信側のメールサーバは、届いたメールをサーバ内部のディスクに保存し、受信側のクライアント機器が接続しに来るのを待ちます。
受信側のクライアント機器が受信側メールサーバに接続すると、メールサーバ内のPOPサーバまたはIMAPサーバが、受信したメールをクライアント機器に転送します。
次の章以降で、メールサーバを構成するSMTPサーバ、POPサーバ、IMAPサーバについて説明します。
SMTPサーバは、クライアント機器(メールをやり取りするパソコンや携帯電話等)から送信するメールを受け取ったり、受け取ったメールを他のSMTPサーバに向けて送信したり、SMTPサーバ間でメールを中継したり、他のSMTPサーバから届いたメールを受け取ってメールサーバ内に保存したりします。
参考:メールの宛先のパソコン等の電源が入っていなくても、メールの送信ができてしまうのは、受信側のメールサーバが、受信したメール一旦を保存しておくからです。メールサーバは1日24時間稼働しているので、メールがいつでも送信できるのです。
SMTPサーバがクライアント機器や他のSMTPサーバとメールのやり取りをする際に使われる通信プロトコルは、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)と呼ばれます。SMTPはRFC 5321で標準化されています。
電子メールは、受信者が使っているメールサーバ内のディスクに保存されますが、それをクライアント機器が読み取る時に、メールを転送して、クライアント機器にダウンロードする働きをするのがPOPサーバです。
POPサーバからクライアント機器へのメールの転送に使われる通信プロトコルは、POP(Post Office Protocol)と呼ばれます。現在はPOPは改良されてPOP3(POP Version 3)が使用されています。POP3はRFC 1939で標準化されています。
POPサーバによりクライアント機器にダウンロードされたメールは、原則的にメールサーバから削除されます。(ただし、メールサーバにメールを残すオプションもあります)
IMAPサーバは、POPサーバと同様、受信側のメールサーバが保存しているメールを、受信側のクライアント機器に転送する働きをします。ただ、POPサーバがメールをクライアント機器にダウンロードさせて、最終的にクライアント機器にメールを集積させるのに対して、IMAPサーバは、受信したメールをサーバ側に集積し、クライアント機器の接続時に、クライアント機器にメールを一時的に閲覧させるのみです。
IMAPサーバが受信側のクライアント機器にメールを転送する際に使う通信プロトコルは、IMAP(Internet Message Access Protocol)と呼ばれます。IMAP4(IMAP Version4)は、RFC 1730で標準化されています。
過去のメールはサーバ側に蓄積されるために、IMAPサーバ利用時は、SMTPサーバ利用時よりも、クライアント機器のディスク容量が少なくて済む利点がある一方で、サーバ側のディスク容量を多く消費する欠点があります。