【初心者向け】ブレッドボードとリレーで論理回路を作る(1)

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2020年05月15日 公開。

以前に書いた【初心者向け】ブレッドボードとタクトスイッチで論理回路を作るという記事では、ブレッドボード上で、タクトスイッチを使ってAND回路とOR回路を製作しました。この時に作った論理回路は、入力がタクトスイッチの機械的な操作であり、電気的な入力信号を受け付けないという問題点がありました。

この記事では、電気的な入力信号を受け付ける、リレーによる論理回路を、ブレッドボード上で作ります。

この記事で紹介するのはNOT回路AND回路、およびOR回路の3つですが、同じ部品でNAND回路NOR回路、およびXOR回路も作る事ができます。

なおこの記事は、同志社大学理工学部電気工学科・電子工学科で2020年度春学期に開講している電気基礎実験Ⅱの、テーマC・電子回路入門III(論理回路)の講義と連動しています。

電気基礎実験IIの授業でこの記事を読んでいる人は、次の2つの記事も読んでください。

目次

1. 基本的な用語の説明 … 1ページ
1-1. NOT回路 … 1ページ
1-2. リレー … 1ページ
2. 製作するNOT回路の回路図と必要な部品 … 2ページ
2-1. 回路図 … 2ページ
2-2. 部品表と部品の説明 … 2ページ
2-3. 実体配線図と組み立て上がった回路の写真 … 2ページ
2-4. リレーに関する注意点 … 3ページ
2-4-1. 2回路のリレーと1回路のリレー … 3ページ
2-4-2. リレーのピンの割り当て … 3ページ
2-4-3. リレーのコイルに発生するサージ電圧 … 4ページ
2-4-3-1. サージ電圧が発生する仕組み … 4ページ
2-4-3-2. サージ電圧が発生する原理を数式で考える … 4ページ
2-4-3-3. インパルス関数とデルタ関数 … 4ページ
2-4-3-4. サージ電圧をデルタ関数を使って表す … 4ページ
2-4-3-5. 理論と現実 … 4ページ

1.基本的な用語の説明

本論に入る前に、この記事を理解するために知っておくべき基本的な用語について説明します。

1-1.NOT回路

NOT回路あるいは論理否定回路は、基本論理回路の中でも、入力端子と出力端子がそれぞれ1つずつしかない、最も簡単な物です。NOT回路は、入力とは反対の真理値を出力する働きをします。

NOT回路の回路記号を図1に示します。

図1、NOT回路の回路記号
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図1、NOT回路の回路記号

NOT回路には、1つの入力端子、1つの出力端子、および2つの電源端子の、合計4つの端子があります。

正電源端子は、直流電源の+側に接続する端子です。なお、電源の+側の端子(あるいはその端子の電圧)を、しばしばVCCと表記します。

負電源端子は、直流電源の−側(基準電圧側)に接続する端子です。電源の−側の端子(あるいはその端子の電位である基準電位)を、しばしばGNDと表記します。

OR回路には1つの入力端子があります。2値論理回路ですから、その入力端子には、0(多くの場合0V)または1(多くの場合VCC)の電圧が、それぞれ入力されます。ここでは、入力端子の入力電圧を、x0という変数で表す事にします。

出力端子は、入力電圧x0に応じて変化する電圧を出力する端子です。2値論理回路ですから、出力端子には0または1の電圧が出力されます。ここでは、出力電圧をyという変数で表す事にします。

NOT回路の入力電圧x0と出力電圧yの関係を表した真理値表を、表1に示します。

表1、NOT回路の真理値表
入力 出力
x0 y
0 1
1 0

入力x0と出力yの関係を数式で表わすと、式(1)の様になります。

y=x0 ・・・ (1)

なお、多くの2値論理回路では、回路を構成する全ての部品の電源端子を、共通の電源に接続します。この場合、部品1つ1つに電源端子(正電源端子と負電源端子)を書いて、それらを電源につなぐ線を描くのは、冗長になります。そこで、図2に示す様に、電源端子を省略した回路記号を使う事がしばしばあります。

図2、電源端子を省略したNOT回路の回路記号
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図2、電源端子を省略したNOT回路の回路記号

電源端子を省略してあっても、電源端子を電源に接続しなくてもいい訳ではないので、注意が必要です。あくまでも表記を省略しているだけです。

この記事では、AND回路とOR回路の作り方も説明しますが、それらの回路についての説明は、【初心者向け】ブレッドボードとタクトスイッチで論理回路を作る(1)をご覧ください。

1-2.リレー

リレー(継電器)とは、図3に示す様な構造を持つ、入力電圧の有無で切り替える事のできるスイッチです。この図のリレーの場合、T1、T2、およびT3の3つの出力端子と、T4とT5の2つの入力端子があります。

図3、リレーの原理図
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図3、リレーの原理図

T4とT5の入力端子には鉄芯(鉄心)入りのコイルが接続されています。入力端子に電圧が掛かると、コイルに電流が流れ、磁界が発生します。

鉄芯の近くには、スイッチが設置されています。スイッチの可動部には、一端が固定された鉄片が設置されていて、通常はばねで鉄芯と遠ざけられています。

しかし、コイルに電流が流れて磁界が発生すると、鉄片が鉄芯に吸い寄せられ、スイッチが切り替わります。

入力端子に電圧が加わっていない場合は、T1とT2の端子が導通しており、T3の端子はT1やT2と絶縁された状態になっています。

一方で、入力端子に電圧が加わっている場合は、T1とT3の端子が導通しており、T2の端子はT1やT2と絶縁された状態になります。

T1端子は、常にT2端子かT3端子のいずれかと導通しており、T2端子とT3端子の共通の導通先ということで、COM(commonの略)と、よく表記されます。

T2端子は、通常の状態(入力電圧が掛かっていない状態)でT1端子と導通しているため、NC(nomally closedの略)と、よく表記されます。

T3端子は、通常の状態(入力電圧が掛かっていない状態)でT1端子と絶縁されているため、NO(nomally openの略)と、よく表記されます。

リレーの回路記号を、図4に示します。

図4、リレーの回路記号
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図4、リレーの回路記号

次のページでは、NOT回路の回路図や部品について解説します。

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このページで使われている用語の解説

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