2020年05月11日 | 公開。 |
いよいよ、ここからが本題です。製作するAND回路とOR回路について説明します。
今回製作するAND回路の回路図を図7に、OR回路の回路図を図8に示します。
電気基礎実験IIの授業でこのページを読んでいる方へ:図7と図8は、それぞれ実験テキストの図1(a)と図1(b)と、電源電圧が5Vから4.5に変わっている点を除いて、同じ回路である事に注意してください。
ここで、図7や図8に出てくる回路記号について簡単に説明します。
図9の記号は、電池の記号です。
電池を3本直列に接続すると図10に示す回路図になりますが、普通は、図11の様に省略して書きます。
図12は、抵抗の旧JIS記号です。
最近は、改定後の新JIS記号(図13)も少しずつ使われる様になってきました。学校教育においては、新JIS記号に移行してしまっています。
しかしながら、新JIS記号は直感的ではないなどの弊害があり、当サイトでは旧JIS記号を使う事にしています。
参考:抵抗に関していえば、図13の縦長の長方形の記号は、本によっては(コンデンサやコイルを含む)任意または未知の負荷という意味で使われている場合があります。そういう本との整合性を取るには、図12の旧JIS記号の方が都合がいいのです。また、リレー用のコイルは、新JIS記号では図14に示す様に横長の長方形で表わす様になっており、紛らわしい事も、筆者が新JIS記号を使いたくない理由の1つです。
図15はLED(発光ダイオード)の記号です。LEDには極性があります。+側の電極がアノードで、−側の電極がカソードです。アノードは、アルファベットのAの一文字で表される事が多く、カソードは、アルファベットのKの一文字で表される事が多いです。
LEDは、電流を流すと発光する、一種のダイオードです。今回作る回路では、2値論理回路の出力が0になっているか、1になっているかを見分けるための、簡易型の電圧計として、LEDを使います。
図7のAND回路および図8のOR回路を作るのに必要な部品の表を、表4に示します。AND回路を作ったら、ブレッドボードから部品を外して、OR回路を作り直しますので、2つの回路で部品は共用します。
部品の種類 | 数量 | AND回路の 部品番号 |
OR回路の 部品番号 |
リード間隔 | 仕様・型番 | 備考 |
写真 (クリックすると拡大) |
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カーボン抵抗 | 1 | R1 | R1 | 300mil | 1kΩ±5%、1/6W |
カラーコード:茶黒赤金 秋月電子通販コード:R-16102 |
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タクトスイッチ | 2 | SW1, SW2 | SW1, SW2 | 200mil | TVDT18-050CB-T | 秋月電子通販コード:P-08078 | |
LED | 1 | LED1 | LED1 | 100mil |
OS5RPM5B61A-QR 赤色LED、直径5mm |
秋月電子通販コード:I-01318 | |
電池ボックス | 1 |
BH-331-3B 単3×3本、Bスナップ |
秋月電子通販コード:P-02677 | ||||
ジャンパーワイヤ付バッテリースナップ | 1 | BS-IC-AT150MM | 秋月電子通販コード:P-09032 | ||||
アルカリ単3電池 | 3 |
表4には「リード間隔」という項目があり、300milや200milなどと、mil単位で数字が記入されています。milとは長さの単位で、1mil=11000インチ=0.0254mmです。ですから、リード間隔が200milというのは、リード線の中心間の間隔が200mil=0.2インチ=5.08mmという事になります。
ブレッドボードの穴の間隔が2.54mm=0.1インチ=100milですから、リード間隔が200milのタクトスイッチは、写真5に示す様に、2本のリード線が、互いに2つ分隣合った穴に差し込めます。また、リード間隔が100milのLEDなら、写真6に示す様に、2本のリード線が、互いに隣り合った穴に差し込めます。
電池ボックス(BH-331-3B)には、公称電圧1.5Vのアルカリ単3電池が3本入ります。それら3本の電池は直列接続になるため、出力電圧は4.5Vになります。
またこの電池ボックスには006P型積層電池と同一形状のスナップが付いています。このスナップにジャンパーワイヤ付バッテリースナップ(BS-IC-AT150MM)を接続すると、電池の出力端子をブレッドボードに差し込める様になります。(写真7参照)
読者に意味が伝わりやすい様に、電池ボックスに電池を入れた状態で撮影しましたたが、本来は、回路の配線がきちんと終わるまで、電池を電池ボックスに入れるべきではありません。電池を入れた状態で、+4.5Vの端子とGNDの端子をうっかり接触させてしまうと、大電流が流れ、危険です。
写真7に示す様に、電池を挿入すると、赤いリード線側が+4.5Vの端子、黒いリード線側がGND(0V)の端子になります。
LEDは、今回使うOS5RPM5B61A-QRに限らず、アノードとカソードの区別を、リード線の長さで行う様になっています。写真8に示す様に、リード線の長い方がアノードで、短い方がカソードです。
LEDをそのままブレッドボードに挿しこむと、写真9に示す様に、リード線が長すぎて、LED本体がブレッドボードから大きく浮いてしまい、配線などがしにくくなります。
そこで、LEDのリード線をマイクロニッパで切断し、写真10に示す様に短くします。この際、2本のリード線を同じ長さに切断すると、LEDの極性が分からなくなりますので、アノード側が長くなる様に切断してください。
LEDのリード線を適切な長さに切断すると、写真11に示す様に、LED本体がブレッドボードに近づき、配線などがし易くなります。
表4の部品だけでなく、ブレッドボードやブレッドボード用のジャンパ線と、マイクロニッパとラジオペンチの2つの工具が必要です。
ブレッドボードは何を使ってもいいのですが、筆者は秋月電子でEIC-8032という型番のブレッドボードを購入しました。(写真12参照)
図7のAND回路をブレッドボード上に組んだ例を写真13に、写真13回路の部品配置の解説を写真14に示します。
図8のOR回路をブレッドボード上に組んだ例を写真15に、写真15の回路の部品配置の解説を写真16に示します。
次のページでは、回路の動作原理について説明します。