リュータを使ってTQFPのICを基板から取る

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2017年03月18日 公開。

なかなか交換の難しいTQFPパッケージのICを、リュータを使って基板からはがし、交換したので、その方法について報告します。

目次

1. はじめに … 1ページ
2. TQFPのICの交換作業 … 1ページ
3. 最後に … 1ページ

1.はじめに

ICの不良で、基板からはがして交換したい事はよくあると思います。このような場合、ヒートガンなどの工具があれば、全品の半田を同時に溶かしてICを取り除く事ができます。

ヒートガンがない場合、DIPパッケージのICなら、ニッパでリード線を切断し、各リード線を1本ずつ半田ごてで取り除く事ができますが、表面実装のICだとうまくいきません。

今回、TQFPパッケージのICのリード線を、リュータで切断して、ICを基板からはがしてみました。

なお、今回紹介する方法は、TQFPでなくても、SOPやSOICなど、リード線がIC露出しているタイプの、他のパッケージの表面実装ICにも応用できます。

TQFPパッケージのICの例(ATmega328P-AU)
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TQFPパッケージのICの例(ATmega328P-AU)
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2.TQFPのICの交換作業

TQFPパッケージICの交換作業の様子を、写真と共に紹介します。

ICを交換したい基板を写真1に示します。左下に見えるU1が、交換したいTQFPパッケージのICです。

写真1、TQFPのICを交換したい基板
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写真1、TQFPのICを交換したい基板

このU1のリード線を、写真2に示す、ダイヤモンド粉が付いた、円板状の切断ビットを使って、切断しました。

写真2、円板状の切断用ビット
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写真2、円板状の切断用ビット

写真3に示す様に、ビットをICのリードの根元に当て、切断しました。基板を傷つけないように、力加減には注意する必要があります。

写真3、ICのリードの切断の様子
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写真3、ICのリードの切断の様子

全てのリードを切断した様子を写真4に示します。

写真4、リード切断後のIC
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写真4、リード切断後のIC

アルコールで切子をふき取ると、写真5の様になります。

写真5、切子除去後の基板
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写真5、切子除去後の基板

残念ながら、レジストが一部はがれてしまっています。ただ、銅箔パターンの切断には至っていません。

この状態で、各リード線はばらばらになっていますので、半田ごてで除去するこ事ができます。リード線を除去して、ソルダーウィック(半田吸い取り線)できれいにした状態を、写真6に示します。

写真6、リード線除去後の基板
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写真6、リード線除去後の基板

この後、新しいICを実装して交換完了です。

3.最後に

私の場合、手元にリューターがあったので、それで比較的簡単にTQFPパッケージのICを交換することができました。今まで、表面実装のICが不良になると、基板ごとあきらめていたのですが、今後、この方法で救済できる基板が出てくると思います。実装部品が多いと、基板ごと捨てるのはもったいないので、今後、この手法を活用していきたいです。

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