「AND回路」の解説

このページをスマホなどでご覧になる場合は、画面を横長にする方が読みやすくなります。
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年11月04日 更新。
用語:AND回路
同義語・似た意味の言葉:ANDゲートAND演算論理積論理積回路
概要

AND回路は多入力1出力の二値論理回路の一種で、全ての入力が1の場合に出力が1になり、入力の中に0が含まれている場合に出力が0になります。AND回路は、ANDゲートあるいは論理積回路とも呼ばれます。また、AND回路は、基本論理ゲートの一種です。

AND回路の行う論理演算はAND演算論理積と呼ばれます。

図1、正論理の2入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図1、正論理の2入力AND回路の回路記号

目次

1. AND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-1. 2入力のAND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-1-1. 正論理・負論理に共通の話 … 1ページ
1-1-2. 正論理の2入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-1-3. 負論理の2入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-2. 3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-2-1. 正論理・負論理に共通の話 … 1ページ
1-2-2. 正論理で3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-2-3. 負論理で3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-3. 1入力のAND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-3-1. 正論理・負論理に共通の話 … 1ページ
1-3-2. 正論理の1入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
1-3-3. 負論理の1入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式 … 1ページ
2. AND回路をベン図で表す … 1ページ
広告

1.AND回路の真理値表、回路記号、論理式

まず2入力のAND回路について、真理値表、回路記号、および論理式の説明をして、次に3入力以上のAND回路について、同様の説明をします。

最後に、理論的な議論でまれに用いられる事がある1入力のAND回路について説明します。

1-1.2入力のAND回路の真理値表、回路記号、論理式

1-1-1.正論理・負論理に共通の話

2つの信号AとBを入力し、1つの信号Yを出力するAND回路の真理値表を表1に示します。

表1、2入力AND回路の真理値表(真理値表記)
入力信号
の真理値
出力信号
の真理値
A B Y
0 0 0
0 1 0
1 0 0
1 1 1

表1に示す様に、2入力のAND回路は、2つの入力の真理値が両方1の場合に出力の真理値が1となり、入力の少なくとも一方の真理値が0の場合は出力の真理値が0になる回路です。

表1のYに示す様に、2つの入力AとBの両方が1の場合に1となり、AとBの内一方でも0の場合に0となる論理演算を、AND演算論理積と呼びます。

論理積は2項演算子"・"を使って表されます。つまり、表1のA、B、およびYの関係は、式(1)の論理式で表されます。

Y=A・B … (1)

論理積の演算子"・"は、しばしば省略され、式(1)は式(2)の様に表記される事があります。

Y=A B … (2)

1-1-2.正論理の2入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式

正論理の場合は、真理値0が電圧Lに、真理値1が電圧Hに対応するので、2入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は表2の様になります。

表2、正論理の2入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力電圧 出力電圧
A B Y
L L L
L H L
H L L
H H H

また、正論理の2入力AND回路の回路記号を図1に示します。

図1(再掲)、正論理の2入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図1(再掲)、正論理の2入力AND回路の回路記号

なお、最も狭義のAND回路は、表2や図1に示した、正論理の2入力AND回路を指します。

正論理の2入力AND回路の動作を論理式で表すと、式(3)あるいは式(4)になります。

Y=X・Y … (3)
Y=X Y … (4)

参考1:式(3)は式(1)と同じ式です。また式(4)は式(2)と同じ式です。

参考2:式(2)ではXとYの間にスペースを1つ空けています。XYと続けて書いても間違いではありませんが、その様な書き方をすると、複数のアルファベットを使った信号名の場合に混乱しますから、スペースを1つ空ける習慣を付けておく方が無難でしょう。例えば、ABCという信号とDEFという信号の論理積をABCDEFと書くと、信号名の区切りがどこにあるのか判別が難しくなります。この場合、ABC DEFと間にスペースを入れておくと、区切りがどこなのかがはっきりします。

1-1-3.負論理の2入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式

負論理の場合は、真理値0が電圧Hに、真理値1が電圧Lに対応するので、2入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は表3の様になります。

表3、負論理の2入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力電圧 出力電圧
A B Y
L L L
L H H
H L H
H H H

なお、負論理の信号には、信号名に上線を付ける習慣があるので、表3でも信号名をABCとしています。(ただし、負論理でも、信号名に上線を付けなければ間違いという訳ではありません)

負論理の2入力AND回路の回路記号は、図1の回路記号の各端子に、負論理である事を示す丸印を付けた、図2の様な記号になります。

図2、負論理の2入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図2、負論理の2入力AND回路の回路記号

負論理の2入力AND回路の動作を論理式で表すと、式(5)あるいは式(6)になります。

Y=XY …  (5)
Y=X Y … (6)

参考:式(5)は、式(1)中の信号名に、負論理を表す上線を付けたものです。また式(6)は、式(2)中の信号名に、負論理を表す上線を付けたものです。論理式は、電圧の関係を表す式ではなく、真理値の関係を表す式なので、正論理の回路でも、負論理の回路でも、(信号名に上線を付けるかどうかを除いて)同じ論理式になります。

1-2.3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式

1-2-1.正論理・負論理に共通の話

3入力以上のAND回路は、全ての入力の真理値が1の場合に出力の真理値が1になり、真理値が0の入力が1つでもある場合に出力の真理値が0になる回路です。

参考:2入力のAND回路の場合も、「全ての入力の真理値が1の場合に出力の真理値が1になり、真理値が0の入力が1つでもある場合に出力の真理値が0になる回路」という定義に当てはまります。つまりこの定義は、もともと2入力の回路として決められたAND回路を、3入力以上に自然な形で拡張した定義であるといえます。

例えば3つの信号A、B、およびCを入力し、1つの信号Yを出力する3入力1出力のAND回路の真理値表は、表4の様になります。

表4、3入力AND回路の真理値表(真理値表記)
入力信号
の真理値
出力信号
の真理値
A B C Y
0 0 0 0
0 0 1 0
0 1 0 0
0 1 1 0
1 0 0 0
1 0 1 0
1 1 0 0
1 1 1 1

次の節で説明する様に、表4の3入のAND回路の論理式は、式(7)あるいは式(8)で表されます。

Y=A・B・C … (7)
Y=A B C … (8)

1-2-2.正論理で3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式

正論理の場合は、真理値0が電圧Lに、真理値1が電圧Hに対応するので、正論理で3入力以上のAND回路は、全ての入力電圧がHの場合に出力電圧がHとなり、入力電圧の中にLが1つでもある場合に出力電圧がLになる回路となります。

例えば3つの信号A、B、およびCを入力し、1つの信号Yを出力する、正論理の3入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は、表5の様になります。

表5、正論理の3入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力電圧 出力電圧
A B C Y
L L L L
L L H L
L H L L
L H H L
H L L L
H L H L
H H L L
H H H H

正論理で3入力以上のAND回路の回路記号は、図1に示した正論理の2入力AND回路の入力端子を増やした記号となります。

例えば、表5の真理値表に対応する、正論理の3入力AND回路の回路記号は、図3の様になります。

図3、正論理の3入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図3、正論理の3入力AND回路の回路記号

なお、入力端子が多く、図1の記号の左側に入力端子が書ききれない場合は、例えば図4に示す様に、AND回路の左側の縦線を延長します。

図4、正論理の6入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図4、正論理の6入力AND回路の回路記号

ところで、図3の正論理の3入力AND回路は、図5に示す、正論理の2入力AND回路を2つ組み合わせた回路と等価になります。

図5、図3の3入力AND回路に等価な回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図5、図3の3入力AND回路に等価な回路

ここで、図5の回路が図3の回路と等価である事(言い換えれば、A、B、およびCの全てがHの場合にY=Hになり、それ以外の場合にY=Lになる事)を証明してみましょう。

注:"・"を、2入力AND回路の動作(論理積)を表す2項の論理演算子と定義した場合に、3つの入力A、B、およびCの全てが1の時に論理式A・B・Cが1になり、3つの入力A、B、およびCの内1つでも0の入力がある時は論理式A・B・Cが0になる事を、自明の事として、特に説明をしていない書籍等がありますが、数学的には自明ではないので、このページでは証明しています。この証明に興味がない場合は、次の節までの説明を読み飛ばしてください。

図5の回路で、AとBが入力されたAND回路の出力は、A・Bとなります。また、A・BとCが入力されたAND回路の出力は(A・B)・Cとなりますが、これが図5の回路全体の出力電圧Yとなります。

3つの入力信号A、B、およびCが取り得る8つの電圧の組み合わせについて、中間信号A・Bを計算し、それから出力信号Y=(A・B)・Cを計算した結果を表6に示します。

表6、A、B、C、A・B、およびYの関係を表した電圧表記の真理値表
入力電圧 中間電圧 出力電圧
A B C A・B Y
L L L L L
L L H L L
L H L L L
L H H L L
H L L L L
H L H L L
H H L H L
H H H H H

表6の入力電圧(A、B、およびC)と出力電圧(Y)の関係は、表5の入力電圧と出力電圧の関係と全く同じになっています(A、B、およびCのすべてがHの場合にのみY=Hになっています)。よって、図3の回路と図5の回路が等価になる事が示されました。

図3の回路と図5の回路が等価である事が示された事により、図3の正論理の3入力AND回路の出力電圧は、式(9)の論理式で与えられる事が分かります。

Y=(A・B)・C … (9)

ところで、論理積の演算子である"・"は左結合ですので、括弧をとりのぞいて式(10)の様に表記する事もできます。

Y=A・B・C … (10)

さらに、演算子"・"は省略される事もあり、式(11)の様に表記される場合もあります。

Y=A B C … (11)

図6の上側に示すN入力(N=2,3,4,…)の正論理のAND回路についても、図5の場合と同様、図6の下側の回路と等価になります。(証明は後のコラムを参照)

図6、正論理のN入力AND回路と等価な回路をN-1個の正論理2入力AND回路で作る
↑ 画像をクリックすると拡大
図6、正論理のN入力AND回路と等価な回路をN-1個の正論理2入力AND回路で作る

よって、N入力の正論理のAND回路の論理式は、式(12)または式(13)の様に表記できます。

Y=X1・X2・X3・…・XN … (12)
Y=X1 X2 X3…XN … (13)

1-2-3.負論理で3入力以上のAND回路の真理値表、回路記号、論理式

負論理の場合は、真理値0が電圧Hに、真理値1が電圧Lに対応するので、負論理で3入力以上のAND回路は、全ての入力電圧がLの場合に出力電圧がLとなり、入力電圧の中にHが1つでもある場合に出力電圧がHになる回路となります。

例えば3つの信号A、B、およびCを入力し、1つの信号Yを出力する、負論理の3入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は、表7の様になります。負論理なので、慣例に従って信号名に上線を付けています。

表7、負論理の3入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力電圧 出力電圧
A B C Y
L L L L
L L H H
L H L H
L H H H
H L L H
H L H H
H H L H
H H H H

負論理で3入力以上のAND回路の回路記号は、正論理のAND回路の回路記号の各端子(入力端子および出力端子)に、負論理を示す丸印を書き加えた記号になります。

例えば、表7の真理値表に対応する、負論理の3入力AND回路の回路記号は、図7の様になります。

図7、負論理の3入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図7、負論理の3入力AND回路の回路記号

図7の負論理の3入力AND回路の等価回路は、図8の様に、2つ負論理の2入力AND回路を用いて構成できます。

図8、図7の等価回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図8、図7の等価回路

参考:図8の回路が図7の回路の等価回路である事(言い換えれば、AB、およびCの全てがLの場合にY=Lとなり、それ以外の場合にY=Hとなる事)の証明は、正論理の場合に表6を作成したのと同様に、図8の回路の真理値表を作成し、表7と一致する事を確認すればできます。

図8の回路が図7の回路と等価である事から、負論理の3入力のAND回路の論理式は、式(14)または式(15)の様に表記できる事が分かります。

Y=ABC … (14)
Y=A B C … (15)

一般にN入力(N=2,3,4)の負論理のAND回路においても、入力信号をX1、X2、X3、…、XNとし、出力信号をYとすると、論理式は式(16)または式(17)の様に表記できます。

Y=X1X2X3・…・XN … (16)
Y=X1 X2 X3XN … (17)

1-3.1入力のAND回路の真理値表、回路記号、論理式

特に理論的な議論をする際に、1入力のAND回路が登場する事があります。1入力のAND回路は、実質的にはバッファ回路なのですが、バッファ回路をAND回路の一種とみなす事で、議論が簡単になる場合があるからです。この節では、この1入力のAND回路について説明します。

1-3-1.正論理・負論理に共通の話

AND回路で最も基本になるのは2入力のAND回路です。この場合、AND回路の定義は「2つの入力の真理値が両方1の場合に出力の真理値が1となり、入力の少なくとも一方の真理値が0の場合は出力の真理値が0になる回路」でした。

さらに、AND回路の定義を「全ての入力の真理値が1の場合に出力の真理値が1になり、真理値が0の入力が1つでもある場合に出力の真理値が0になる回路」とする事で、AND回路を3入力以上に、自然な形(2入力のAND回路と3入力のAND回路を別々に定義しなくていい形)で拡張できる事も説明しました。

後者のAND回路の定義(赤色で強調表示したAND回路の定義)を使えば、1入力AND回路も定義できます。

1つの信号Xを入力して1つの信号Yを出力する1入力AND回路の真理値表を、表8に示します。

表8、1入力AND回路の真理値表(真理値表記)
入力信号 出力信号 備考
X Y
0 0 「真理値が0の入力が1つでもある場合」に相当
1 1 「全ての入力の真理値が1の場合」に相当

表8の1入力AND回路の論理式は、式(18)で表されます。

Y=X … (18)

1-3-2.正論理の1入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式

正論理の場合は、真理値0が電圧Lに、真理値1が電圧Hに対応するので、1入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は表9の様になります。

表9、正論理の1入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力信号 出力信号
X Y
L L
H H

また、表9に対応する正論理の1入力AND回路の回路記号を、図9に示します。

図9、正論理の1入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図9、正論理の1入力AND回路の回路記号

図9では、形式的にはAND回路の記号を使っていますが、回路の働きを考えると、図10のバッファ回路と同じです。ただし、図9の回路記号を使う場合は、「AND回路の一種である」というニュアンスを伴います。

図10、図9の回路に等価なバッファ回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図10、図9の回路に等価なバッファ回路

参考:バッファ回路は1入力OR回路でもあります。「OR回路の一種である」というニュアンスを出したい場合は、OR回路の記号を使ってバッファ回路を表記します。

表9および図9の正論理の1入力AND回路を論理式で表すと、式(19)となります。

Y=X … (19)

1-3-3.負論理の1入力AND回路の真理値表、回路記号、論理式

負論理の場合は、真理値0が電圧Hに、真理値1が電圧Lに対応するので、1入力AND回路の入力電圧と出力電圧の関係は表10の様になります。なお、負論理の回路なので、習慣に従って、信号名に上線を付けています。

表10、負論理の1入力AND回路の真理値表(電圧表記)
入力信号 出力信号
X Y
L L
H H

表10は、信号名に上線が付いている点を除くと、表9と全く同じ真理値表です。1入力AND回路の場合は、正論理であれ、負論理であれ、結局、入力電圧と出力電圧の関係が同じになります。

また、表10に対応する負論理の1入力AND回路の回路記号を図11に示します。

図11、負論理の1入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図11、負論理の1入力AND回路の回路記号

図11では、形式的にはAND回路の記号を使っていますが、回路の働きを考えると、図12のバッファ回路と同じです。

図12、図11の回路に等価な負論理のバッファ回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図12、図11の回路に等価な負論理のバッファ回路

表10および図11の負論理の1入力AND回路を論理式で表すと、式(20)となります。

Y=X ・・・ (20)
【コラム】図6の下の回路が正論理のN入力AND回路と等価である事の証明

図6の下の回路が、正論理のN入力AND回路(図6の上の回路)と等価である事(言い換えれば、X1~XNの全ての入力がHになる場合にY=Hとなり、それ以外の場合にY=Lとなる事)を証明します。色々な証明法があるでしょうが、ここでは数学的帰納法を使います。

(1)N=2の場合に図6の下の回路が正論理の2入力AND回路と等価である事の証明

N=2の場合は、図6の下の回路は図1の回路となるので、正論理の2入力AND回路と等価である事(というよりも2入力のAND回路そのものである事)は自明です。

(2)N=k(k=2,3,4,…)の場合に図6の下の回路が正論理のk入力AND回路と等価であるならばN=k+1の場合に図6の下の回路が正論理のk+1入力AND回路と等価である事の証明

今、N=kの場合に図6の下の図が正論理のk入力AND回路と等価であると仮定します。

つまり、図13の上下の回路が等価である事を仮定しています。

図13、正論理のk入力AND回路と等価な回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図13、正論理のk入力AND回路と等価な回路

ここで図14の様に、図13の下の回路に、もう1本の入力信号Xk+1と、もう1個の正論理の2入力AND回路を追加して作った、k+1入力で1出力の回路について考えます。

図14、図9の下の回路にもう1本の入力信号Xk+1ともう1個の正論理の2入力AND回路を追加して作ったk+1入力で1出力の回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図14、図9の下の回路にもう1本の入力信号Xk+1ともう1個の正論理の2入力AND回路を追加して作ったk+1入力で1出力の回路

図14の回路の真理値表は、表11の様になります。

表11、図14の回路の真理値表(電圧表記)
入力信号 中間信号 出力信号
X1X2、…、Xk Xk+1 Y Y'
1つ以上がL L L L
1つ以上がL H L L
全てがH L H L
全てがH H H H

表11より、図14の回路で全ての入力がHの場合に出力Y'がHになり、それ以外の場合にY'がLになる事が分かります。

つまり、図14の回路は、図15に示す正論理のk+1入力AND回路と等価になります。

図15、図14の回路と等価な正論理のk+1入力AND回路
↑ 画像をクリックすると拡大
図15、図14の回路と等価な正論理のk+1入力AND回路

この事は、N=kの場合に図6の下の回路が正論理のk入力AND回路と等価であるならばN=k+1の場合に図6の下の回路が正論理のk+1入力AND回路と等価である事を示しています。

(3)任意のN(N=2,3,4…)について、図6の下の回路が正論理のN入力AND回路と等価である事の証明

(1)の証明と(2)の証明より、任意のN(N=2、3、4、…)について、図6の下の回路が正論理のN入力AND回路と等価である事が、数学的帰納法を用いて示せます。

2.AND回路をベン図で表す

AND回路を含む論理回路の働きを、集合論で使うベン図を使って表す事があります。この場合、集合としては、入力信号が取り得る真理値(複数入力の論理回路の場合は入力信号が取り得る真理値の組み合わせ)の集合を考えます。

集合と言っても論理回路ですから、入力信号が取り得る真理値の組み合わせ全ての集合を考えても、要素は多くありません。2入力AND回路の様に入力信号が2本の論理回路の場合、入力信号の真理値の組み合わせは22=4通りしかありません。

具体的に、入力信号が取り得る真理値の組み合わせについて示します。2つの入力信号をAとBとすると、入力信号(A,B)の真理値の組み合わせは、以下の4通りになります。

表記が冗長になるので、前の(A,B)=を省略して書く事にすると、入力信号が取り得る真理値の組み合わせの集合U(全体集合)は、式(21)で与えられます。

U={(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)} … (21)

UおよびUの部分集合をベン図で表わすと、図16の様になります。

図16、UおよびUの部分集合を表したベン図(2入力の場合)
↑ 画像をクリックすると拡大
図16、UおよびUの部分集合を表したベン図(2入力の場合)

図16には、分かりやすい様に、Uを構成する4つの要素((0,0)、(0,1)、(1,0)、および(1,1))を書き込んであります。

図16のベン図に出てくる集合Aは、入力信号の組み合わせ(A,B)の中で入力信号Aが1になる物の集合です。具体的には、集合Aは式(22)の様に、(1,0)と(1,1)の2つの要素を持つ集合です。

注意:この説明では、「入力信号A」と「入力信号の組み合わせ(A,B)の中で入力信号Aが1となる物の集合」の両方を同じAという文字で表しています。文字Aがどちらの意味で使われているかは、文脈に依存します。この後に出てくる文字BおよびYも同様です。

A={(1,0),(1,1)} … (22)

また、図16のベン図に出てくる集合Bは、入力信号の組み合わせ(A,B)の中で入力信号Bが1になる物の集合です。具体的には、集合Bは式(23)の様に、(0,1)と(1,1)の2つの要素を持つ集合です。

B={(0,1),(1,1)} …(23)

ここで、AとBの2つ入力信号と1つの出力信号Yを持つ2入力AND回路を考えると、出力信号Yは表1の真理値表で与えられます。この真理値表から、入力信号の組み合わせ(A,B)の中で出力信号Yが1となる物の集合Yは、(1,1)の1つの要素を持ちます。この事を数式で表わすと式(24)になります。

Y={(1,1)} … (24)

式(22)~式(24)より、集合Yは集合Aと集合Bの積集合である事が分かります。この事を数式で表わすと式(25)になります。

Y=A∩B … (25)

この様に集合で表わすと、論理積の操作は、積集合を求める操作である事が分かります。(式(1)の論理積の演算子"・"を積集合の演算子"∩"に入れ替えると式(25)になる事に注意してください)

図16のベン図において、出力信号Yが1になる入力信号の組み合わせの集合Yに色を付けて表すと、図17の様になります。

図17、2入力AND回路の動作を表すベン図
↑ 画像をクリックすると拡大
図17、2入力AND回路の動作を表すベン図
出力信号Yが1になる入力信号の組み合わせをピンク色に着色しています。

図17のベン図は、2入力AND回路の動作を表す図だと考えられます。このベン図は表1の真理値表と同じ事柄を表していますが、真理値表の様に表形式で表すより、ベン図の様に図形式で表す方が、より直感的に回路動作を把握できます。

なお、3つの信号A、B、およびCを入力して1つの信号Yを出力する3入力AND回路(図3参照)の動作をベン図で表わすと、図18の様になります。

図3(再掲)、正論理の3入力AND回路の回路記号
↑ 画像をクリックすると拡大
図3(再掲)、正論理の3入力AND回路の回路記号
図18、3入力AND回路の動作を表すベン図
↑ 画像をクリックすると拡大
図18、3入力AND回路の動作を表すベン図

図18のベン図より、3入力AND回路の出力が1になるのは、3つの入力信号A、B、およびCの全てが1になる時だけであると、直感的に分かります。

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連用語

関連ページ

このサイトの記事が本になりました。
書名:Arduino 電子工作
ISBN:978-4-7775-1941-5
工学社の書籍の内容の紹介ページ
本のカバーの写真か書名をクリックすると、Amazonの書籍購入ページに移動します。
こちらのページもおすすめです。