ArduinoでグラフィックLCDを動かす(AQM1248A編)(5)

このページをスマホなどでご覧になる場合は、画面を横長にする方が読みやすくなります。
目次へ  前のページへ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) 次のページへ
2016年03月31日 公開。

3-6-2.レベル変換用ICを使う方法

前のページでは抵抗分圧方式のレベル変換回路を使って、AQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する方法を説明しましたが、今度は、レベル変換用のICを使って接続する方法を説明します。

3-6-2-1.74AHC244を使う接続法

74AHC244は、図30に示すように、8つの3ステートバッファが内蔵されており、4つごとに負論理のイネーブル信号(1OEと2OE)で制御されています。

1OE(1番ピン)の入力がLの時は、1A1(2番ピン)、1A2(4番ピン)、1A3(6番ピン)、1A4(8番ピン)に入力された信号が、それぞれ1Y1(18番ピン)、1Y2(16番ピン)、1Y3(14番ピン)、1Y4(12番ピン)にそれぞれ出力されます。1OEの入力がHの時は、1Y1、1Y2、1Y3、1Y4の全ての出力がハイインピーダンス(電源側にもGND側にもつながっていない状態)になります。

残りの4つの3ステートバッファについても同様に、2OE(19番ピン)のイネーブル信号で制御されます。

図30、74AHC244の機能を表わした回路図
図30、74AHC244の機能を表わした回路図

TEXAS INSTRUMENTS社のデータシート"SNx4AHC244 Octal Buffers/Drivers With 3-State Outputs"より転載

20ピンのICで、DIPパッケージ品も存在します。DIP品のピン接続を図31に示します。

図31、74AHC244のDIP品のピン接続
図31、74AHC244のDIP品のピン接続

TEXAS INSTRUMENTS社のデータシート"SNx4AHC244 Octal Buffers/Drivers With 3-State Outputs"より転載

この様に、出力をハイインピーダンスにできる3ステートバッファが入った74AHC244ですが、今回は2つのイネーブルピン(1OEと2OE)の入力をLに固定し、ただのバッファ(Lを入力したらLを出力し、Hを入力したらHを出力する論理回路)として使います。

74AHCシリーズのCMOS ICは、電源電圧より高い入力電圧を印加しても、壊れることなく正常に動作しますから、5V→3.3Vのレベル変換に使えます。(一方で、アマチュアの電子工作に最も広く使われている74HCシリーズは、電源電圧より高い電圧を入力端子に印加すると、ラッチアップと呼ばれる、IC内部に異常な大電流が流れる現象が起こり、その電流により故障する事があります)

それでは、74AHC244を使って5V動作のArduinoとAQM1248Aを接続する方法を説明しましょう。

具体的な配線の方法を図32(ハードウェアSPI)と図33(ソフトウェアSPI)に示します。また、図32および図33の配線を行った試作回路の写真を、それぞれ写真16と写真17に示します。

図32、74AHC244を使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ハードウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
図32、74AHC244を使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ハードウェアSPI)
図33、74AHC244を使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ソフトウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
図33、74AHC244を使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ソフトウェアSPI)

Arduino Unoの場合は、11番端子とSPI-4端子、および13番端子とSPI-3端子がArduino内部で接続されているので、図32の結線と電気的に等価。

写真16、74AHC244を使ってAQM1248AをArduino Unoに接続した例(ハードウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
写真16、74AHC244を使ってAQM1248AをArduino Unoに接続した例(ハードウェアSPI)
写真17、74AHC244を使ってAQM1248AをArduino Unoに接続した例(ソフトウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
写真17、74AHC244を使ってAQM1248AをArduino Unoに接続した例(ソフトウェアSPI)

図32の配線(ハードウェアSPI)を行った場合、動作試験のスケッチは3ページリスト1になります。

図33の配線(ソフトウェアSPI)を行った場合、動作試験のスケッチは3ページリスト2になります。

これら2つのスケッチは、Arduino IDE 1.0.X、1.6.Xおよび1.7.Xで動作します。(Arduino IDE 1.0.6、1.6.7および1.7.8とArduino Uno、Arduino LeonardoおよびArduino Mega2560の組み合わせ、計9通りで動作確認済み)

なお、DIPパッケージの74AHC244としてTI(TEXAS INSTRUMENTS)のSN74AHC244Nを使いました。このICは秋月電子では取り扱っていませんが、マルツで入手できます。

広告
3-6-2-2.HD74LVC541A/​HD74LV541A/​TC74VHC541FTを使う接続法

表面実装品でいいなら、秋月電子で手に入るHD74LVC541AHD74LV541ATC74VHC541FTも使えるはずです。(ただしこれらのICについては、当方で動作試験をしていませんので、回路を作る人は、ご自分の責任でお願いします)

HD74LVC541A、HD74LV541A、およびTC74VHC541FTは、いずれも機能やピン配置が共通のICです。これらのICのピン接続を図34に示します。

図34、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTのピン接続
↑ 画像をクリックすると拡大
図34、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTのピン接続

RENESAS社のデータシート"HD74LVC541A Octal Buffers/Line Drivers with 3-state Outputs" (RJJ03D0251-0600Z Rev.6)より転載。

3ステートバッファが8個入っていますが、これらがG1(1番ピン)とG2(19番ピン)の負論理入力のANDを取った信号で制御されています。つまり、G1とG2の両方がLなら、Y1~Y8にはA1~A8の信号がそのまま出てきますが、G1とG2の内どちらか一方でもHになると、Y1~Y8はハイインピーダンスになります。

今回は、ただのバッファとして使いたいので、G1とG2を共にLに固定する事にします。

これらのICを使って5V動作のArduinoにAQM1248Aを接続する場合は、図35(ハードウェアSPI)または図36(ソフトウェアSPI)にしたがって配線を行ってください。

図35、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTを使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ハードウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
図35、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTを使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ハードウェアSPI)
図36、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTを使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ソフトウェアウェアSPI)
↑ 画像をクリックすると拡大
図36、HD74LVC541A/HD74LV541A/TC74VHC541FTを使ってAQM1248Aを5V動作のArduinoに接続する場合の配線図(ソフトウェアウェアSPI)

Arduino Unoの場合は、11番端子とSPI-4端子、および13番端子とSPI-3端子がArduino内部で接続されているので、図35の結線と電気的に等価。

図35の配線(ハードウェアSPI)を行った場合、動作試験のスケッチは3ページリスト1になります。

図36の配線(ソフトウェアSPI)を行った場合、動作試験のスケッチは3ページリスト2になります。

これら2つのスケッチは、Arduino IDE 1.0.X、1.6.Xおよび1.7.Xで動作します。(Arduino IDE 1.0.6、1.6.7および1.7.8とArduino Uno、Arduino LeonardoおよびArduino Mega2560の組み合わせ、計9通りで動作確認済み。ただしスケッチの動作確認は他のレベル変換回路でしたものの、図35や図36のレベル変換回路の動作試験はやっていないので注意)

次のページでは、74HC4050を使ったレベル変換回路の話をします。

目次へ  前のページへ (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) 次のページへ

このページで使われている用語の解説

関連ページ

関連製品

122X32モノクログラフィックLCDシールド 商品名 122X32モノクログラフィックLCDシールド
税抜き小売価格 3333円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ
GLCD学習シールドキット 商品名 GLCD学習シールドキット
税抜き小売価格 1410円
販売店 スイッチサイエンス
サポートページ
Arduino 電子工作
このサイトの記事が本になりました。
書名:Arduino 電子工作
ISBN:978-4-7775-1941-5
工学社の書籍の内容の紹介ページ
本のカバーの写真か書名をクリックすると、Amazonの書籍購入ページに移動します。