2014年07月22日 | 公開。 |
2018年11月30日 | 部品表の備考欄に、ロジックICの機能を記載。 |
今春から、とある高専(高等専門学校)の電子工学科で非常勤講師を始めたのですが、論理回路の設計の講義の時に、74HCシリーズの汎用ロジックICだけで電子サイコロを作る方法を説明しました。この電子サイコロは、ボタンを押すと、LEDが1~6の目の形に点灯する物です。(上の写真では4の目を表示している) せっかく講義用に電子サイコロを作ったので、このサイトでも紹介します。
この手の電子おもちゃは、汎用ロジックICを使うより、マイコンを使う方が配線の量が少なく、また、仕様変更も簡単です。しかし、あえてマイコンを使わずに作る事で、論理回路をより深く理解できますし、マイコンを使った工作のメリットもはっきりと理解できる様になります。
なお、この回路の設計の方法は、私の講義のサイトから、2014年6月26日の講義プリントのPDFをダウンロードすれば、それに載っています。
また、この電子サイコロは、NT金沢2014でも展示していました。
作った電子サイコロの回路図を次に示します。
また、部品表を次に示します。
部品番号 | 数量 | 品名 | 型番/仕様 | メーカー | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
U1 | 1 | 汎用ロジックIC(CMOS) | 74HC00 | 4回路2入力NANDゲート。DIP14ピン。 | |
U2 | 1 | 汎用ロジックIC(CMOS) | 74HC04 | 6回路インバータ。DIP14ピン。 | |
U3 | 1 | 汎用ロジックIC(CMOS) | 74HC174 | 6回路非同期クリア付きポジティブエッジトリガDフリップフロップ。DIP16ピン | |
R3~6、R8~11 | 8 | カーボン抵抗 | 1.2kΩ±5%、1/8W | 1/4Wや1/6Wで代用可 | |
R7 | 1 | カーボン抵抗 | 10kΩ±5%、1/8W | 1/4Wや1/6Wで代用可、22kΩで代用可 | |
R2 | 1 | カーボン抵抗 | 22kΩ±5%、1/8W | 1/4Wや1/6Wで代用可 | |
R1 | 1 | カーボン抵抗 | 47kΩ±5%、1/8W | 1/4Wや1/6Wで代用可 | |
C3 | 1 | セラミックコンデンサ | 1000pF、50V | 同容量のフィルムコンデンサで代用可 | |
C1~2、C5 | 3 | セラミックコンデンサ | 0.1μF、50V | ||
C4 | 1 | アルミ電解コンデンサ | 100μF、25V | ||
LED1~8 | 8 | 発光ダイオード | OSDR3133A | OptoSupply | 赤色の高輝度のLEDなら代用可 |
SW1 | 1 | スライドスイッチ | JS202011CQN | C&K Components | IS-2235で代用可 |
SW2 | 1 | タクトスイッチ | |||
CN1 | 1 | ヘッダピン | 1X10ピン、2.54mmピッチ | 1X40ピンのピンヘッダを切断して使用 | |
CN2 | 1 | 電池ホルダ | CH25-2032LF | COMFORTABLE ELECTRONIC | CR2032(コイン電池)用電池ホルダ |
TP1 | 1 | チェック端子 | SST-1-1 | サンハヤト | |
2 | ICソケット | DIP14ピン | U1とU2に使用 | ||
1 | ICソケット | DIP16ピン | U3に使用 | ||
1 | ユニバーサル基板 | ICB-504 | サンハヤト | ||
1 | コイン電池 | CR2032 | CN2に装着 |
上記部品表の部品をユニバーサル基板に半田付けして組み立てます。配線は0.4mmのスズめっき線で行い、補助的に0.2mmのUEW(ポリウレタン銅線)を使いました。当然の事ですが、コイン電池(CR2032)は、回路が全部仕上がってから電池ホルダに装着してください。電池を装着したまま配線作業を行うと、電池をショートする恐れがあり危険です。
完成後の基板の写真を次に示します。基板表面の写真には、主だった部品の部品番号を書き入れてあります。
CN2にコイン電池(CR2032)を装着し、SW1をONにすると、LED1(電源インジケータ用LED)が点灯します。この時、LED2~8に、無効なサイコロの目が表示されるかもしれませんが、気にしないでください。
次に、SW2を一瞬押して離すと、LED2~8にサイコロの目が表示されます。さらにSW2を押して離すと、何度もサイコロを振れます。
表示されるサイコロの目は、ランダムで、1~6の目が均等に1/6の確率で表示されます。
次に電子サイコロが動作している様子の動画を示します。SW2のボタンを押している間のLEDの表示が良く分かるように、長めにボタンを押していますが、もっと短く押してもOKです。
今回は、電子サイコロの回路図を紹介し、組み立て方と遊び方を簡単に説明しました。次回は、電子サイコロの動作原理について説明する予定です。続きを書くのはぼちぼちと。