AQM1248Aを使ったArduino用シールド2種(2)

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2016年06月22日 公開。

3.74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールド

ArduinoでグラフィックLCDを動かす(AQM1248A編)(5)図32および図33に示した、74AHC244を用いたレベル変換回路、およびAQM1248Aとリセット用のタクトスイッチを搭載したシールドを製作しました。

3-1.回路図と部品表

製作したシールドの回路図を図2に、部品表を表5に示します。

図2、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの回路図
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図2、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの回路図
表5、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの部品表
部品番号 数量 品名 型番/仕様 備考
C1 1 セラミックコンデンサ 0.1μF、50V U1の近くに配置。
SW1 1 タクトスイッチ 6mm角  
CN1、CN2 2 ピンヘッダ 2.54mmピッチ、1×6ピン  
CN11 1 ピンヘッダ 2.54mmピッチ、1×7ピン 1×40ピンのピンヘッダを切断して使用。このピンヘッダは、AQM1248Aの信号線をロジックアナライザで観察するために使用する。
CN9、CN10 2 ピンヘッダ 2.54mmピッチ、1×8ピン 1×40ピンのピンヘッダを切断して使用。SDAとSCLの配線もする場合は、CN9に1×10ピンのピンヘッダを使用する。
CN5 1 ピンヘッダ 2.54mmピッチ、2×3ピン 2×40ピンのピンヘッダを切断して使用。
CN3、CN4 2 ピンソケット  2.54mmピッチ、1×6ピン
CN7、CN8 2 ピンソケット 2.54mmピッチ、1×8ピン SDAとSCLの配線もする場合は、CN7に1×10ピンのピンソケットを使用する。
CN6 1 ピンソケット 2.54mmピッチ、2×3ピン 分割ロングピンソケット2×42を切断して使用。 
U1 1 汎用ロジック SN74AHC244N  ICソケットを使わずに、直接実装しても良い。
LCD1 1 LCDモジュール 超小型グラフィックLCDピッチ変換キット AQM1248A超小型グラフィックLCD用ピッチ変換基板のセット。
  1 ユニバーサル基板  Arduinoのシールド用 CN6が正しいSPIヘッダの位置に実装できるユニバーサル基板を選ぶこと。
  2 ジャンパピン 2.54mmピッチ  CN5に挿入して使用。ハードウェアSPIソフトウェアSPIの切り替えに用いる。

3-2.シールドの組み立て方

製作したシールドの外観を写真10~12写真に示します。

写真10、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(上面)
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写真10、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(上面)
写真11、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(下面)
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写真11、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(下面)
写真12、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(側面)
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写真12、74AHC244を用いたレベル変換回路を使ったシールドの外観(側面)

左隅に写っているのは、基板を固定するためのクリップ。

部品番号とピン番号を記入した写真を写真に示します。

写真13、部品配置
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写真13、部品配置

CN1とCN3は回路図上では6ピンだが、実際には8ピンの部品を実装している。もちろん6ピンの部品を実装しても正しく動作する。

CN9は回路図上では8ピンだが、実際には10ピンの部品を実装している。もちろん8ピンの部品を実装しても正しく動作する

CN7とCN8は、回路図上では別々の部品だが、実際の基板では、ユニバーサル基板のパターンの関係で、連結して一つの部品としている。他のユニバーサル基板を使う場合は、別々の部品として実装するべき場合もある。

シールドは、妙楽堂で販売しているArduinoユニバーサル基板を使用しました。

前のページで作った抵抗分圧型レベル変換回路を使ったシールドでは、サンハヤト製のUB-ARD01WHというユニバーサル基板を使用しましたが、このユニバーサル基板を使うと、CN6の2×3ピンのピンソケットが正しい位置に実装できません。そのため、ArduinoのSPIヘッダ(ISCPヘッダ)と正しく嵌合しなくなります。

当方では試していませんが、おそらくスイッチサイエンスのArduino用バニラシールド基板ver.2でも正しい位置にCN6を実装できると思います。

配線は、0.4mmのすずめっき線と0.2mmのUEW(ポリウレタン線)を使いました。(写真11と写真7を参照)

写真7(再掲)、すずめっき線とUEW(ポリウレタン線)
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写真7(再掲)、すずめっき線とUEW(ポリウレタン線)

ユニバーサル基板上に、回路図通り配線をしていけば、シールドが完成します。

LCD1の超小型グラフィックLCDピッチ変換キットは、ピッチ変換キットに付属のピンヘッダで、直接ユニバーサル基板にはんだ付けしました。ピッチ変換基板の左端の7ピンだけで、ピッチ変換基板を支える事になるため、秋月電子の細ピンヘッダ1×40を3ピン分切って、さらに長い方のピンをニッパで切り取り、ピッチ変換基板の右側を支えています。(写真14と写真15を参照)

写真14、AQM1248Aの裏側の細ピンヘッダの位置
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写真14、AQM1248Aの裏側の細ピンヘッダの位置
写真15、細ピンヘッダがAQM1248Aの基板を支えている様子
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写真15、細ピンヘッダがAQM1248Aの基板を支えている様子

U1の74AHC244は、今回はICソケットを使って実装しましたが、基板に直付けしても問題ありません。

CN1、CN2、CN9、CN10のピンヘッダと、CN6のピンソケットは、Arduinoとシールドの接続用です。基板の裏側に実装してください。

前のページで作った抵抗分圧型レベル変換回路を使ったシールドでは、リード長10mmのピンソケットを使用しましたが、このピンソケットはリードが薄くて曲がりやすいため、今回はピンソケットとピンヘッダに分けて実装する事にしました。その分、部品点数やはんだ付けの箇所が増えています。

CN7とCN8は、便宜上別の部品として書いていますが、妙楽堂のArduinoユニバーサル基板を使う場合は、1×16ピン(または1×18ピン)の1つのピンソケットを使います。また、妙楽堂の基板には、CN9にSDAとSCLのピンも付けられるようになっていますので、それらを使う場合は、CN7とCN9は、それぞれ1X10ピンのピンソケットと1X10ピンのピンヘッダにします。(今回私の作ったシールドは、CN7とCN9が1×10ピンになっています)

3-3.回路の説明

ArduinoとAQM1248Aを接続するためのレベル変換回路として、ArduinoでグラフィックLCDを動かす(AQM1248A編)(5)図32および図33の回路を使っています。これらの回路は5VのArduinoにも3.3VのArduinoにも対応しています。

図32の結線にするか図33の結線にするかを選択できる様に、CN5の2×3ピンのピンヘッダを設けました。CN5にはジャンパピン(ショートソケット)を2つ接続し、その接続の仕方によって、ハードウェアSPIとソフトウェアSPIを選択します。

特にソフトウェアSPI接続でなければいけない理由がないならば、ハードウェアSPI接続にしておくといいでしょう。その方が、Arduinoの11番ピンと13番ピンが空くので、使いやすいと思います。

CN5のジャンパピンの設定方法を、表6と写真16および写真17に示します。

表6、CN5のジャンパピンの設定方法
ジャンパピンを挿入する
ピンの番号
SPIインターフェースの
動作モード
3-5、4-6 ハードウェアSPI
1-3、2-4 ソフトウェアSPI
写真16、ハードウェアSPI接続時のジャンパピンの設定
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写真16、ハードウェアSPI接続時のジャンパピンの設定

CN5の3番ピンと5番ピンの間、および4番ピンと6番ピンの間にジャンパピンを挿入すると、ハードウェアSPI接続になる。

写真17、ソフトウェアSPI接続時のジャンパピンの設定
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写真17、ソフトウェアSPI接続時のジャンパピンの設定

CN5の1番ピンと3番ピンの間、および2番ピンと4番ピンの間にジャンパピンを挿入すると、ソフトウェアSPI接続になる。

4.組み立てたシールドの動作試験をするためのスケッチについて

シールドを組み立てた後に、正常にシールドが動作する事を確認するために便利な、デモ用のスケッチが、MGLCDライブラリ(およびMGLCD_SPIライブラリ)に付属しています。

ハードウェアSPI接続の場合は、Arduino IDEファイル→スケッチの例→MGLCD_SPI→MGLCD_AQM1248A_SPI→demoメニューを選択してください。デモ用のスケッチが開きます。(図3参照)

図3、ハードウェアSPI接続の場合のデモスケッチの開き方
図3、ハードウェアSPI接続の場合のデモスケッチの開き方

ソフトウェアSPI接続の場合は、Arduino IDEでファイル→スケッチの例→MGLCD→MGLCD_AQM1248A_SoftwareSPI→demoメニューを選択してください。デモ用のスケッチが開きます。(図4参照)

注:前のページで説明した抵抗分圧型レベル変換回路を使ったシールドの場合は、必ずソフトウェアSPI接続になります。

図4、ソフトウェアSPI接続の場合のデモスケッチの開き方
図4、ソフトウェアSPI接続の場合のデモスケッチの開き方

デモスケッチを実行すると、写真18~写真23の様な画面が表示されます。

写真18、デモスケッチの画面(1)
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写真18、デモスケッチの画面(1)
写真19、デモスケッチの画面(2)
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写真19、デモスケッチの画面(2)
写真20、デモスケッチの画面(3)
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写真20、デモスケッチの画面(3)
写真21、デモスケッチの画面(4)
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写真21、デモスケッチの画面(4)
写真22、デモスケッチの画面(5)
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写真22、デモスケッチの画面(5)
写真23、デモスケッチの画面(6)
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写真23、デモスケッチの画面(6)

5.LCDの画面を制御するスケッチの作り方

LCD(AQM1248A)の画面を制御するスケッチの作り方については、ArduinoでグラフィックLCDを動かす(AQM1248A編)(13)をご覧ください。

なお、2種類のシールドが使用するArduinoのピンを表7に示します。スケッチは、この表のピン接続に合わせてスケッチを作ってください。

表7、シールドが使用するArduinoのピン
ハードウェアSPI接続の場合 ソフトウェアSPI接続の場合
信号名 Arduinoのピン 信号名 Arduinoのピン
SCLK (SCK_PIN) SPI-3 SCLK (SCK_PIN) 13
SDI (MOSI_PIN) SPI-4 SDI (MOSI_PIN) 11
/CS (CS_PIN) 10 /CS (CS_PIN) 10
RS (DI_PIN) 9 RS (DI_PIN) 9

注1:前のページで説明した抵抗分圧型レベル変換回路を使ったシールドの場合は、必ずソフトウェアSPI接続になります。

注2:ハードウェアSPI接続の場合は、SCLK信号とSDI信号に割り当てるArduinoのピンを、スケッチで指定する必要はありません。

注3:Arduioのピンの配置については、ArduinoでグラフィックLCDを動かす(AQM1248A編)(3)図4図5を参照してください。

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