しなぷすのハード製作記

リードコンデンサの中身はチップコンデンサ?(2)

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2015年01月13日 公開。

5.DIP品のマイコンのパッケージも削ってみた

さらに勢いに乗って、DIP品のマイコンのパッケージも削ってみました。その様子を動画にまとめたので、ご覧ください。なお、ICの両側に、2.54mmピッチでリード(脚)が2列に並んでいるICパッケージをDIP(Dual In-line Package)といいます。同じ型番のマイコンでも色々なパッケージに納められた物が製品化されている場合がありますが、その場合は、DIPパッケージに入っているものを「DIP品」と呼びます。

使ったのは、Arduino Unoに使われている、ATmega328P-PUです。

下の写真は、加工前のATmega328P-PUです。このマイコンのパッケージを、リードコンデンサを削ったのと同じリューターとダイアモンドビットで削ります。

写真8、加工前のATmega328-PU
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写真8、加工前のATmega328-PU

バッケージの上面を削ると、最終的に次の様になります。

写真9、パッケージを削り、リードフレームが露出したATmega328-PU
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写真9、パッケージを削り、リードフレームが露出したATmega328-PU

中央の約3.5mm角の正方形のチップが、マイコンの本体であるICチップです。パッケージの大きさと比べると、とても小さいですね。また放射状に延びている配線は、インナーリードと呼ばれるものです。

下の写真の様に、マイコンにはたくさんのリード(脚)が付いています。

写真10、マイコンのリード
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写真10、マイコンのリード

正確にはリードはパッケージの外側から見える部分にあるだけではなく、パッケージ内部の見えない部分まで延びています。パッケージの外から見える部分をアウターリード、パッケージ内部に埋もれている部分をインナーリードといいます。

リードは、元々一枚の銅板を、下の写真の様に、プレス加工して作ります。(ただし精密な物はエッチング加工する) このように、一枚の銅板をプレス加工(またはエッチング加工)して、ICのリードと、ICチップを固定する部分(ダイパッド)を一気に作りこんだものを、リードフレームと呼びます。なお、下の写真を作るのに、独立行政法人情報所処理機構の教育用画像素材集を使わせていただきました。

写真11、リードフレームの構造
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写真11、リードフレームの構造
  教育用画像素材集

ICを製造するには、ダイパッドにICチップを貼り付けた後、下の図の様に、細い金属線でICチップの端にある電極と、インナーリードの端の電極を配線します。これをワイヤーボンディングといいます。

図1、ワイヤーボンディング
図1、ワイヤーボンディング

ダイパッドにICチップを固定し、ワイヤーボンディングをしたら、プラスチックなどで封止ます。その後リードフレームからICを切り離し、アウターリードを曲げ加工すれば、マイコンのICが完成するという訳です。

ワイヤーボンディングに使われる金属線をボンディングワイヤと呼びますが、素材としては、金、銅、アルミニウムなどが使われるようです。比較的最近、Atmel(ATmega328P-PUのメーカー)から、ATmega328P-PUのボンディングワイヤを金線から銅線に変えるとの通知がありましたので、今回リューターで削ったのは、まだ金のボンディングワイヤを使っている時期に製造された製品のはずです。でも、せっかく金線を使っていても、今回の様な手荒な開封法では、金線は全て切りくずの中にまぎれて、観察できませんでした。

それでは、削ったマイコンの、ICチップの部分を顕微鏡で拡大してみましょう。

写真12、リューターでパッケージを削り、露出したATmega328PのICチップ
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写真12、リューターでパッケージを削り、露出したATmega328PのICチップ

リューターで削ってしまったので、傷だらけですが、部分的にICの構造が残っています。左側の規則的な構造は、おそらくメモリでしょうか?

なお、ICのメーカーでは、自社製品が故障した際の故障原因の解析や、ライバル会社の製品の調査などの目的で、ICパッケージを開封して観察する事がよくあります。プロがICパッケージを開封する際には、硫酸や硝酸を加熱して使い、化学的に封止材を除去するようです。この様にすれば、綺麗に開封できますが、危険な薬品を使うので、素人がまねするのは、とても敷居が高そうです。

6.表面実装部品について

DIPパッケージのマイコンを削ってみたら、中身のICチップがパッケージよりもかなり小さい事が分かりました。DIPパッケージは、比較的リードのピッチが広い(2.54mm)ので、手作業で基板を組み立てる際には重宝するのですが、基板を小型化したい場合は、もっと小さいパッケージを使う方が良さそうです。そこで、小型の基板を作る場合には、表面実装型のパッケージのマイコンを使う事になります。

下の写真は、同一機能の表面実装型のマイコン(左側)とDIPパッケージのマイコン(右側)を比較したものです。表面実装型のマイコンの小ささが分かりますね。

写真13、表面実装型のマイコン(左側)とDIPパッケージのマイコン(右側)
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写真13、表面実装型のマイコン(左側)とDIPパッケージのマイコン(右側)

左側のマイコンの正確な型番はATmega328P-AUで、右側のマイコンの正確な型番はATmega328P-PUです。この様に、型番の下の方で、パッケージの違いを表わします。

パッケージを小型化すると、ピンのピッチが狭くなります。写真左側のATmega328P-AUのピッチは0.8mmで、右側のATmega328P-PUでは2.54mmです。この様に、ピッチが狭くなると、ピンを基板に開けた穴(スルーホール)に挿入する事が不可能になりますから、基板の表面(部品と同じ面)で半田付けも行うことになります。これを表面実装(ひょうめんじっそう)と呼びます。表面実装する部品は、多くの場合、手作業でも半田付けできますが、リフローと呼ばれる特殊な方法で半田付けされる事が多いです。(Arduinoとホットプレートを使ったリフロー装置(1号機)の製作(1)を参照)

表面実装向きの小型のICパッケージには色々な種類がありますが、上の写真で示したものは、TQFP(Thin Quad Flat Package)と呼ばれるパッケージで、正方形のパッケージの四辺から、リードが外向きに延びています。

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