しなぷすのハード製作記

低い抵抗値を4端子法で測定する方法(2)

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3.デジタルマルチメータ2台でカーボン抵抗の抵抗値を測ってみる

手元に2.0Ωの±5%精度のカーボン抵抗の在庫がたくさんありますので、これらの抵抗値をデジタルマルチメータ2台で測ってみましょう。測定は、次の様な実験系で行いました。例によって、大電流が流れるルートは赤色で、電流がほとんど流れないルートは青色で書いてあります。

図6、デジタルマルチメータ2台で4端子法による抵抗測定をする場合の測定系
図6、デジタルマルチメータ2台で4端子法による抵抗測定をする場合の測定系

直流電圧源として、つまみを回せば電源電圧を変えられる実験用可変電源を用いました。こんな大層な物を使わなくても、電圧が時間的に変動しなければいいので、乾電池で代用できます。また、リップルが十分小さいものならば、ACアダプタでも代用できます。

図1の原理図にはなかった100Ωの抵抗が図6にはありますが、これは、測定したい抵抗が小さな抵抗値の場合に、電圧をちょっと上げると大電流が流れてしまうので、電流制限用に入れてあります。この100Ωの抵抗は、電流を測定するためのループ上にありますから、この抵抗で発生する電圧降下は、抵抗の測定値には影響しません。また、この100Ωを入れておくほうが、接触抵抗の時間的な変動の影響を受けずに測定をできるため、むしろ測定の精度が向上します。

測定時の写真を次に示します。

写真1、4端子法による抵抗値測定の風景(遠景)
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写真1、4端子法による抵抗値測定の風景(遠景)
写真2、4端子法による抵抗値測定の風景(抵抗付近拡大)
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写真2、4端子法による抵抗値測定の風景(抵抗付近拡大)

写真のように、ワニ口クリップやICクリップを使って、基板を使ったり、半田付けしたりせずに、空中配線しています。

写真にははっきりと写っていませんが、実験用電源の電圧の設定値は3.26Vです。電圧を上げて、抵抗にたくさん電流を流す方が、より正確な抵抗値が得られますが、電圧設定を5V以上にすると、100Ω抵抗の定格電力の1/4Wを超えます。設定電圧を決める際には、電流制限抵抗(100Ω)の定格電力に注意が配慮が必要です。

電圧が61.2mV、電流が30.99mAですから、抵抗値は61.2÷30.99=1.97Ωとなりました。抵抗の公称値は2Ω±5%ですから、公称値を信じるなら、抵抗値は1.9Ω~2.1Ωの範囲に入っているはずです。今回の測定値1.97Ωは、この範囲に入っています。

同じ抵抗を、デジタルマルチメータの抵抗レンジで直接測ってみました。

写真3、デジタルマルチメータによる抵抗値の測定風景(1)
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写真3、デジタルマルチメータによる抵抗値の測定風景(1)
写真4、デジタルマルチメータによる抵抗値の測定風景(2)
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写真4、デジタルマルチメータによる抵抗値の測定風景(2)

測定してみると、ICクリップと抵抗のリード線の接触状況が変わるためか、値が0.2Ωくらいふらつきます。それに、明らかに2オームより高い抵抗値を示します。

次に抵抗のリード線の同じ側にICクリップを付けて、抵抗値を測定しました。

写真5、デジタルマルチメータのリード線をショートした場合の抵抗値測定結果(1)
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写真5、デジタルマルチメータのリード線をショートした場合の抵抗値測定結果(1)
写真6、デジタルマルチメータのリード線をショートした場合の抵抗値測定結果(2)
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写真6、デジタルマルチメータのリード線をショートした場合の抵抗値測定結果(2)
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測定値は0Ωにはなりませんでした。また、測定値は変動するのですが、おおむね0.4~0.5Ωくらいみたいです。これが、リード線の抵抗やICクリップやデジタルマルチメータ側のバナナクリップの接触抵抗の合計値なのでしょう。

上の写真では、抵抗の測定結果が2.3Ωと2.4Ωになっています。そこで、こういう考え方は必ずしも合理的ではありませんが、便宜的にそれらの平均値の2.35Ωを測定値と考えることにします。

同様に、リード線の同じ側にICクリップをつけた時の抵抗値も、0.4Ωと0.5Ωの平均の0.45Ωだと考えることにします。

そうすると、それらの差から求まる、抵抗値は2.35-0.45=1.9Ωという事になります。おおむね妥当な値が出てはいますが、表示がふらつく(4端子法の場合は表示が安定していた)事を考えると、テスターの抵抗レンジで2端子法で測定した抵抗値は、信憑性が低いといえます。

4端子法で公称値2Ωの抵抗がうまく測定できたので、今度はもっと低い抵抗値を測定してみます。残念ながら2Ωより低い抵抗の在庫がなかったので、2Ωの抵抗を複数並列接続して、低い抵抗値を合成することにしました。1個から始めて、最大5個まで、抵抗の数を増やして行きました。測定結果を次の表に示します。

表1、公称2Ωの抵抗を複数並列につないだ時の、4端子法での抵抗値の測定結果
抵抗の個数 合成抵抗の計算値[Ω] 電圧測定値[mV] 電流測定値[,mA] 合成抵抗の測定値[Ω] 測定値の計算値に対する乖離[%]
1 2.000 61.2 30.99 1.97 -1.5
2 1.000 31.1 31.66 0.982 -1.8
3 0.667 20.9 31.80 0.657 -1.5
4 0.500 15.7 31.86 0.492 -1.6
5 0.400 12.5 31.90 0.392 -2.0

上の表で、合成抵抗の計算値は、2Ωを抵抗の個数で割って計算した値です。合成抵抗の測定値は、4端子法で測定した電圧を電流で割って計算した値です。合成抵抗の計算値と測定値は、おおむね一致していることが分かります。

測定値の計算値に対する乖離は、(合成抵抗の測定値 ÷ 合成抵抗の計算値 - 1) X 100[%]と計算しました。上の表を見ると、合成抵抗の測定値は、計算値の1.5~2.0%低い値を示していることがわかります。この乖離は、4端子法の測定において発生した誤差なのか、それとも2Ω抵抗が公称値に対して持っていた誤差なのかははっきりしません。ただ、乖離は抵抗の精度(±5%)の範囲に入っており、おおむね良好な測定結果が得られたと考えられます。

4.おわりに

テスターを2台使って、4端子法を使うことにより、1Ω以下の抵抗値も精度良く計れることが分かりました。同じ方法で、被覆線などの抵抗値も測れると思います。

また、アマチュアレベルの電子工作でも、電源関係やオーディオパワーアンプの回路には、1Ω未満の抵抗が出てきます。抵抗値の確認や選別に、今回の測定法を使っていただければ幸いです。

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