しなぷすのハード製作記

単3ニッケル水素電池充電器の製作(6)

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18.充電時の電池の電圧・電流の変化

前回は、充電器そのものの電流-電圧特性の測定結果を示しましたが、今回は、充電器で電池を充電した場合、時間と共に電池の電圧や電流がどう変化するかを測定しました。

図21、充電時の電池の電圧・電流の変化の測定系
図21、充電時の電池の電圧・電流の変化の測定系

上の図が測定系です。デジタルテスタは、電流-電圧特性を測定した時と同じもの(SOAR 3510)を使っています。また、デジタルテスタが2台、図21に書いてありますが、実際には1台のデジタルテスタを付け替えて使っています。

右側のデジタルテスタで電池の電圧(充電器の出力電圧)を測定しています。左側のデジタルテスタで充電電流(充電器の出力電流)を測定しています。デジタルテスタは、共に電圧計レンジで使います。

充電電流を電流計で測定すると、充電器からは、電流計の内部抵抗の分だけ、電池の内部抵抗が増えたように見えます。それが充電器の動作を変えてしまいますので、直接電流計で充電電流を測れません。回路図を見れば分かるように、R13が充電経路に繋がっていますので、R13の両端電圧を測定し、R13の抵抗値(3Ω)で割れば、充電電流が求まります。R13を流れた電流は、電池以外にも流れるルートがありますが、そのルートに流れる電流は、充電電流より十分小さく、無視できます。R13の両端電圧は、TP3とTP4に電圧計をつなげば測定できます。

図22、充電時の電池の電圧・電流の変化
図22、充電時の電池の電圧・電流の変化
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上のグラフは、充電時の電圧・電流の変化の測定結果です。横軸は充電開始からの経過時間を表しています。また、この測定は室温がおおむね28℃の時に行いました。(空調のない部屋で11時間以上の測定をしたので、測定中にも室温は多少変化していたと思います)

まず赤い曲線に注目してください。これは電池の電圧の変化を表しています。充電初期に電圧が急上昇し、その後はかなり電圧の上昇はゆっくりになることが分かります。

次に青い曲線に注目してください。これは充電電流を表しています。最初の6時間程度はおおむね200mAで充電し、その後は充電電流が低下している様子が分かります。

充電器が理想的な定電流定電圧特性から少し外れているため、定電流動作と定電圧動作の境目が曖昧ですが、おおむね6時間までは充電器は約200mAの定電流動作を、それ以降は約1.42Vの定電圧動作をしているといえます。

充電初期の急上昇を除けば、電池の電圧の変化は非常に緩やかなので、少し充電終止電圧を下げれば、不足充電になりそうなのが図22から分かります。この実験では充電終止電圧が1.42V強になっていますが、仮に充電終止電圧が1.40Vだったら、3時間弱で充電器が定電圧動作を始め、かなりの不足充電になりそうです。

なお、充電中はLED1が光りますが、充電電流が少なくなるにつれ暗くなっていき、約9.8時間経った時にLEDが消えました。その時の充電電流は約70mAでした。

図22の赤い曲線を時間で積分すれば、電池に充電した電荷の総量(積算電流)が計算できます。測定値は飛び飛びの時間でしか得られていませんので、台形積分で近似します。計算結果を次のグラフに示します。

図23、充電電荷の計算結果
図23、充電電荷の計算結果

図23の青い曲線は充電電流を表しています。図22の青い曲線と同一のものです。

図23の赤い曲線は、充電電流を台形積分して求めた充電電荷(積算電流)を表しています。右上がりの曲線ですが、充電時間が10時間を越えると傾きがかなり緩やかになり、1800mAh程度で飽和し始める事が分かります。今回充電したエネループの容量は、最低値で1900mAhですが、充電器もほぼそれと同じ電荷を充電していることが分かります。

図23で分かるのは、電池に充電した電荷の量で、電池が放電するときに取り出せる電荷の量ではありません。後者は前者より若干少なくなります。本当にいくら充電できたかは、充電済みの電池を放電させ、その時の特性を測らないと分かりません。とはいえ、過充電しない場合は、充電した電荷のほとんどが取り出せるようですので、今回作成した充電器で、電池の容量に見合った充電がほぼできていることが分かります。

細かい話をすると、エネループの容量は保証されている最低値が1900mAhなので、平均値はもう少し大きな値になると思います。一方で、電池の容量は充放電を繰り返すと少しずつ減っていきます。今回実験に使用したエネループは新品ではなく、かなり使い込んでいますから、ひょっとしたら容量が1900mAh未満かも知れません。

今回は、11時間以上にわたって電圧や電流を測定しました。その間30分に1回(充電初期は更に高頻度で)測定をしなければならなかったので、外出もできず、昼寝もできず、結構つらかったです。充電や放電の実験を繰り返すなら、データロガーで自動測定しないときついです。

後日談:オシロスコープとパソコンを組み合わせてデータロガーを作りました。オシロスコープをデータロガーとして使うのページで紹介しています。

次のページでは、MOS-FETとPWM変調について書きます。

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