HACKADAY.IOにオープンソースの分光器が公開されていたので紹介します。またオープンソースではありませんが、関連した製品として、楢ノ木技研のezSpectraという安価な分光器も紹介します。
分光器とは
分光器とは、光のスペクトルを測定する光学機器の事です。小学校の理科の実験で、プリズムを使うと太陽の光が七色に分かれるのを見た人が多いと思いますが、この実験の様に、光の成分を波長により分解する装置です。また、分光器で光を波長ごとの成分に分解し、各波長の成分の強さを図示した物を分光スペクトルといいます。
物質が発する光や吸収する光のスペクトルを調べると、非接触で物質の種類が分かります。また、分光器は照明機器の演色性(どれだけ色が鮮やかに見えるか)の評価などにも使えます。最近ブルーライトが目に悪いといわれて話題になっていますが、光にブルーライトがどの程度含まれているかも、分光器で調べれば分かります。
オープンソースの分光器、WiSci
HACKADAY.IOにWiSciという、オープンソースの分光器が公開されています。
浜松ホトニクスのC12666MAという超小型分光器ヘッドと、Arduino Pro Mini 328、Bluetoothモジュール、LiPo電池などを搭載し、3Dプリントしたケースに入ったポータブルな分光器です。Androidタブレット(スマホ)にBluetoothで接続してタブレット上でスペクトルを観察します。
WiSciでは、340~780nmの可視光域のスペクトルの測定が行えます。WiSciで白色LEDの発光スペクトルを分析した例があったので、引用しておきます。
普及している白色LEDでは、青色LEDと黄色の蛍光体を組み合わせています。上のスペクトルを見ると、438nm付近の青色LEDの鋭いピーク(いわゆるブルーライト)と、長波長側(グラフ右側)に広がる蛍光体の発する光がきれいに分離できています。
超小型分光器ヘッド、C12666MAについて
WiSciの心臓部は、浜松ホトニクス製のC12666MAという、超小型の分光器ヘッドです。
20.1 × 12.5 × 10.1 mmという指先大のサイズに、回折格子やCMOSリニアイメージセンサなどが入っています。
C12666MAに、クロック信号などのタイミング発生回路、オペアンプ、A/Dコンバータなどを接続すれば、340~780nm可視光のスペクトルの観測ができるようです。
楢ノ木技研 ezSpectra
twitterの相互フォロワのやまねこさん(@felis_silv)も、ezSpectraという安価な分光器を販売されておられます。
ezSpectraはボード単体で販売されているので、何かの機器に組み込んで使う事を想定しているようです。USB接続でパソコンの画面にスペクトルを表示します。
付属のソフトが充実しており、照明機器の演色性や液晶モニタの色域の評価もできるようになっているようです。
ezSpectraはオープンソースではありませんので、使用部品の詳細は分かりませんが、おそらくC12666MAを使っているものと思われます。
しなぷすさん
こんにちは,弘前大学の張 樹槐(チャン シューファイ)と申します。
私は,大学で農産物の非破壊品質計測に関連した研究を行っています。この2,3年,この記事のような携帯分光器をずっと探しておりました。
どうして今までこのページにたどり着かなかったかと不思議に思っているところですが,早速連絡させていただきました。
色々と相談させていただきたいので,ご返事を楽しみにお待ちしております。
どうぞよろしくお願いします。
張さん
私の記事が参考になったようでよかったです。
私は分光器に詳しいわけではないので、お役に立てるかどうかわかりませんが、何か質問があれば、この掲示板にどうぞ。
しなぷすさん
こんにちは。返信を確認するのは遅くなりました。
私の相談は,しなぷすさんのほうでWiSciを製作可能かとのことです。どうぞよろしくお願いします。
張さん
おそらく技術的にはWiSciを作る事は可能だと思いますが、時間的に余裕がありません。このページで紹介しているezSpectraも優れた製品だと思いますが、それではだめですか?
しなぷすさん
実は,ezSpectraの方にも相談しました。ezSpectraの場合,光源がないので,光源も一緒になっているWiSciのほうは,安定的な計測に適しています。