新しい三脚を購入したのをきっかけに、三脚がカメラのぶれを低減する効果がどの程度なのかを、試してみたくなりました。一脚も持っているので、テストチャートを撮影し、(1)手持ち撮影、(2)一脚を用いた撮影、(3)小型三脚を用いた撮影、(4)中型三脚を用いた撮影の4種類で、どの程度ぶれが違うのか、評価しました。
ついでに、私の使っているPENTAX Q-S1というカメラの手振れ補正機能も評価しました。
評価の結果、次の事が分かりました。
- 一脚には、ぶれ低減効果はあるものの、劇的ではなく、特に左右方向のぶれが抑えにくい事が分かりました。
- 脚部の最大パイプ径が20mmの、低価格で小型な三脚でも、今回テストした条件(軽量なミラーレス一眼カメラを使用)では十分なぶれ低減効果があり、脚部最大パイプ径が30mmの中型の三脚と有意な差はありませんでした。
- 手持ちの撮影と一脚を用いた撮影の際に、PENTAX Q-S1本体の手振れ補正機能の効果がはっきりと観察されました。
以下、評価の詳細についてお伝えします。
評価に使った機材
今回の評価では、以下の機材を使用しました。
Amazonベーシック 一脚 170cm 4段 中型 アルミ(キャリングバッグ付)
Amazonベーシックブランドの一脚です。軽くて丈夫で、お気に入りの製品です。送料込みで1,200円位で買った記憶があります。
最大に伸ばした時の高さが170cmと高いので、ビルなどを見上げる形で撮影する場合に、特に重宝しています。(別売の雲台を付けると、もっと高くなります)
耐荷重が2.9kgもありますので、一眼レフの撮影にも十分耐えそうです。
この一脚には雲台が付いていませんので、カメラの角度の調整には、別途雲台を購入する必要があります。
なお、後で説明する自由雲台、BH-1と合わせて重さを測ったところ、約400グラムでした。(100g単位でしか測れない体重計で測ったので、正確ではありませんが)
次の写真は、Amazonベーシックの一脚に、自由雲台 BH-1を付けた状態で撮影した物です。カメラが自分の目の高さになる様に、一脚の長さを調整して撮影しましたので、この写真では、最大の長さまでには伸ばしていません。
HAKUBA BH-1 (自由雲台)
一脚には普段、HAKUBAのBH-1という自由雲台を付けて使っていますので、今回の評価でも、BH-1を用いました。
BH-1の写真を次に示します。
Fotopro DIGI-204 (小型三脚)
Amazonのサイバーマンデーのセールで、送料込み1,311円で購入した三脚です。
脚部を一番伸ばして、さらにエレベーターを一番上げた状態でも、高さが120cmにしかならない小型の三脚です。
エレベーターを下げて、脚部を縮めて畳めば、わずか39cmになります。このサイズだと私が普段使っているカバンに入るというのが、購入のきっかけでした。
重さが570グラムしかない点も、持ち運びには有利です。
脚部の最大パイプ径をノギスで測ると、約20mmでした。
耐荷重は1.5kgと、やや少なめで、一眼レフに望遠レンズを付けて使う場合、不安定になる可能性があります。
ただし、今回使用したカメラは特に軽量なカメラですので、この三脚でも余裕を持って使えました。
とはいえ、この後に紹介する三脚よりはかなり華奢です。そのため、十分に振動を抑制できるか気になったのが、今回の評価を行おうと思ったきっかけです。
下の写真は、DIGI-204の脚部を最大に伸ばし、エレベーターは下げた状態で撮影しました。
ベネチア 2800 (中型三脚)
三十数年前に購入した古い三脚で、普段、室内で電子部品や電子基板の撮影をする時に使っています。
Wikipediaによると、マンフロットというイタリアの三脚メーカーの製品を、LPLという会社が輸入して販売していた時に、ベネチアというブランドで販売していた事があるそうです。私が持っているのも、多分その製品でしょう。
詳しい仕様は分かりませんが、三脚部を最大に伸ばし、エレベーターを限界まで上げれば、高さが実測で189cmもありました。
しかも3段の三脚なので(先ほど紹介したDIGI-204は4段)、縮めた状態で89cmもありました。
重さを体重計で測ったら、4.4kgもありました。これでは、そうそう持ち歩く事はできませんので、室内の撮影専用に使っています。
ただ、重くてかさばる分、安定感は抜群です。
なお、脚部の最大パイプ径をノギスで測ったところ、約30mmでした。
下の写真は、脚部を最大に伸ばし、エレベーターを一番下げた状態で撮影した物です。エレベーターを上げなくても、この状態でカメラのレンズが、私の目の高さになります。
PENTAX Q-S1(カメラ)
PENTAXの小型ミラーレス一眼カメラ、Q-S1を使って、手振れの評価を行いました。
このカメラは、ミラーレス一眼カメラの中でも最小クラスの小ささで、持ち歩きやすいのが特長です。とても軽く、SDカードと電池を入れても203グラムしかありません。標準ズームレンズの02 STANDARD ZOOMが96グラムですから、両方を合わせて299グラムで撮影ができる事になります。
撮像素子は、有効画素数が1240万画素で1/1.7インチのCMOSセンサを用いています。撮像素子が小さいので、APS-Cのデジタル一眼レフカメラと比べると、画質の点では劣ります。
しかし、撮像素子が小さい分、本体やレンズが小さく、軽くなります。特に望遠ズームレンズを使う場合、一眼レフとQ-S1では、重さが全然違ってきます。カメラやレンズが軽いと、一脚や三脚なども軽量の物で済ませられるので、徒歩でそれらの機材を持ち歩く場合は、機動性が高まります。
Q-S1は、センサーシフト方式の手振れ補正機能を内蔵しており、2.5段分の効果があります。レンズ側ではなく、本体側に手振れ補正機能があるので、いわゆるオールドレンズを使った場合にも、手振れ補正ができます。
Q-S1は、2014年8月に発売されて以来、後継機が発売されておらず、なおかつ、現在ではパナソニックやオリンパスからマイクロフォーサーズ規格の小型で写りの良いミラーレス一眼カメラが出ている事から、今から新品で買うのをお勧めできる機種ではありませんが、中古で安く手に入るなら、普段の持ち歩き用のカメラとして価値があります。また、交換レンズが安いので、初心者がレンズ交換を楽しむための機種としても有用です。
下の写真は、Q-S1に標準単焦点レンズの01 STANDARD PRIMEを装着した様子を撮影した物です。
PENTAX 06 TELEPHOTO ZOOM(レンズ)
PENTAX Qシリーズのカメラに装着できる、Qマウントの望遠ズームレンズです。
焦点距離は15~45mmで、Q-S1に装着した場合は、35mm判換算で69~207mm相当になります。
F値は2.8通しと明るく、重さはたった90グラムです。一眼レフでこの仕様のレンズなら1kgを軽く超えます。
06 TELEPHOTO ZOOMは、画質に少々妥協するなら、カバンの片隅に望遠ズームレンズを放り込んで持ち歩けるという、素晴らしい携帯性を提供してくれるレンズです。
評価の方法
ぶれの評価に使ったテストチャートを紹介し、撮影の条件についても説明します。
評価に使ったテストチャート
漠然と風景を撮影しても、ぶれの程度が分かりにくいので、ぶれが分かりやすいテストチャートを作成し、それを撮影しました。
上のテストチャートをクリックすると、600DPIのPNGファイルが表示されます。それをダウンロードし、A4の紙いっぱいに印刷すると、私の使ったのと同じテストチャートが手に入ります。
このテストチャートで重要なのは、中心部分にある同心円、およびその周りにある4つの正方形です。この部分の拡大図を次に示します。
中央に3つの同心円がありますが、内側からそれぞれ、直径10mm、直径20mm、直径30mmとなっています。線の太さは0.2mmです。
放射状に広がる直線もありますが、これは、15°単位で回転して配置してあります。この放射線の太さは0.5mmです。
周囲に4つある黒い正方形の一辺は12mmで、中央部には直径0.5mmの白い点があります。
テストチャートを、一脚に付けたカメラで撮影した例を、次に示します。
上の写真をクリックして拡大すると分かりやすいですが、放射線は、横向きの線がはっきり写っており、縦向きの線はぶれて写っています。これは、この写真が、主に横方向にぶれて撮影された事を示しています。
黒い正方形の中にある白い点は、横方向に長く写っています。この白い点が描く軌跡が、まさにカメラのぶれの軌跡です。
上の写真では、横方向にぶれているので、白い点は横長に写っていますが、仮にカメラが楕円を描くようにぶれたとすると、この白い点も、楕円の軌跡を描きます。
この様に、テストチャートを撮影すると、ぶれの程度や方向などの情報を視覚化できます。
撮影条件
今回の評価では、望遠ズームレンズの焦点距離を、最長の45mm(35mm判換算で207mm相当)に設定し、撮影しました。
露出条件は、マニュアルモードで絞りF4、シャッタースピード1/8秒に固定しました。ISO感度は100に固定しました。
一般に、35mm判換算の焦点距離の逆数が、手持ちでぶれずに撮影できるシャッター速度の限界と言われています。
今回の撮影条件では、換算207mm相当の焦点距離で撮影しましたので、1/200秒程度以下のシャッター速度に設定しないとぶれる計算になります。カメラの手振れ補正で2.5段分だけ手振れが少なくなる事を勘定に入れても、計算上1/35秒がシャッタースピードの限界になります。今回設定した1/8秒というシャッタースピードは、かなり手振れしやすい条件であることがお分かりいただけると思います。
撮影は室内で行い、外来光で露出条件が変わるのを避けるために、カーテンで外来光を遮り、天井の蛍光灯のみで照明しました。
テストチャートは、同心円の中心部分が、私の目の高さである163cmになる様に、壁に固定し、2.7m離れたところから、以下の条件で撮影しました。
- 手持ちで撮影、タイマー使わず、手振れ補正なし
- 手持ちで撮影、タイマー使わず、手振れ補正あり
- 手持ちで撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし
- 手持ちで撮影、タイマー2秒、手振れ補正あり
- 一脚で撮影、タイマー使わず、手振れ補正なし
- 一脚で撮影、タイマー使わず、手振れ補正あり
- 一脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし
- 一脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正あり
- 小型三脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし
- 中型三脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし
上の撮影条件で、「一脚」というのは、「Amazonベーシック 一脚 170cm 4段 中型 アルミ(キャリングバッグ付)」 を指しています。
また「小型三脚」は「Fotopro DIGI-204」を、「中型三脚」は「ベネチア 2800」をそれぞれ指しています。
普段私が三脚で撮影する場合は、セルフタイマーを2秒に設定して撮影しています。というのは、シャッターボタンを押す瞬間に、カメラがわずかに揺れるため、そのまま撮影すると、写真がぶれるからです。
本来は赤外線リモコンを使って、カメラに触らずに撮影するのが理想的です。しかし被写体が静止している場合は、シャッターボタンを押してから2秒遅れでシャッターが切れる様に設定し、かつシャッターボタンを押してからすぐにカメラから手を離す様にすると、余計な機材(リモコン)を使わずに、ぶれを抑制する事ができます。
撮影条件に「タイマー使わず」と書いてある場合は、セルフタイマーなしで撮影しました。「タイマー2秒」と書いてある場合は、セルフタイマーを2秒に設定して撮影しました。
今回は、セルフタイマーの効果が、手持ちの撮影や一脚の撮影でもあるのかも、検証してみました。
三脚を使う場合は、明らかにセルフタイマーを使う方がぶれの少ない写真が撮れるため、セルフタイマーを使わない撮影は行いませんでした。
一脚および中型三脚を使って撮影する場合は、カメラのレンズの高さが、私の目の高さと同じ、163cmになる様に、調整して撮影しました。
小型三脚の場合は、三脚の高さが足りませんので、限界まで高くして撮影しました。その時、床からカメラのレンズの高さは123cmになりました。つまり、40cmだけ、テストチャートを見上げて撮影している事になります。
撮影した写真は、JPEGの最高画質(4000×3000ピクセル)で保存しました。
撮影結果
各条件においての撮影結果を、写真の全体、同心円部分の切り抜きの順に紹介します。
なお、ぶれの程度は、同じ条件で撮影しても、撮影の度にかなり変わります。同じ条件で3回の撮影を行い、撮れた写真を目で比較して、3枚の中で最もぶれが少なく見えるものだけを紹介します。
先ほど言ったように、撮影の度にぶれの程度がかなり変わるため、撮影結果の写真は、大まかな傾向を見る程度にご覧ください。
撮影条件1
撮影条件1(手持ちで撮影、タイマー使わず、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件2
撮影条件2(手持ちで撮影、タイマー使わず、手振れ補正あり)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件3
撮影条件3(手持ちで撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件4
撮影条件4(手持ちで撮影、タイマー2秒、手振れ補正あり)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件5
撮影条件5(一脚で撮影、タイマー使わず、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件6
撮影条件6(一脚で撮影、タイマー使わず、手振れ補正あり)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件7
撮影条件7(一脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件8
撮影条件8(一脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正あり)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件9
撮影条件9(小型三脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
撮影条件10
撮影条件10(中型三脚で撮影、タイマー2秒、手振れ補正なし)で撮影した写真を次に示します。
考察
撮影結果から、どの様な事がいえるかを考えてみます。
一脚はぶれ低減効果がそれほど高くなく、特に左右方向のぶれが多い
タイマー使わず、手振れ補正なしという条件をそろえて、手持ちで撮影した場合(撮影条件1)と一脚で撮影した場合(撮影条件5)とを比べると、一脚を使う方がぶれが少ない事が分かりますが、その効果は劇的とまではいえません。
また、撮影条件5の写真を拡大してみると、水平線は比較的はっきり写っているのに、垂直線がぶれている様子が分かります。つまり一脚は、軸を固定したまま左右に首を振りやすいといえます。
ここで、一脚を使って撮影して、写真が上下方向にぶれて写る場合を考えます。一脚の下の端は、地面ないしは床で固定されているため、支点(回転の中心)になり、カメラ側が撮影者から見て前後に動く必要があります。仮に前後にカメラがぶれたとしても、一脚が十分長ければ、支点とカメラのが離れており、カメラの傾く角度は、大きくないのです。
一方で、写真が左右方向にぶれて写る場合を考えます。この場合は、一脚の中心軸が支点となります。一脚を取り付けるネジ穴は、通常レンズの真後ろにあります。この場合、支点からカメラの右端までの距離が短いので、カメラの右端が少し前後にぶれると、カメラのレンズの角度が大きくぶれる事が分かります。
この理屈で考えると、写真が回転する様にぶれる事は、一脚を使うと少なくなる事も理解できます。
写真の回転方向のぶれは、レンズに内蔵するタイプの手振れ補正の機構(NikonやCanonがこの方式を採用)では補正できないので、これを低減する事は重要です。
カメラボディに内蔵するタイプの手振れ補正機構で、5軸手振れ補正をうたっているものは、このような回転方向のぶれを補正できます。
5軸手振れ補正に対応しているカメラには、例えばPENTAX KPや、OLYMPUS OM-D E-M5 mkIIなどがあります。
話が脱線しましたので元に戻します。
タイマー使わず、手振れ補正ありという条件をそろえて、手持ちで撮影した場合(撮影条件2)と一脚を使って撮影した場合(撮影条件6)を比較してみましょう。
今度は手振れ補正機構の影響で、全体にぶれが少なくなっていますが、一脚を使うとぶれが少し低減される様子は、手振れ補正をしない場合と同様に観察できます。
また一脚を使った場合、左右方向のぶれが目立つ様子も観察できます。
ところで最近は、下端に小さな三脚が付いていて、かろうじて自立するタイプの一脚が販売されています。推測ではありますが、このタイプの一脚なら、左右方向のぶれも、かなり抑えられそうな気がしています。(このブログ記事を読まれた方で、自立するタイプの一脚を使われている方は、是非コメントをお願いします)
軽量のミラーレスカメラを使うなら、小型三脚でもぶれない
今度は三脚のぶれ防止効果について考えてみます。
タイマー2秒、手振れ補正なしという条件をそろえて、手持ちで撮影した場合(撮影条件3)、一脚を使って撮影した場合(撮影条件7)、小型三脚を使って撮影した場合(撮影条件9)、中型三脚を撮影した場合(撮影条件10)の4つの写真を比較してみます。
三脚を使って撮影した場合には、手持ちで撮影した場合や一脚を使って撮影した場合と比較して、明らかにぶれの少ない写真が得られました。
また、小型三脚を使った場合と中型三脚を使った場合を比較すると、明確な差は観察できませんでした。少なくとも、今回の様に軽量なカメラで撮影する場合は、小型三脚でも、カメラの振動を十分に抑えられている模様です。
ただし、重量のある一眼レフカメラを使う場合は、今回の様にいい結果が出るかどうかは分かりません。(私の持っている一眼レフカメラはフィルムカメラで、デジカメほど気軽に撮影できないため、今回の評価には使いませんでした)
また、今回は室内で撮影したので、三脚が風の影響で揺れる心配はありませんでしたが、屋外で撮影すると、ひょっとしたら、小型三脚の方が風の影響受けやすいのかも知れません。
小型三脚でも軽量カメラで撮った写真のぶれを抑えられるからといって、「軽量カメラで使うなら、小型三脚でも中型三脚でも一緒だ」と結論づけるは早計です。実際に撮影してみると分かるのですが、小型三脚では、カメラの構図を綺麗に決めるのが難しいのです。
構図を合わせる時は、雲台のネジを緩めて、カメラの方向を調節しますが、その調節時に、小型三脚だと脚部がしなるのです。本来は、雲台部分が滑って回転してほしいのですが、雲台の滑りが良くない事と、脚部の剛性が不足している事が原因で、脚部のねじれが生じます。カメラの背面液晶(またはファインダー)で、構図がちょうど良くなった事を確認して雲台のネジを閉めても、その後スプリングバックにより、カメラが、回転させた方向とは反対方向に、少し戻ってしまいます。
その点では、中型三脚を使った場合は、スムーズに構図決めができました。ですので、室内の撮影では、私は今後も中型三脚を使っていくと思います。
一方で小型三脚は、軽量なため、旅行や散歩に持っていくのに適しています。多少構図が決めにくいのが難点ではありますが、風景写真や集合写真などを撮影する場合は広角レンズを使う事が多く、今回の様に望遠レンズはあまり使いません。広角レンズの場合はスプリングバックの影響も少なく、あまり困らないかも知れません。
作りが華奢なのを承知で、気軽に持ち歩ける小型三脚を今回購入しましたが、ぶれを十分に抑圧できている事が確認できて、とにかく良かったです。
PENTAX Q-S1の手振れ補正の効果がはっきり観察できた
手持ちで撮影、タイマー使わずという条件をそろえて、手振れ補正しない場合(撮影条件1)と手振れ補正する場合(撮影条件2)の写真を比較してみます。
このように、手振れ補正の効果がかなり明確に出ています。
次に、一脚を使って撮影した場合について、手振れ補正の効果を確認します。
一脚で撮影、タイマー使わずという条件をそろえて、手振れ補正をしない場合(撮影条件5)と手振れ補正をする場合(撮影条件6)の写真を比較してみます。
一脚を使う場合でも、やはり手振れ補正の効果は明確です。
Q-S1を使った普段の撮影で、手振れ補正の恩恵を大いに受けていた事を、再確認しました。
手持ち撮影の場合は、2秒のセルフタイマーに明瞭な効果がなかった
一脚で撮影する場合は、シャッターを押す際の振動の影響を避けるため、普段から2秒のセルフタイマーを使って撮影しているのですが、手持ち撮影の場合でも、2秒のセルフタイマーを使う事に意味があるのかを考察してみます。
まずは、手持ちで撮影、手振れ補正なしという条件をそろえて、セルフタイマーを使わない場合(撮影条件1)とセルフタイマーを2秒に設定する場合(撮影条件3)の写真を比較してみます。
上の2枚の写真を比較すると、セルフタイマーを使う方が、若干ぶれが少ないような気もしますが、その差は明瞭ではありません。
次に、手振れ補正をする場合についても確認をしておきます。
手持ちで撮影、手振れ補正ありという条件をそろえて、セルフタイマーを使う場合(撮影条件2)とセルフタイマーを2秒に設定する場合(撮影条件4)の写真を比較してみます。
これら2枚の写真は、同程度ぶれている様に見えます。
手持ち撮影の場合は、セルフタイマーを使っても、ぶれが少なくなる事はなさそうです。
シャッターボタンを押す瞬間に、カメラが大きく揺れるような気がしていたのですが、そうでもなかったみたいです。
一脚を使う場合も、2秒のセルフタイマーに効果がなかった
一脚を使って撮影する場合についても、セルフタイマーの効果を確認しておきます。
まず、一脚で撮影、手振れ補正なしという条件をそろえて、セルフタイマーを使わない場合(撮影条件5)とセルフタイマーを2秒に設定する場合(撮影条件7)の写真を比較してみます。
両者に明瞭な違いはありませんが、セルフタイマーを使った方が、かえって若干ぶれが大きくなっている様にも見えます。
今度は手振れ補正を使った場合について確認します。
一脚で撮影、手振れ補正ありという条件をそろえて、セルフタイマーを使わない場合(撮影条件6)とセルフタイマーを2秒に設定する場合(撮影条件8)の写真を比較してみます。
やはり、セルフタイマーを使った場合の方が、かえって若干ぶれが大きくなっている様な気がします。
これらの結果から、一脚の撮影の場合は、セルフタイマーを使う意味はないといえそうです。
まとめ
持ち運びしやすい小型三脚を買ったのをきっかけに、一脚および三脚のぶれ低減効果を評価してみました。
評価の結果、一脚にはぶれ低減効果が認められるものの、三脚の様に劇的にぶれが減るわけではなく、特に横方向のぶれが大きく残る事が分かりました。
また三脚を使う場合は、少なくとも、今回の評価の様に軽量のミラーレス一眼カメラを取り付けて撮影するなら、小型三脚でも中型三脚でも同様に、十分なぶれ低減効果が観察できました。
ただし、評価の途中で、小型三脚を使うと、中型三脚の場合より構図が決めにくい事を経験しました。
今回はテストチャートを印刷してぶれの程度を評価しましたが、暗い部屋で点光源(小型のLEDなど)を撮影すれば、「一脚を使うと、手持ちの場合と比べてぶれが〇%に減る」などという様に、定量的な評価ができるかも知れないと思っています。
でもこれは、時間がある時に、ぼちぼちとやろうと思っています。
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