Arduinoとホットプレートを使ったリフロー装置(2号機)の製作(1)

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2016年09月12日 公開。
2016年09月13日 主な部品・材料に他励式圧電ブザーを追加。
今回作った温度制御装置の外観
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今回作った温度制御装置の外観
!!! 警告 !!!

この記事で扱うリフロー装置は、高電圧や高温を扱います。知識が不十分なまま利用したり、利用中に注意を怠ったりすると、感電、やけど、火災などの事故が起こり、あなた自身やあなたの大切な人たちの人命、健康、財産などを失ったり損なったりする危険があります。リフロー装置を扱う場合は、十分な知識を身に付け、十分な準備を行い、なおかつ十分に注意をして行ってください。この記事のまねをして事故が起こったとしても、当方は一切責任を負いません。

ホットプレートを使ったリフロー用の温度制御装置を改良し、温度変化のグラフの大型化と、プリセットしたいくつかの温度プロファイルから使う物を選択する機能を追加しました。

目次

1. はじめに … 1ページ
2. 2号機で改良した点 … 1ページ
3. 主な部品・材料 … 1ページ
3-1. Arduino Uno互換機 … 1ページ
3-2. Arduino Holder Type Uno … 1ページ
3-3. 128×64モノクログラフィックLCDシールド … 1ページ
3-4. I/Oピン一つで読める4X4キーパッド … 1ページ
3-5. MAX31855ブレークアウト基板 … 1ページ
3-6. K型熱電対 … 1ページ
3-7. 大電流大型リレーモジュールキット … 1ページ
3-8. 他励式圧電ブザー … 1ページ
3-9. プラスチックトレイ … 1ページ
4. 部品のトレイへの取り付け … 2ページ
4-1. 部品の採寸と、ねじ穴位置の図面作成 … 2ページ
4-2. ねじ穴加工 … 2ページ
4-3. 部品のねじ止め … 2ページ
5. 配線 … 3ページ
6. 温度制御装置のスケッチのダウンロード … 4ページ
7. 使い方 … 4ページ
7-1. ダミー基板への熱電対の貼り付けと、ホットプレートへの設置 … 4ページ
7-2. ACアダプタとACコードの接続 … 4ページ
7-3. ホットプレートの温度設定 … 4ページ
7-4. 画面構成 … 4ページ
7-4-1. 現在温度の表示 … 4ページ
7-4-2. 温度プロファイルの種類と現在の状態の表示 … 4ページ
7-4-3. リフロー作業が始まってからの経過時間の表示 … 4ページ
7-4-4. 現在のステージが始まってからの経過時間の表示 … 4ページ
7-4-5. 各種メッセージの表示 … 4ページ
7-4-6. 温度変化のグラフの表示 … 4ページ
7-5. 温度プロファイルの選択 … 5ページ
7-6. 温度プロファイルの設定の閲覧 … 5ページ
7-7. プリセットされた温度プロファイル … 5ページ
7-7-1. Pbフリー(GN) … 5ページ
7-7-2. Pbフリー(HG) … 5ページ
7-7-3. ユウエン(GN) … 5ページ
7-7-4. ユウエン(HG) … 5ページ
7-7-5. ベーク 120゚C … 5ページ
7-7-6. テスト … 5ページ
7-7-7. プロファイル7 … 5ページ
7-7-8. プロファイル8 … 5ページ
7-8. リフローの方法 … 6ページ
7-9. HG-1200(T)を使う場合の注意点 … 6ページ
7-10. ベーキングの方法 … 6ページ
7-11. 安全性を確保するための機能 … 6ページ
7-11-1. 加熱不良の検出 … 6ページ
7-11-2. センサ不良の検出 … 6ページ
7-12. 温度プロファイルのログ機能 … 6ページ
8. 温度制御の仕組み … 7ページ
8-1. リフロー作業の進み方 … 7ページ
8-1-1. 加熱ステージ1 … 7ページ
8-1-2. 予熱ステージ … 7ページ
8-1-3. 加熱ステージ2 … 7ページ
8-1-4. リフローステージ … 7ページ
8-1-5. 冷却ステージ … 7ページ
8-2. PWM制御 … 7ページ
9. 温度プロファイルの編集の仕方 … 8ページ
10. 最後に … 8ページ

1.はじめに

以前、Arduinoを使ったホットプレートリフロー用の温度制御装置(写真1)を作りました。温度制御の性能的には満足の行くものでしたが、温度変化のグラフの表示が小さくて見にくかったのと、温度プロファイルを変更するたびに制御用のスケッチを書き直さなければならないので、使い勝手には不満がありました。

写真1、ホットプレートリフロー用の温度制御装置1号機
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写真1、ホットプレートリフロー用の温度制御装置1号機

今回、以前より大型のグラフィックLCDモジュール(GLCD)と16キーのキーパッドを使う事により、グラフの大型化と温度プロファイルの選択機能を実現したので、報告します。

これ以降、以前に作った温度制御装置を1号機、今回作った温度制御装置を2号機と呼んで区別する事にします。

なお、2号機の製作の過程はブログ記事にも掲載していますので、併せてご覧ください。

2.2号機で改良した点

2号機の主な改良点は次の通りです。

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3.主な部品・材料

2号機の組み立てに使った主な部品や材料について説明します。配線材料やねじなどについてはここでは説明しませんので、同じ温度制御装置を組み立てようと考えている方は、組み立て方のページを参考に用意してください。

3-1. Arduino Uno互換機

機器の全体の制御用にArduino Uno互換機(写真6)を使いました。なお、このArduino Uno互換機のレビューは、以下のブログ記事に掲載しています。

参考リンク:Amazonで激安Arduinoを買ってみた
写真6、2号機の製作に使用したArduino Uno互換機
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写真6、2号機の製作に使用したArduino Uno互換機

3-2. Arduino Holder Type Uno

Arduino Holder Type Uno(写真7)は、Arduino Unoと同形状のArduinoに装着するホルダです。秋月電子で購入しました。

参考リンク:秋月電子のArduino Holder Type Unoの購入ページ
写真7、Arduino Holder Type Uno
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写真7、Arduino Holder Type Uno
撮影の都合で、この写真では実際に使ったArduino Holder Type Unoとは違う色の製品を撮影しています。

ホルダとArduinoはねじ止めもできますが、単にArduinoをホルダにはめ込むだけでも、結構しっかり固定されます。

このホルダは、Arduinoの基板の裏側を絶縁するのに便利なのですが、今回は、試作中にドライバーを使わずにArduinoを取り外しできる様するために使いました。実際にはプラスチックトレイ(後述)に機材を固定した後にArduinoを取り外す機会が少なかったので、このホルダは使わずに、直接Arduinoをプラスチックトレイにねじ止めしても良かったかもしれません。

3-3.128×64モノクログラフィックLCDシールド

128×64モノクログラフィックLCDシールド(写真8)は、128×64の解像度を持ったGLCDのシールドです。今回の製作のテーマのひとつがGLCDの高解像度化ですから、今回の製作のキーデバイスのひとつです。SPI接続なので、パラレル接続のGLCDと比較して使用するArduinoのピン数が少なく、今回の様に多くの周辺デバイスをArduinoに接続する場合には向いているGLCDシールドです。

写真8、128×64モノクログラフィックLCDシールド
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写真8、128×64モノクログラフィックLCDシールド
128×64モノクログラフィックLCDシールド 商品名 128×64モノクログラフィックLCDシールド
税抜き小売価格 3600円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ

3-4.I/Oピン一つで読める4X4キーパッド

I/Oピン一つで読める4X4キーパッド(写真4)は、4×4=16個のキーが付いたキーパッドです。Arduinoのアナログ入力ピンひとつでキーが読めるので、Arduinoに接続する周辺デバイスが多い場合に便利なキーパッドです。今回の製作のテーマのひとつが温度プロファイルの選択機能の実装ですから、今回の製作のキーデバイスのひとつです。

写真4(再掲)、I/Oピン一つで読める4X4キーパッド
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写真4(再掲)、I/Oピン一つで読める4X4キーパッド

今回は完成品を使用しましたが、同じ機能のキットもあり、それを使うと製作コストを抑える事ができます。

I/Oピン一つで読める4X4キーパッド(完成品) 商品名 I/Oピン一つで読める4X4キーパッド(完成品)
税抜き小売価格 1380円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ
I/Oピン一つで読める4X4キーパッドキット 商品名 I/Oピン一つで読める4X4キーパッドキット
税抜き小売価格 900円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ

3-5.MAX31855ブレークアウト基板

MAX31855という熱電対アンプICを使用した、Adafruit社製のブレークアウト基板で、正式にはThermocouple Amplifier MAX31855 breakout boardという商品名です。(写真5参照) 秋月電子でもMAX31855使用 K型熱電対アンプモジュールという商品名で販売しています。このブレークアウト基板については、AdafruitのMAX31855基板を使った温度測定という記事で詳しく説明していますので、そちらも参照してください。

写真5(再掲)、MAX31855ブレークアウト基板
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写真5(再掲)、MAX31855ブレークアウト基板

3-6.K型熱電対

MAX31855を使う場合は、K型の熱電対を用意する必要があります。

今回は、妙楽堂で買った熱電対(写真9)を使用しました。

参考リンク:妙楽堂のK型1m熱電対の販売ページ
写真9、妙楽堂で買ったK型熱電対
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写真9、妙楽堂で買ったK型熱電対

3-7.大電流大型リレーモジュールキット

ホットプレートの電源を入れたり切ったりするために、秋月電子の大電流大型リレーモジュールキット(写真10)を使用しました。

写真10、組み立てて温度制御装置に組み込んだ大電流大型リレーモジュールキット
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写真10、組み立てて温度制御装置に組み込んだ大電流大型リレーモジュールキット

ネットを検索すると、ホットプレートやオーブントースターを使ったリフロー装置を自作していらっしゃる方は他にもいらっしゃいますが、電源の制御には機械式のリレーではなくSSR(半導体を使ったリレー)を使った作例が多い様です。

SSRは機械式のリレーに対して次の様な利点があります。

しかしながら、SSRはその構造上、ON時の出力に1~2V程度の電圧降下が発生し、比較的大きな発熱があります。例えば秋月電子で売っているS216S021という16A出力のSSRでは、12A出力時(ホットプレートを負荷にするとこの程度の電流が流れる)に約14Wの発熱があります。電子工作に使う半田ごてが20W程度ですから、かなり大きな発熱である事が分かるでしょう。

SSRを安全に使うには、十分な大きさの放熱器を使用して放熱する事が必須となります。そのため、SSRを使用すると意外と装置が大型化します。ネット上で公開されているリフロー制御装置には、放熱器を取り付けずにSSRを使っている例もありますので、うかつに真似をすると危険です。

放熱が面倒くさいので、私はあえて機械式のリレーを使用しました。機械式のリレーはSSRと比べて寿命が短い(今回使用したリレーの場合10万回)のですが、家庭用の機器の場合は酷使しないので、この点は目をつぶる事にします。また動作音に関しては、リレーの動作が耳で確認できるので、考えようによっては多少の音がする方が安心です。

3-8.他励式圧電ブザー

キー入力の確認音や、リフローのスタート・ストップ時の確認音を出すために他励式の圧電ブザー(写真11)を使用しました。他励式の圧電ブザーは、発振回路を内蔵しておらず、外部から、鳴らしたい音の周波数の交流信号を印可する必要のあるタイプの圧電ブザーの事で、秋月電子では圧電スピーカーとか、圧電サウンダという商品名で売っています。

写真11、他励式の圧電ブザー
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写真11、他励式の圧電ブザー

今回使った圧電ブザーは、マルツの店頭でまとめ買いしたもので、型番などの仕様は分かりません。でも、他励式の圧電ブザーなら、だいたいどれをつないでも同じように動くでしょう。

他励式の圧電ブザーは、衝撃を与えると圧電効果により電圧を発生します。その電圧がマイコンの故障の原因になりかねないという事で、1kΩ以上の抵抗を直列につないでマイコンを保護する方がいいといわれています。今回は、圧電ブザーに1kΩの抵抗を直列接続した上で、Arduinoのピンに接続しました。

3-9. プラスチックトレイ

1号機と同様、ダイソーで買ったプラスチックトレイ(写真12)に部品をねじ止めして装置を組み立てました。トレイの商品名は「自由自在積み重ねトレー大」です。

写真12、ダイソーで買ったプラスチックトレイ
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写真12、ダイソーで買ったプラスチックトレイ

次のページでは、温度制御装置の組み立て方について説明します。

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このページで使われている用語の解説

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128×64モノクログラフィックLCDシールド 商品名 128×64モノクログラフィックLCDシールド
税抜き小売価格 3600円
販売店 スイッチサイエンス
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I/Oピン一つで読める4X4キーパッド(完成品) 商品名 I/Oピン一つで読める4X4キーパッド(完成品)
税抜き小売価格 1380円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ
I/Oピン一つで読める4X4キーパッドキット 商品名 I/Oピン一つで読める4X4キーパッドキット
税抜き小売価格 900円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ
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書名:Arduino 電子工作
ISBN:978-4-7775-1941-5
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