FTDIのUSBシリアル変換器のドライバのインストール法(1)

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2014年12月13日 公開。
2014年12月29日 Windows Updateについて加筆。
2016年09月20日 「はじめに」の章で、ケーブルの種類を確認するように促した。
2024年09月17日 FTDI社のVCPドライバのダウンロードサイトが変わっているので、それに合わせて記事を書き直した。また、Windows 7用の説明をWindows 11用に書き直した。

マイコンを使った電子工作をやっていると、マイコンとパソコンの通信のために、USBシリアル変換器(USBシリアルアダプタ)を使う機会が多くあります。それらのUSBシリアル変換に使われるICでは、FTDIという会社のIC(例えばFT232RLなど)が一番多く流通しています。

最近ではFTDI社のICを用いたUSBシリアル変換器のドライバは、Windows Updateに登録されています。そのため、インターネットが接続されている環境では、WindowsパソコンのUSBポートにUSBシリアル変換器を接続するだけで、ドライバが自動的にダウンロードされ、インストールされるようになっています。

ただ、何らかの理由で、Windows Updateを使いたくない方のために、今回は、FTDI社のICを用いたUSBシリアル変換器のドライバを、手動でインストールする方法を説明します。なお、この記事を書いている2024年9月時点でのインストール法の説明になります。時間が経てば、インストール法が変わる可能性がありますので、ご注意ください。

参考:FTDI社のICを用いたUSBシリアル変換器を使ってもドライバのインストールが自動的に始まらない場合は、以下の記事を読んで手動インストールをする前に、使用しているUSBケーブルの種類をご確認ください。充電用のUSBケーブルではUSBシリアル変換器を利用できません。詳しくは、使用するUSBケーブルが適切でなかった事例の節をご覧ください。

記事の最初に、USBシリアル変換器などの説明がありますが、ドライバのインストール法だけを知りたい人は、パソコン用のドライバのダウンロードからお読みください。

目次

1. USBシリアル変換器とは … 1ページ
2. FTDI社とは … 1ページ
3. パソコン用のドライバのダウンロード … 1ページ
4. パソコン用のドライバのインストール … 2ページ
5. USBシリアル変換器に割り当てられたCOM番号を確認する … 2ページ
6. ドライバインストール時のトラブルの事例 … 2ページ
6-1. 使用するUSBケーブルが適切でなかった事例 … 2ページ
6-2. 模造品のICを使用したUSBシリアル変換器の事例 … 2ページ
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1.USBシリアル変換器とは

現在パソコンと周辺機器を接続するには、USBというインターフェースを用いるのが一般的になっています。USBは、かなり複雑なインターフェースなので、マイコンに積むと、コストの増加の原因になります。そのため、USBインターフェースを内蔵しないマイコンが多くあります。

また、USBインターフェースを内蔵しているマイコンにおいても、USBインターフェースを使って外部と通信するプログラムを作成するには、次の様な問題点があります。

この様な問題点があるため、特に必要でない限りは、USBインターフェースを使った通信は避けられる傾向にあります。

そこで、パソコンとマイコンを手軽に通信させられるように開発されたのが、USBシリアル変換器です。USBシリアル変換器は、パソコンのUSBポートに接続すると、マイコンのUARTインターフェース(UARTはシリアルインターフェースの一種)との間で通信が行えるようになります。USBシリアル変換器を使うと、以下の様なメリットが発生します。

この様なメリットがあるため、手軽にパソコンとマイコンを通信させたい場合に、USBシリアル変換器を使います。

次の写真は、スイッチサイエンスが製造・販売しているFTDI USBシリアル変換アダプター(5V/3.3V切り替え機能付き)というUSBシリアル変換器を撮影したものです。

写真1、FTDI社のICを利用したUSBシリアル変換器の例
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写真1、FTDI社のICを利用したUSBシリアル変換器の例

2.FTDI社とは

USBシリアル変換器には、USBシリアル変換用のICが搭載されています。USBシリアル変換用のICを供給しているメーカーは色々ありますが、最もよく使われるのがFTDI社のICです。次の表に、国内でよく使われるUSBシリアル変換器の例を示します。この表に載っているUSBシリアル変換器は、全てFTDI社のICを用いています。

表1、国内でよく使われるUSBシリアル変換器(FTDI社製IC使用)の例
製品名 製造メーカー 販売業者
FTDI BASIC 5V SparkFun マルツ
FTDI BASIC 3.3V SparkFun マルツ
FTDI USBシリアル変換アダプター(5V/3.3V切り替え機能付き) スイッチサイエンス スイッチサイエンス
FT232RL USBシリアル変換モジュール 秋月電子 秋月電子
超小型USBシリアル変換モジュール 秋月電子 秋月電子
FT231X USBシリアル変換モジュール 秋月電子 秋月電子
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3.パソコン用のドライバのダウンロード

表1に示したような、FTDI社製のICを用いたUSBシリアル変換器を使うには、パソコンに、FTDI社が提供するドライバをインストールする必要があります。(ただし、前述の様にWindows Updateが使える環境では、USBポートにUSBシリアル変換器を接続すると、ドライバのダウンロードとインストールが自動的に始まります) FTDI社の製造するUSBシリアル変換ICには何種類かありますが、どのICでも、共通のドライバが利用できるようになっています。

以下に、Windowsパソコンに、FTDI社のICを用いたUSBシリアル変換器のドライバを手動でインストールする方法を説明します。あらかじめドライバのファイルをダウンロードしておき、ここで説明する方法を使えば、インターネットが使えない環境でもドライバのインストールができます。

なお、この記事を書くにあたって、Windows 11 64ビット版がインストールされたパソコンを利用しています。そのためスクリーンショット(画面の写真)などは、Windows 11 64ビット版の物になっています。Windows 10など、他のWindowsを使っている方場合は、画面表示が若干違っているかも知れませんが、ご了承ください。

FTDI社のUSBシリアル変換用ICのドライバは、こちらのダウンロードページからダウンロードできます。

図1、ドライバのダウンロードページ
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図1、ドライバのダウンロードページ

余談になりますが、サイトにアクセスすると、Virtual COM Port Driver(仮想COMポートドライバ)とか、その省略形のVCP driverという記述がいたるところに見られます。USBシリアル変換器は、実際にはUSBポートにつながっている機器なのにもかかわらず、仮想的に、OS上ではその変換器がCOMポート(後述)に見える様にしたドライバをVCPドライバといいます。VCPドライバを利用してパソコンの通信プログラムを書くと、実際にはUSB経由で通信をしているのにもかかわらず、パソコンにCOMポートが搭載されており、そのCOMポート経由で通信している場合と同じ方法で、簡単に通信プログラムを組む事ができる様になります。

昔のパソコンには、COMポートと呼ばれるRS-232C規格に準拠した、Dサブ9ピンのシリアルインターフェースが付いており、それらがアナログモデム(パソコンと電話回線をつなぐ装置)を接続するのに使われていました。COMポートの信号は、マイコンのUARTインタフェースと、信号電圧以外は同じものなので、信号電圧を変換する簡単な回路を使えば、昔のパソコンは、マイコンと簡単に通信する事ができました。

しかし残念ながら、アナログモデムが使われなくなって、パソコンにはCOMポートが搭載される事は、ほとんどなくなりました。そこで登場したのがUSBシリアル変換ICというわけです。

FTDI社のICを積んだUSBシリアル変換器のドライバ(VCPドライバ)をインストールするには、画面の少し下にある、Currrently Supported VCP Drivers(現在サポート中のVCPドライバ)の表を見ます。この表で、自分のパソコンのOSに合わせたドライバを選んでダウンロードします。

これ以降は、64ビットのWindows 11を使っているものとして説明します。

図2に示す様に、Currrently Supported VCP Driversの表の、Windows (Desktop)の行の、一番右の欄に、Setup executableと書いたリンクがありますので、そこをクリックしてドライバをダウンロードします

図2、Setup executableと書かれたリンクをクリックしてドライバをダウンロード
図2、Setup executableと書かれたリンクをクリックしてドライバをダウンロード
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ダウンロード先のフォルダを見ると、図3に示す様に、ZIPファイルがあるはずです。

図3、ダウンロードされたZIPファイル
図3、ダウンロードされたZIPファイル

環境によっては、拡張子の.zipは表示されません。

このZIPファイルは、インターネットからダウンロードされた、怪しい(かもしれない)ファイルという事で、プログラムの実行などの潜在的な危険性がある操作を、OSにより制限されています。この制限が、ドライバのインストールの障害になる可能性がありますので、次に、制限を解除します。

制限を解除するためには、ZIPファイルのプロパティを開きます。ZIPファイルを右クリックして出てくるコンテキストメニューで、プロパティを選んでください。(図4参照)

図4、ZIPファイルのプロパティを開く
図4、ZIPファイルのプロパティを開く

そうすると、プロパティのウィンドウが開きますので、そのウィンドウの下部を見てください。図5に示す様に、セキュリティ: このファイルは他のコンピュータから取得した···というメッセージが表示されています。そのメッセージの右側に、許可すると書かれたチェックボックスがあるので、それをクリックしてチェックした後に、OKボタンをクリックしてください。

図5、プロパティウィンドウの許可するチェックボックスにチェックする
図5、プロパティウィンドウの許可するチェックボックスにチェックする

この図の様に、許可するのチェックボックスをクリックして、チェックした状態にしてから、一番下のOKボタンをクリックしてください。

これで、ダウンロードしたZIPファイルの機能制限を解除できました。

次に、このZIPファイルを展開(解凍)します。エクスプローラーでZIPファイルを選択し、すべて展開というボタンを押せば、展開できます。(図6参照)

図6、すべて展開ボタンをクリックしてZIPファイルを展開
図6、すべて展開ボタンをクリックしてZIPファイルを展開

そうすると、図7に示す様に、展開先のフォルダを指定するダイアログボックスが開きますので、指定してから展開(E)ボタンをクリックすると、ZIPファイルが展開されます。

図7、ZIPファイルの展開先を指定して展開(E)ボタンをクリック
図7、ZIPファイルの展開先を指定して展開(E)ボタンをクリック

展開先のフォルダを見ると、EXEファイルができているはずです。(図8参照)

図8、展開先のフォルダにEXEファイルができている
図8、展開先のフォルダにEXEファイルができている

環境によっては、拡張子の.exeは表示されません

これで、ドライバのファイルが準備できました

次のページでは、このドライバをインストールします。

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