2020年04月22日 | 公開 |
ブレッドボード(breadboard)とは、2.54mm間隔で格子状に電子部品のリードを差し込む穴が開いた基板で、電子回路の試作を短時間に行うために用いられる物です。ブレッドボードを使えば、部品や配線を基板に半田付けする事なく回路が組めます。また、基板に部品や配線を半田付けしないため、回路を変更する場合も、変更したい部分の部品や配線を、ブレッドボードの穴から引き抜き、正しい位置に差し込み見直すだけで行えます。ある回路の試作に使った部品を、別の回路の試作にそのまま使いまわせるという利点も、ブレッドボードにはあります。
写真3に示す様に、ブレッドボードには、2.54mm(0.1インチ)間隔で格子状に、電子部品のリードや配線を挿入するための穴が開いています。ただし、中央の溝をまたぐ部分では、間隔が7.62mm(0.3インチ)になっています。
ブレッドボードの寸法が写真3の様になっているのは、DIPパッケージのICが挿入できる様にするためです。
DIPパッケージは、スルーホール型のICパッケージ(THD)としては、最も一般的な物です。写真4にDIPパッケージのICの例を示します。
写真4のAの方向からICを撮影した写真が写真5です。この写真に示す様に、隣接するピンの間隔は2.54mm(0.1インチ)です。
また写真4のBの方向からICを撮影した時の写真が写真6です。この写真が示す様に、2列に並んだピンの間隔は、通常7.62mm(0.3インチ)です。ただし、ピン数が多いICでは、この間隔を10.16mm(0.4インチ)に設定している物もあります。
この様に、ブレッドボードはDIPパッケージのICを意識して、穴の間隔が2.54mmになる様に作られているので、写真7に示す様に、DIPパッケージのICは、ブレッドボードの中央の溝をまたぐようにして、ぴったりとブレッドボードに装着できます。
リード抵抗やリードコンデンサに関しては、リード線の曲げ方を調整する事により、挿入する穴の間隔を調整できますから、ブレッドボードに問題なく挿入できます。(写真8参照)
ブレッドボードの内部には、板ばねでできた電極があります。電極の形状を図1に示します。
電極は、板金を適切な形に切断し、折り曲げる事で成形されています。2.54mm間隔で複数の電極(図1の場合は5個)の電極が一体成型されており、それら複数の電極は、電気的に導通(ショート)しています。
図1では電極の形状を、模式図で表しましたが、次のリンクのページで、電極の写真を見る事ができます。
ブレッドボードの内部構造を図2に示します。
ブレッドボードは、樹脂ケースに作られた溝に、図1で示した板ばねの電極を埋め込み、裏面をシールで封止して作られています。
図2を見て分かる通り、部品のリードを樹脂ケースに開いた開口部から挿入すると、電極を構成する板ばねが変形し、リードを左右両側から挟み込みます。原理的に電極とリードの接触は点接触になるため、半田付けや圧着により部品と電極を接合する場合と比較すると、接触部の抵抗が大きくなります。
写真9はブレッドボードを上から見た写真ですが、緑色の線を引いた部分が、ブレッドボード内部で導通しています。この図で縦方向に導通している左右各2列は、主に電源の配線に使用されます。
次のページでは、ブレッドボードを使う際に、一緒に必要になる物について、説明します。