前回、オシロスコープの開発中にArduino Dueを壊してしまって、Arduino Dueの正規品と互換品を1台ずつ購入した話をしましたが、それら2台のArduino Due(とその互換機)が届きました。今回は、これら2台と、壊してしまったArduino Due正規品の計3台について比較したいと思います。
AmazonでArduino Dueの正規品と互換機を購入
今回購入したのは、2台ともAmazonマーケットプレイスで売っていたものです。
1台がチップワンストップの出品しているArduino Dueの正規品で、税込み、送料込みで5,742円でした。
チップワンストップは、電子部品の商社で、そのECサイトでもArduino Dueが購入できます。しかし、正規のECサイトで買うと、税抜き、送料込みで5,790円と、Amazonで買うより高くなります。
購入したもう1台が、HiLetGoというブランド名のArduino Dueの互換品で、税込み、送料込みで2,240円でした。
3台もArduino Due(とその互換機)があると、区別するのが大変なので、ここでは、以前から持っていて、先日壊してしまったArduino Dueの正規品を「正規品(旧)」、新しく買ったArduino Dueの正規品を「正規品(新)」、新しく買ったArduino Dueの互換機を「互換機」と呼ぶ事にします。
正規品(旧)の写真
正規品(旧)を上から撮影した写真を次に示します。
正規品(旧)は、Arduino陣営が2つに分裂する前の製品です。
正規品(新)の写真
正規品(新)を上から撮影した写真を次に示します。
この写真から分かる様に、正規品(新)には透明のプラスチックの台が付属しています。
正規品(新)は、先日買ったばかりですので、2つに分裂したArduino陣営が和解してからの製品です。
互換機の写真
互換機を上から撮影した写真を次に示します。
実は、互換機を使ってオシロスコープのスケッチを動かそうとした時に、LCDシールドが挿入できなくて困りました。よく見ると、次の写真の様に、SPIヘッダのピンが曲がっていました。(上の写真は、ピンヘッダをまっすぐに直してから撮影しました)
上の写真からは、ピンヘッダが手作業で3列に切られたらしい切り跡と、バリが残っている事も分かります。
互換機が届いた時の梱包は次の2枚の写真の様な状態でした。ピンヘッダが曲がったのは、梱包が不完全な状態で、輸送中に力が加わったからでしょう。
なお、上の写真の様に、互換機には短いUSBケーブルが付属します。
互換機はピンヘッダが曲がっていたものの、まっすぐに直せば、無事動きました。品質に問題があるものの、以前に激安Arduino Uno互換機を買った時にピンソケットが大きく曲がっていたのに比べればましの様な気がします。
3製品の比較
新旧の正規品と互換機の3機種を比較すると、基本的には同じ製品なのですが、いくつか違う所があります。
基板の色
次の写真は、3機種を真上から撮影した写真です。上から正規品(旧)、正規品(旧)、互換機です。
ご覧の様に正規品(旧)と互換機は、基板のレジストの色が青色で、正規品(新)は緑色です。
正規品(旧)と互換機は、共に青色ですが、互換機の方が深い青色です。正規品(旧)の青色は、若干明るくて、緑がかっている様にも見えます。
ピンソケット
次の写真は、3機種を斜め上から撮影した写真です。上から正規品(旧)、正規品(旧)、互換機です。
写真をクリックして拡大すると分かりますが、3機種ともピンソケットが違います。
正規品(旧)と互換機は、上下にある1列のピンソケットが、それぞれ3つずつに分かれていますが、正規品(新)は、上下の1列のピンセットがそれぞれに一体化しています。たぶん、特注のピンソケットを作って、ピンソケットを挿入する工数を減らしたのでしょう。
次の写真は、その特注のピンソケット部分の拡大写真です。本来3つのピンソケットを使っていた部分を、1つの長くて特殊なピンソケットで済ませているのが分かります。
また、互換機にはピンソケットにピン名称の印刷はありませんが、正規品(旧)の場合、電源関係のピンだけ、ピン名称が印刷されています。さらに正規品(新)の場合、全部のピンの名称が印刷されています。
32kHzの水晶振動子の有無
次の写真は、互換機のマイコンチップ(SAM3x8E)の周辺を写したものです。
赤丸の部分に実装されていない部品がある事が分かると思います。ここは本来、32kHz(正確には32.768kHz)の水晶振動子と、その発振用のコンデンサ2つが取り付けられる所です。
正規品の場合は、新旧問わずにこの部分に水晶振動子が実装されています。
次の写真は、正規品(旧)で同じ部分を撮影した物です。水晶振動子1つとコンデンサ2個が実装されています。
ただし、インターネットを調べた所、正規のArduino Dueでも、ごく初期に出荷された物では、32kHzの水晶振動子が付いていない物もあったという説明を見かけました。(どこに書いてあったかは忘れました)
32kHzの水晶振動子はRTC(リアルタイムクロック)を使ったプロジェクトに必要になります。例えば、一定時間ごとに気温を測定し、時刻と共にSDカードに記録する温度ロガーを作ろうとすると、正確な時刻を知る必要があるので、RTCが必要になるでしょう。
逆に言えば、RTCが必要ないなら、32kHzの水晶振動子がなくても特に困らないでしょう。
さらに言うと、Arduino Dueのボード上の32kHzの水晶振動子をRTCに利用したところで、そのRTCはバッテリーバックアップができません。RTCにバッテリーバックアップが必要な場合は、結局、外付けのRTCモジュールが必要になります。
5V生成用の電源回路
ACアダプタで動作させた場合に、そのACアダプタの電圧(5Vより高い)から5V電源を生成するための、ステップダウンレギュレータ(降圧型スイッチング電源)がArduino Dueには内蔵されています。
次に、正規品(旧)と互換機のステップダウンレギュレータの写真を、順に示します。(赤丸に囲まれている部分がステップダウンレギュレータです)
この様に、正規品(旧)と互換機は、同じステップダウンレギュレータを使っている事が分かります。
一方で正規品(新)は、次の写真の様に、異なるステップダウンレギュレータを使っている事が分かります。
どの様に異なっているのか、詳細な事は調べていませんが、正規品(旧)にあった10μHのインダクタ(100と書いた黒い正方形の部品)が正規品(新)にはなくなっており、また47μFの電解コンデンサ(47と書いた銀色の部品)が積層セラミックコンデンサに置き換えられている事から、おそらくスイッチング周波数の高いステップダウンレギュレータに置き換えられ、インダクタンスはICに内蔵されたのだろうと推測しています。
5V生成用のステップダウンレギュレータの回路構成が変わったところで、ユーザーはあまり意識する事はないと思われますが、「Arduino Dueを新しいのに替えたらノイズの周波数が変わった」などという場合は、一応5V生成用のステップダウンレギュレータを疑ってみる必要があるかも知れません。
なお、5V生成用のステップダウンレギュレータに限らず、アートワークや使用部品が、正規品(旧)と互換機ではそっくりです。Arduino Dueはオープンソースハードウェアであり、その回路図やアートワークは公表されているので、互換機を作ったメーカーが、それらをそっくりそのまま使ったのだろうと思われます。
まとめ
古い時期に出荷されたArduino Dueの正規品、最近に出荷されたArduino Dueの正規品、およびAmazonで購入したArduino Dueの互換機の3機種について、比較を行いました。
これら3機種について、それぞれに細かな違いがあるものの、通常の使用では互換性に問題ないらしいという事が分かりました。
回路構成については、新旧の正規品よりも、旧正規品と互換機の方が、より近い回路構成になっています。
今回購入したArduino Due互換機は、回路構成が、古い時期に出荷られたArduino Dueの正規品とほぼ同じであり、初心者が使う場合でも、両者の違いを意識せずに使う事ができると思います。
その点では、私が以前購入したArduino Uno互換機の様に、必要なパソコン用ドライバが違ったり、アートワークが稚拙で不安だったりという事がありません。