【初心者向け】ブレッドボードとタクトスイッチで論理回路を作る(3)

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2020年05月13日 公開。

3.回路の動作原理

この章では、製作するAND回路OR回路の動作について説明します。

3-1.信号を入力する方法について

この記事の最初の方で、図1や図3を用いて、AND回路やOR回路の出力電圧yは、入力電圧x0およびx1の変化に従って変化すると説明しました。

図1(再掲)、AND回路の回路記号
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図1(再掲)、AND回路の回路記号
図3(再掲)、OR回路の回路記号(電源端子を明記)
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図3(再掲)、OR回路の回路記号(電源端子を明記)

ところが、実際に作る回路は、図7や図8の様な回路です。

図7(再掲)、製作するAND回路
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図7(再掲)、製作するAND回路
図8(再掲)、製作するOR回路
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図8(再掲)、製作するOR回路

図7や図8を見て分かる通り、入力電圧を入力する端子がどこにもありません。その代わり、指で操作するスイッチが2つ(SW1とSW2)あり、これらを操作する事により、回路を動作させます。

一方で、出力電圧yはR1とLED1の直列回路の両端に出てきます。つまり、電圧yが実際に0(0V)や1(4.5V)に変化するのです。

この説明から、図7や図8の回路は、図1や図3の回路と全く同じ働きをする訳ではない事が分かります。図1や図3の回路は、電圧で信号を入力し、電圧で信号を出力します。一方で、図7や図8の回路は、ボタンを指で押す(あるいは押さない)という機械的な信号を入力し、電圧を出力するのです。

図1や図3の回路は、電圧入力-電圧出力型2値論理回路とここでは呼ぶ事にします。一方で、図7や図8の回路は、機械入力-電圧出力型2値論理回路と呼ぶ事にします。

注:「電圧入力-電圧出力型2値論理回路」や「機械入力-電圧出力型2値論理回路」は、世間一般で通用する言葉ではありません。

電圧入力-電圧出力型2値論理回路は、あらためて別の記事で製作しますが、この記事では、理解が易しく、部品が少ない、機械入力-電圧出力型2値論理回路を製作する事にします。機械入力-電圧出力型2値論理回路を正しく理解すると、電圧入力-電圧出力型2値論理回路の理解の助けになります。

さて、今回製作する図7や図8の回路が、電圧で信号を入力するのではなく、スイッチの機械的操作で信号を入力する物だと分かった所で、次は、どの様にスイッチを操作すれば、どの様に信号が入力されるかをはっきりさせておかなければなりません。そこで、次の様なルールを定めます。

3-2.出力電圧を測定する方法について

今回製作する図7図8の回路は、入力信号は機械的な操作になるものの、出力信号は電圧で出てきます。その出力電圧をどの様に測定すべきかについて説明します。

一番安直でかつ確実な方法は、直流電圧計(あるいはテスターの直流電圧測定モード)を使う方法です。直流電圧計を使って出力電圧を測定する場合は、図7のAND回路は、図16に書き換えられます。

図16、直流電圧計を出力電圧の測定に用いる場合のAND回路の実験回路
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図16、直流電圧計を出力電圧の測定に用いる場合のAND回路の実験回路

図16の回路は実際に動作し、出力が0の時は直流電圧計が0Vを指し、出力が1の時は直流電圧計が4.5Vを指します。

ただ図16の回路は、ブレッドボード上の回路の他に、直流電圧計を使うので、コンパクトさに欠けます。この回路なら測定すべき電圧が1つだけなので、直流電圧計が1つでいいのですが、後に別の記事で書く、リレーを使った論理回路の記事では、測定すべき電圧が3つもあるので、3つも直流電圧計を設置しなければなりません。

しかし、あらためて考えてみると、数%以下の確度で電圧を測定できる正確な電圧計は、2値論理回路の特性を調べるのには、必ずも必要ありません。今回の場合、出力電圧が0Vまたは4.5Vのいずれかになる事が予期できるので、0Vか4.5Vかを識別できる程度の電圧計で十分です。

そこで、LEDを簡易型の電圧計にできないか、検討してみます。LEDなら、ブレッドボードに実装できますから、LEDで電圧が測れれば、測定がブレッドボード上で完結します。

それでは、LEDの性質を思い出してみましょう。

図17はLEDの回路記号ですが、図中のVIの向きに、LEDの両端電圧と、流れる電流を、それぞれ定義します。

図17、LEDにかかる電圧とLEDに流れる電流の向きの定義
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図17、LEDにかかる電圧とLEDに流れる電流の向きの定義

V>0なら順方向電圧(順方向バイアス)で、V<0なら逆方向電圧(逆方向バイアス)です。

同様に、I>0なら順方向電流で、I<0なら逆方向電流です。

LEDはダイオードの一種ですから、V<0の時(アノードの電位がカソードの電位より低い時)、電流Iが(ほとんど)流れません。

一方で、V>0の場合は電流Iが流れるのですが、Vが0Vを超えたらすぐに電流が流れ始める訳ではありません。図18に示す様に、Vがある電圧VFを超えるまでは、ほとんど電流が流れず、VVFを超えると電流が急増する性質があります。このVFを、順方向電圧順電圧と呼びます。

図18、LEDの電圧-電流特性の例
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図18、LEDの電圧-電流特性の例

VFはLEDの発光色によって変わるのですが、赤色LEDの場合、2V前後になります。

参考:今回使うOS5RPM5B61A-QRという赤色LEDのデータシートによると、IF=20[mA]の条件でのVFは、最小値が1.8V、典型値が2.1V、最大値が2.6Vになっています。

今回は単3アルカリ電池を3本直列にして電源にする都合上、出力が1の時の電圧は4.5Vとなり、LEDのVF(約2V)を超えています。よって、LEDに電流を流すのに十分な電圧が得られる事になります。

LEDに電流が流れると、LEDが光りますので、4.5Vが掛かっている事を検出する目的で使えそうです。もしLEDの両端電圧が0Vなら、LEDに電流が流れず、LEDは光りません。発光の有無で0Vと4.5Vを区別できそうです。

そうはいっても、4.5Vの電圧をLEDに直接掛けてしまうと、図18のグラフから分かる様に、非常に大きな電流が流れ、LEDの定格電流(この電流までなら流してもLEDが劣化しない事をメーカーが保証する電流値)を超えてしまいます。

そこで、LEDに電圧を掛けて光らせる場合は、図19に示す様に、LEDに直列に抵抗を接続して、電流が流れすぎない様に調整します。この抵抗を電流制限抵抗といいます。

注:電流制限抵抗を使わずに、LEDに直接電圧を印加すると、LEDが劣化・故障・溶融・発煙・発火・破裂する恐れがあります。

図19、電流制限抵抗を用いたLEDの点灯回路
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図19、電流制限抵抗を用いたLEDの点灯回路

この例では電流制限抵抗をLEDのアノード側に接続していますが、カソード側に接続しても構いません。

電流制限抵抗の抵抗値を大きく設定すると、LEDに流れる電流が小さくなり、LEDの発光は弱くなります。逆に電流制限抵抗の抵抗値を小さく設定すると、LEDに流れる電流が大きくなり、LEDの発光は強くなります。極端に電流制限抵抗を小さくすると、LEDに定格電流以上の電流が流れます。

電流制限抵抗の抵抗値を求める方法については、次のページが参考になります。

今回製作する回路では、LEDの電流制限抵抗を1kΩに設定しました。この値はあまり厳密でなくてもよく、470Ωでも1.5kΩでも回路は問題なく動作します。ただし、LEDの定格電流を超えない様に抵抗値を設定する必要があります。

参考:OS5RPM5B61A-QRのIF=20[mA]の条件でのVFは最小値で1.8Vで、定格電流は50mAです。これらの値から近似計算すると、電流制限抵抗が(4.5-1.8)÷0.05=54[Ω]を下回る辺りから、定格電流を超える危険性が出てきます。もっとも、OS5RPM5B61A-QRは高輝度LEDなので、定格電流に近い電流を流すと、まぶしくて、回路の動作試験がやりにくいでしょう。

以上の説明から、LEDと電流制限抵抗の直列回路が、2値論理回路の出力が0であるか1であるかの判別に使える、簡易型の直流電圧計として使える事がお分かりになったでしょう。

ここで、図16の回路の直流電圧計を、LEDと電流制限抵抗の直列回路で置き換えてみると、図20の回路図が得られます。

図20、図16の回路の直流電圧計をLEDと電流制限抵抗の直列回路で置き換えた物
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図20、図16の回路の直流電圧計をLEDと電流制限抵抗の直列回路で置き換えた物

この回路の出力端子とGND端子を取って書き直した回路図が、図7という訳です。

図7(および図20)のAND回路では、LEDの発光の有無により、出力電圧yは、次の様に判定できます。

この出力電圧の判定法は、図8のOR回路でも同じです。

3-3.AND回路の動作

図7のAND回路が動作する原理について説明します。

図7(再掲)、製作するAND回路
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図7(再掲)、製作するAND回路

この回路では、信号を入力するためのSW1とSW2の2つのスイッチが直列につながっています。よって、両方のスイッチがOFFの場合や、片方のみのスイッチがOFFの場合は、SW1とSW2の直列回路全体ではOFFになります。

SW1とSW2の直列回路がONになるのは、両方のスイッチがONになる場合だけです。

SW1とSW2の直列回路がONの時に出力電圧が4.5Vになり、SW1とSW2の直列回路がOFFの時に出力電圧が0Vになる事を考えると、表5の様な真理値表が得らるはずです。

表5、図7の回路で得られる真理値表
入力 出力
x0 x1 y
0
(SW1がOFF)
0
(SW2がOFF)
0
(LED1が消灯)
0
(SW1がOFF)
1
(SW2がON)
0
(LED1が消灯)
1
(SW1がON)
0
(SW2がOFF)
0
(LED1が消灯)
1
(SW1がON)
1
(SW2がON)
(LED1が点灯)

この真理値表は、1ページ表1に示したAND回路の真理値表に一致します。

3-4.OR回路の動作

図8のOR回路が動作する原理について説明します。

図8(再掲)、製作するOR回路
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図8(再掲)、製作するOR回路

この回路では、信号を入力するためのSW1とSW2の2つのスイッチが並列につながっています。よって、両方のスイッチがONの場合や、片方のみのスイッチがONの場合は、SW1とSW2の並列回路全体ではONになります。

SW1とSW2の並列回路がOFFになるのは、両方のスイッチがOFFになる場合だけです。

SW1とSW2の並列回路がONの時に出力電圧が4.5Vになり、SW1とSW2の並列回路がOFFの時に出力電圧が0Vになる事を考えると、表6の様な真理値表得られるはずです。

表6、図8の回路で得られる真理値表
入力 出力
x0 x1 y
0
(SW1がOFF)
0
(SW2がOFF)
0
(LED1が消灯)
0
(SW1がOFF)
1
(SW2がON)
1
(LED1が点灯)
1
(SW1がON)
0
(SW2がOFF)
1
(LED1が点灯)
1
(SW1がON)
1
(SW2がON)
(LED1が点灯)

この真理値表は、1ページ表2に示したOR回路の真理値表に一致します。

次のページでは、AND回路とOR回路の動作確認をします。

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