しなぷすのハード製作記

Arduino Dueを使ったオシロスコープの試作(4)

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2018年08月12日 公開。

6.使い方

今回試作したオシロスコープの使い方を説明します。

なお、使い方は、次の動画でも紹介していますので、こちらも参考にしてください。

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6-1.測定電圧の入力方法

オシロスコープはに測定したい電圧を入力するには、プリアンプ基板のターミナルブロック(図6のCN1)を使います。

CN1は、写真12に示す様に、CH1の入力端子と、GND端子と、CH2の入力端子の3端子からなります。GND端子を測定したい回路のGNDに接続し、CH1とCH2を電圧を測定したい部分に接続してください。測定したい回路がブレッドボードに組まれている場合は、配線にブレッドボード用のジャンパ線を使うと便利です。

写真12、電圧を入力する端子
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写真12、電圧を入力する端子

なお通常のオシロスコープは、同軸ケーブルをプローブに使う関係上、CH1用のGND端子とCH2用ののGND端子が別に設けられている事が多いのですが、絶縁入力(フローティング入力)と呼ばれる特殊な入力回路を持ったオシロスコープではない限り、CH1用のGND端子とCH2用のGND端子がオシロスコープ内部で短絡(ショート)しています。

参考:CH1用のGND端子とCH2用のGND端子がオシロスコープ内部で短絡している(絶縁されていない)事を知らない初心者は、2つのGND端子を別の電位の所に接続して、トラブルを起こす事が良くあります。回路によっては、この接続ミスは、発火・発煙事故などの重大な事故の原因になります。

この記事で紹介しているオシロスコープの場合、同軸ケーブルを使う事を前提としていないため、元々CH1用のGND端子とCH2用のGND端子が分かれていません。

6-2.キーパッドの使い方

キーパッド基板には、4つのキー(ボタン)が十字に配置されています。写真13に示す様に、UPキー、LEFT/CANCELキー、RIGHT/OKキー、DOWNキーという名称が、それぞれのキーに付いています。

参考:将来的にはRUN/STOPkキーも加えて5つのキーにしようと考えています。

写真13、キーパッド基板の各キーの名称
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写真13、キーパッド基板の各キーの名称

各キーの働きについて、表2にまとめました。

表2、各キーの働き
名称 働き
UPキー 設定/調整する項目を選択するカーソルを上に移動するために使います。カーソルが一番上の行の時にUPキーを押すと、前のページに移動します。
LEFT/CANCELキー 設定/調整する項目の数値を小さくしたり、一つ前の選択肢に切り替えるために使います。一部の機能では、その操作をキャンセルするために使います。
RIGHT/OKキー 設定/調整する項目の数値を大きくしたり、一つ後の選択肢に切り替えるために使います。一部の機能では、その操作を実行するために使います。
DOWNキー 設定/調整する項目を選択するカーソルを下に移動するために使います。カーソルが一番上の行の時にDOWNキーを押すと、前のページに移動します。

6-3.画面構成とカーソルの操作

画面の構成を写真14に示します。画面左側が、測定した電圧波形を表示する、波形表示部になっています。また画面右側が、各種設定値項目・調整値を表示するメニューになっています。

写真14、オシロスコープの画面構成
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写真14、オシロスコープの画面構成

メニューには一行だけ白黒反転(白青反転)の表示になっている行がありますが、これをカーソルといいます。カーソルは、その設定項目・調整値がLEFT/CANCELキーおよびRIGHT/OKキーで変更可能である事を示しています。

試しに、写真14の状態でRIGHT/OKキーを何回か押すと、カーソル部分の表示がCH1CH1 INVGNDOFFCH1→…と切り替わっていく様子が分かると思います。

またLEFT/CANCELキーを何回か押すと、カーソル部分の表示がCH1OFFGNDCH1 INVCH1→…という具合に、逆の順序で切り替わっていく様子が分かると思います。

カーソルが表示される行は、UPキーとDOWNキーによって、上下に動かす事ができます。

写真14の状態でDOWNキーを何回か押すと、カーソルが表示される行がCH1200mV+2.0DCH2→…と、順に下に移動していく様子が分かると思います。

またUPキーを何回か押すと、カーソルが表示される行がCH2+2.0D200mVCH1と、順に上に移動していく様子が分かると思います。

6-4.メニューのページ構成

設定項目や調整値が多く、1画面に表示できないため、メニューは2ページで構成されています。メニューの1ページ目を表示した状態の画面を写真15に示します。またメニューの2ページ目を表示した状態の画面を写真16に示します。

写真15、メニュー1ページ目を表示した状態
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写真15、メニュー1ページ目を表示した状態
写真16、メニュー2ページ目を表示した状態
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写真16、メニュー2ページ目を表示した状態

メニューの1ページ目から2ページ目に移動するには、メニュー1ページ目の1番下の行(写真14の+0.0Dを表示している行)にカーソルがある状態で、DOWNキーを押してください。そうすると、メニュー2ページ目の2番目の行(写真15のCH1の行)にカーソルが移動します。なお、メニュー2ページ目の1番上の行のTRIGの部分には、カーソルが移動しない様になっています。

メニューの2ページ目から1ページ目に移動するには、2ページ目の2番目の行(写真16のCH1の行)にカーソルがある状態で、UPキーを押すと、1ページ目の1番下の行(写真15の+0.0Dの行)にカーソルが移動します。

参考:メニュー2ページ目の一番下の行(写真15の"OFSCAN"の行)で"DOWN"キーを押したり、メニュー1ページ目の一番上の行(写真14の"CH1"の行)で"UP"キーを押す事でも、ページの移動ができます。

6-5.設定項目・調整値の説明

各設定項目・調整値の説明をします。

6-5-1.CH1の表示の切り替え(メニュー1ページ目、1行目)

メニュー1ページ目の1行目(写真15CH1の行)にカーソルがある場合は、CH1の信号の表示方法をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで切り替える事ができます。

この行では、CH1CH1 INVGND、およびOFFの4つの選択肢から設定を選択する事ができます。各選択肢の意味を表3に示します。

表3、CH1の表示の切り替えの選択肢
名称 意味
CH1 CH1に入力された電圧信号を、そのまま波形表示部に表示します。
CH1 INV CH1に入力された電圧信号を-1倍して(上下反転して)波形表示部に表示します。
GND CH1に0Vの信号が入力されたものとして波形表示部に表示します。CH1のGNDの位置を確認する時に使います。
OFF CH1の波形表示をしません。

6-5-2.CH1の電圧感度の切り替え(メニュー1ページ目、2行目)

メニュー1ページ目の2行目(写真15CH1の下の200mVの行)にカーソルがある場合は、CH1の電圧感度をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで切り替える事ができます。

電圧感度は100mV/DIV、200mV/DIV、500mV/DIV、1V/DIV、および2V/DIVの5つの選択肢から選ぶことができます。ただし、画面上の表示は、表示スペースの都合から"/DIV"を省略し、それぞれ100mV200mV500mV1V、および2Vとなります。

参考:DIVはdivisionの略で、1目盛りの事を表わしています。2V/DIVなら、1目盛り当たり2Vの事を表わしています。

なおプリアンプ基板には、写真17に示す様に、CH1とCH2のそれぞれに、AC結合とDC結合を切り替えるためのスライドスイッチが付いています。CH1がDC結合の場合は感度の表示の前に何も記号は付きませんが、AC結合の場合は感度の表示の前にの記号が付きます。

例えば100mV/DIVでDC結合の場合は表示は100mVとなりますが、100mV/DIVでAC結合の場合は表示は~100mVとなります。(写真18参照)

写真17、AC結合/DC結合の切り替えスイッチ
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写真17、AC結合/DC結合の切り替えスイッチ
写真18、DC結合の場合とAC結合の場合の感度表示の違い
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写真18、DC結合の場合とAC結合の場合の感度表示の違い

6-5-3.CH1の縦方向の表示位置の調整(メニュー1ページ目、3行目)

メニュー1ページ目の3行目(写真15+2.0Dの行)にカーソルがある場合は、CH1の縦方向の表示位置をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

+2.0Dの表示は、波形の表示位置が中央より2目盛り上になっている事を意味します。(本来は"+2.0 divisions"と表記するべきですが、表示スペースの問題で"divisions"を単に"D"と表記しています)

波形の縦方向の表示位置は-4.0D~+4.0Dの範囲で調整する事ができます。

RIGHT/OKキーを押すたびに、カーソルのある行の数値が0.1Dずつ増加し、波形の表示位置が0.1目盛りずつ上に移動します。

LEFT/CANCELキーを押すたびに、カーソルのある行の数値が0.1Dずつ減少し、波形の表示位置が0.1目盛りずつ下に移動します。

波形表示部の左側には、写真19に示す様に、CH1およびCH2のGND(0V)の位置を示すマークがあります。2つあるマークの内、どちらがCH1のマークかは、数値表記されたCH1の縦方向の表示位置と見比べて確認する必要があります。

写真19、波形表示部の左側にあるGND位置のマーク
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写真19、波形表示部の左側にあるGND位置のマーク

6-5-4.CH2の表示の切り替え(メニュー1ページ目、4行目)

メニュー1ページ目の4行目(写真15CH2の行)にカーソルがある場合は、CH2の信号の表示方法をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで切り替える事ができます。

この行では、CH2CH2 INVGND、およびOFFの4つの選択肢から設定を選択する事ができます。各選択肢の意味を表4に示します。

表4、CH2の表示の切り替えの選択肢
名称 意味
CH2 CH2に入力された電圧信号を、そのまま波形表示部に表示します。
CH2 INV CH2に入力された電圧信号を-1倍して(上下反転して)波形表示部に表示します。
GND CH2に0Vの信号が入力されたものとして波形表示部に表示します。CH2のGNDの位置を確認する時に使います。
OFF CH2の波形表示をしません。

6-5-5.CH2の電圧感度の切り替え(メニュー1ページ目、5行目)

メニュー1ページ目の5行目(写真15CH2の下の200mVの行)にカーソルがある場合は、CH2の電圧感度をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで切り替える事ができます。

CH2の電圧感度の切り替え方については、CH1の電圧感度の切り替えと同じ方法ですので、そちらを参照してください。

6-5-6.CH2の縦方向の表示位置の調整(メニュー1ページ目、6行目)

メニュー1ページ目の6行目(写真15-2.0Dの行)にカーソルがある場合は、CH2の縦方向の表示位置をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

CH2の縦方向の表示位置の調整法については、CH1の縦方向の表示位置の調整法と同じ方法ですので、そちらを参照してください。

6-5-7.時間レンジの切り替え(メニュー1ページ目、7行目)

メニュー1ページ目の7行目(写真15200μsの行)にカーソルがある場合は、時間レンジをLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

時間レンジは、50μs/DIV、100μs/DIV、200μs/DIV、500μs/DIV、1ms/DIV、2ms/DIV、10ms/DIV、20ms/DIVの8つの選択肢から設定する事ができます。ただし、画面上の表示は、表示スペースの都合から"/DIV"を省略し、それぞれ50μs100μs200μs500μs1ms2ms10ms、および20msとなります。

6-5-8.トリガ位置の調整(メニュー1ページ目、8行目)

メニュー1ページ目の8行目(写真15+0.0Dの行)にカーソルがある場合は、トリガ位置をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

トリガ位置の調節範囲は-4DIV~4DIVの範囲で可能です。

RIGHT/OKキーを押すたびに、カーソルのある行の数値が0.1Dずつ増加し、トリガ位置が0.1目盛りずつ右に移動します。(トリガが掛かっている場合は、波形も右に移動します)

LEFT/CANCELキーを押すたびに、カーソルのある行の数値が0.1Dずつ減少し、トリガ位置が0.1目盛りずつ左に移動します。(トリガが掛かっている場合は、波形も左に移動します)

なお、波形表示部の上には、トリガ位置を示す▼印が表示されています。(写真20参照)

写真20、トリガ位置を示す▼印とトリガ位置の数値表記
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写真20、トリガ位置を示す▼印とトリガ位置の数値表記

6-5-9.トリガソースの選択(メニュー2ページ、2行目)

メニュー2ページ目の2行目(写真16CH1の行)にカーソルがある場合は、トリガソースをLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

トリガソースは、CH1CH2のいずれかから選ぶことができます。

6-5-10.トリガエッジの選択(メニュー2ページ目、3行目)

メニュー2ページ目の3行目(写真16RISEの行)にカーソルがある場合は、トリガエッジをLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで選択する事ができます。

トリガエッジはRISEまたはFALLの2つの選択肢から選択する事ができます。各選択肢の意味を表5に示します。

表5、トリガエッジの選択肢
名称 意味
RISE 波形の立ち上がりエッジ(トリガレベルを波形が下から上に超えた瞬間)にトリガが掛かります。
FALL 波形の立ち下がりエッジ(トリガレベルを波形が上から下に超えた瞬間)にトリガが掛かります。

6-5-11.トリガモードの選択(メニュー2ページ目、4行目)

メニュー2ページ目の4行目(写真16AUTOの行)にカーソルがある場合は、トリガモードをLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで選択する事ができます。

トリガモードはAUTONORMALの2つの選択肢から選択する事ができます。各選択肢の意味を表6に示します。

表6、トリガモードの選択肢
名称 意味
AUTO トリガが掛からなくても、ある一定時間経過すると画面(波形表示部)を更新します。トリガ条件の設定が不適切でも、波形の様子が観察できるため、よく使われます。
NORMAL トリガが掛かった時のみ、画面(波形表示部)を更新します。トリガが掛かる頻度が少ない時にでも正確な波形が観察できます。

6-5-12. トリガレベルの調整(メニュー2ページ目、5行目)

メニュー2ページ目の5行目(写真16+0mVの行)にカーソルがある場合は、トリガレベル(トリガ電圧)をLEFT/CANCELキーとRIGHT/OKキーで調整する事ができます。

RIGHT/OKキーを押すたびに、トリガレベルが少しずつ増加します。

LEFT/CANCELキーを押すたびに、トリガレベルが少しずつ減少します。

また写真21に示す様に、波形表示部の右側にRISEまたはFALLのマークが表示されていますが、これがトリガレベルを表わしています。RISEの場合は立ち上がりエッジトリガ(RISE)を、FALLの場合は立下がりエッジトリガ(FALL)を表わしています。

写真21、波形表示部の右側のトリガレベルを表わすマーク
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写真21、波形表示部の右側のトリガレベルを表わすマーク

6-5-13.入力オフセット電圧のキャンセル(メニュー2ページ目、6行目)

メニュー2ページ目の6行目(写真16OFSCANの行)にカーソルがある時にRIGHT/OKキーを押すと、入力オフセット電圧のキャンセル(計算上の補正)を行う事ができます。

参考:OFSCANはoffset cancelの略です。

入力に0Vを加えても、(特に電圧感度が高いレンジでは)オシロスコープの表示が完全に0Vにならない事があります。この誤差を入力オフセット電圧といいます。

参考:入力オフセット電圧は、Arduino Dueに内蔵されているA/D変換器の誤差や、プリアンプ基板の抵抗値の誤差(特に後者の影響が大きい)などにより発生します。

入力オフセット電圧をキャンセルするには、CH1、CH2の入力端子を共にGND端子に接続して、両チャネルに0Vが入った状態にし、次にカーソルがOFSCANの行に来た状態で、RIGHT/OKキーを押します。そうすると写真22の様な画面に切り替わります。

写真22、入力オフセット電圧のキャンセルを実行する事を確認する画面
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写真22、入力オフセット電圧のキャンセルを実行する事を確認する画面

この状態でもう一度RIGHT/OKキーを押すと、入力オフセット電圧がキャンセルされます。

写真22の画面表示の状態で、LEFT/CANCELキーを押すと、入力オフセット電圧のキャンセルは行われません。

次のページでは、オシロスコープの性能を考える上で重要な指標について説明します。

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