2022年04月14日 | コラムを追加。 |
ある日、TwitterのTLに、リード品の積層セラミックコンデンサ(MLCC)の中身は、実はチップ積層セラミックコンデンサだというツイートが、写真付きで流れてきました。それまでチップ品とリード品のコンデンサは全く別物だと考えていたので、驚くと共に「これは自分自身で確かめなければならない」と決意したのでした。パスコン用の0.1μFのリード品の積層セラミックコンデンサは在庫が多くありますので、その保護剤を削って、中身を確認することにしました。
結論から言うと、リード品の積層セラミックコンデンサの外側の保護剤を削ったら、本当に中からチップ型積層セラミックコンデンサらしきものが出てきました。
上の写真は、秋月電子で購入したFK28Y5V1H104ZN006という0.1μF、50Vの積層セラミックコンデンサです。右側に写っている、青い保護剤のついた物が、元々のコンデンサで、左側に写っているのが、リューターで保護剤をはがしたものです。1608サイズの積層セラミックコンデンサ電極にリードを半田付けしたもののように見えます。Twitterで聞いた話は本当のようです。
ちなみに、1608サイズの積層セラミックコンデンサと、FK28Y5V1H104ZN006の保護剤を削ったものを並べて写真を撮ると、次の様になります。(左が1608サイズの積層セラミックコンデンサ)
やっぱりサイズが同じに見えますね。(ちなみに、先ほどの写真をとった後、リューターでさらに保護剤を削り落としていますので、リードがよれよれになっています)
リード品の積層セラミックコンデンサをリューターで削ってから何年も経ったある日、偶然、リード品の積層セラミックコンデンサが、チップコンデンサにリードを付けた物である事の直接的な証拠を見つけました。
ネットで検索していて偶然見つけた、TDKの積層型リード付きコンデンサによる各種ソリューションガイドというページには、イラスト付きで、リード品の積層セラミックコンデンサの構造が説明してあります。この説明で、チップコンデンサにリードを付けて、樹脂封入した物が、リード品の積層セラミックコンデンサである事が確定的になりました。
ところで、セラミックコンデンサに印加される電圧が変動すると、逆圧電効果によりコンデンサの誘電体が振動し、電圧の変動に可聴周波数の成分が含まれていると、騒音の原因になる事が知られています。(俗に、コンデンサが鳴くといいます)
このTDKのページによると、リード品の積層セラミックコンデンサを使うと、リードがコンデンサの振動を吸収するため、同等のチップコンデンサを使用する場合と比較して、鳴きを抑えられるそうです。
また、基板にたわみが発生する場合、基板に直接半田付されているチップ型の積層セラミックコンデンサでは、クラックが発生しやすいのに対し、リード品の場合は、リードが変形による応力を吸収するため、クラックが発生しにくいのだそうです。
リードコンデンサには、こんな利点もあったのですね。参考になりました。
ただし、リードコンデンサは実装コストが高く、実装面積も広く必要となり、高周波での特性もチップ品より悪くなりますから、それらの要素も考えて、リード品とチップ品を使い分けるべきなんでしょうね。
保護剤を削るのに使ったのは、840円で売っているダイソーのリューターです。単3電池4本で動作します。
念のため説明しておくと、リューターとは、先端工具(ビット)を取り付け、それをモーターで回転させることにより、物を研磨したり、切断したり、穴あけ加工できる工具の事です。
今回はダイアモンドビットを用いて、セラミックコンデンサの保護剤を削り落としました。使用したのは下の写真のダイアモンドビットセットです。正確な値段は忘れましたが、ホームセンターにて千数百円で購入したものです。
このセットの中でも、特に次の写真の、三角錐のビットを多用しました。先端が尖っているので、細かい部分のやすり掛けに便利でした。
調子に乗って、積層タイプではなく、昔からあるディスクセラミックコンデンサもリューターで削って、中身を見てみました。
削ったのは次の写真のディスクセラミックコンデンサです。104と表記されているので、容量は0.1μFですが、耐圧は不明です。
保護剤を削ると、次の写真のように、中から円盤状のセラミックの板が出てきました。(あたりまえですね)
ダイヤモンドビッドで削られてしまって、はっきりとは確認できませんが、円盤状のセラミックの両面に銀電極が蒸着されており、銀電極-セラミック-銀電極のサンドイッチ構造でコンデンサが形成されています。
次のページでは、マイコンのパッケージを削ります。