PENTAXのQマウントの標準単焦点レンズ、01 STANDART PRIMEを買いましたので、レビューします。
はじめに
01 STANDARD PRIMEは、PENTAX Qマウントの標準単焦点レンズで、色々なビューを読んでも、総じて評価が高いレンズです。
今回は、主に解像感を調べるために、01 STANDARD PRIMEと02 STANDARD ZOOMとで、撮り比べをしてみました。
01 STANDARD PRIMEの紹介
01 STANDARD PRIMEは焦点距離が8.5mm、解放絞りがF1.9の単焦点レンズです。
8.5mmの焦点距離は、QやQ10で使うと35mm換算で47mm相当の標準レンズになり、Q7やQ-S1で使うと39mm相当の、やや広角寄りのレンズとなります。
よく「50mmの標準レンズは、人が見る視界と違和感なく写る」などといいますが、実際には50mmのレンズは、人が自然に見る視界より狭い範囲しか写らない気がします。そういう意味で、Q-S1に付けたときの35mm換算で39mm相当の画角は、私にとって、とても自然に使える画角です。
01 STANDARD PRIMEは、F1.9と、Qマウントのレンズの中では、最も明るいレンズになります。06 TELEPHOTO ZOOMは、望遠ズームとしてはかなり明るいF2.8通しのレンズですが、それよりも絞り1段ちょっと分だけ明るい計算になります。
今回、01 STANDARD PRIMEを購入したのですが、その動機は、暗い室内で早いシャッター速度で撮影したかったからです。
元々持っていた02 STANDARD ZOOMは5~15mmと、画角では01 STANDARD PRIMEの画角を含むのですが、開放絞りがF2.8~4.5と暗く、室内で写真を撮ると、絞りを開放にして感度をISO 1600まで上げても、シャッター速度が例えば1/20秒などになってしまいます。
1/20秒で撮影すると、手振れ補正機能のおかげで、静止している被写体の場合、あまりぶれずに撮影できるのですが、動き回る子供を撮影すると、被写体振れがひどいことになります。その点、01 STANDARD PRIMEで露出を2段稼げるとしたら、シャッター速度が1/80秒となり、かなり被写体振れが抑えられそうです。
また、単焦点レンズというものを経験した事がなかったのも、購入のきっかけのひとつです。単焦点レンズを使うと、足を使って移動して、構図を決める習慣ができるので、カメラ技術が向上しやすいと、一般によく言われています。
01 STANDARD PRIMEの写真を次に示します。37gと、とても軽く、小さいレンズです。
レンズのフロントキャップは02 STANDARD ZOOMや06 TELEPHOTO ZOOMと共通の物です。スプリング式で、取り外しがしやすいです。
レンズのリアキャップも、02 STANDARD ZOOMや06 TELEPHOTO ZOOMと共通の物です。
このリアキャップは、レンズの裏に被せるだけの物で、バヨネットの爪が付いていません。以前の記事にも書きましたが、エツミのリアキャップの方が、きちんとキャップをねじ込めるので、使いやすいです。
同時に純正フードも買いました。
金属製のフジツボフードで、質感のいいフードです。レンズのフィルター取り付けネジ(直径40.5mm)にねじ込んで使います。真ん中の開口部には直径25mmのネジが切ってあり、そこにキャップをねじ込めるようになっています。
使ってみると、25mmのキャップを取り外すときに、うっかりフードごと取り外してしまう事があるので、若干の注意が必要です。また25mmのキャップはとても小さいので、紛失しない様にする必要があります。
ただ、バヨネット式のフードの様に、使う時に反対向けに付けなおす手間がないので、使いやすいです。
01 STANDARD PRIMEをQ-S1本体に取り付けた写真を次に示します。
レンズにフードを付けると、次の様になります。
ご覧の様に、レンズが小さいと、Q-S1の小ささがより活きます。これだと、カバンに放り込んでおいてもかさばりません。
黒のレンズフードが手に入りにくかったので、レンズフードはシルバーにしました。また、レンズもフードに合わせてシルバーにしました。でも、取り寄せてでも黒のフードと黒のレンズを手に入れた方が、黒いボディーとマッチしたかもしれません。
画質の評価
画質の確認のため、東寺の五重の塔を撮影してきました。撮って出しの4000×3000ピクセルのJPEG画像を載せておきます。五重の塔の写真は、クリックすると原寸(4000×3000)ピクセルで表示されます。
絞りを開放のF1.9にして撮影した写真を次に示します。
絞りが開放だと、やや周辺減光が見られますが、シャープに写っています。
F4まで絞ったのが次の写真です。
周辺減光がなくなり、すっきりした絵になりました。
F値が画質に及ぼす影響が分かりやすいように、画面の中央部(塔の上から2段目あたり)と画面の上部(塔の先端)の部分を拡大し、F1.9とF4で比較しました。
画面の中央部を見ると、解像感にあまり差はありませんが、F1.9よりF4の方がコントラストが強く出ている印象があります。
画面の上部を見ると、F1.9では、やや色収差が気になりますが、F4に絞ると収差は気にならなくなります。
比較のために、02 STANDARD ZOOMでも同じ場所から写真を撮りました。焦点距離は、目分量ですが8.5mmくらいにあわせ、この焦点距離での開放であるF4にしました。
01 STANDARD PRIMEと02 STANDARD ZOOMの比較をするために、両者の絞りをF4に揃えて、画面の中央部と上部を拡大してみました。
やはり、01 STANDARD PRIMEの方が解像感があるような気がしますが、その差は大きくありません。02 STANDARD PRIMEの方は絞りを開放で取っている事を考えると、結構健闘しています。
画面の上部で比較すると、01 STANDARD PRIMEの方がコントラストがやや強く、立体感が出ている気がしますが、解像感では、むしろSTANDARD ZOOMの方がやや優れている様な気もします。これは予想外の結果でした。
作例
私は撮影技術が未熟なので、どの程度参考になるのかわかりませんが、01 STANDARD PRIMEを使った作例を3点挙げておきます。
まとめと雑感
今回はQマウントの標準単焦点レンズ、01 STANDARD PRIMEのレビューをしました。
35mm換算で39mmという、標準よりやや広角よりの画角は、扱いやすく気に入りました。
一方で、02 STANDARD ZOOMとの画質差は、思ったより大きくないという、意外な結果になりました。
これからは、当初の予定通り、ズームレンズでは露出が不足する室内で、01 STANDARD PRIMEを活用しようと思っています。構成レンズの枚数が少ないせいか、同じF値でも01 STANDARD PRIMEの方が、02 STANDARD ZOOMよりも、やや明るく写るようです。
01 STANDARD PRIMEが02 STANDARD ZOOMより優れている所のひとつは、絞りの段数が増えた事です。02 STANDARD ZOOMしか持っていない時は、テレ端で、絞りがF4.5~F8の範囲でしか調整できませんでした。なんと2段未満です。(ワイド端ならF2.8~F8) そのため、シャッター速度優先モードで露出を決めると、すぐに絞りの調整範囲外になって困っていました。その点01 STANDARD PRIMEなら、絞りの範囲がF1.9~F8まで広がり、シャッター速度優先でも写真が撮りやすくなりました。
なお、今回の記事では比較写真を示しませんでしたが、01 STANDARD PRIMEの方が02 STANDARD ZOOMよりもF値が低い分だけ、よくボケます。ただし、1/1.7インチの小さい撮像素子では、APS-Cのカメラほどの大きなボケは得られません。(作例のお地蔵さんの写真と鉄道模型の写真は、01 STANDARD PRIMEで絞り開放で撮影したので、ボケ具合の参考になるかもしれません) ボケを活かした写真を狙うなら、望遠ズームの06 TELEPHOTO ZOOMを使う方がいい気がしています。
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