リフローで半田付けする場合は、私は必ず鉛フリー半田を使うようにしています。というのも、Arduinoとホットプレートを使ったリフロー装置(1号機)の製作(3)の記事の写真からも分かる様に、クリーム半田の印刷をしていると、結構手や服などにクリーム半田が付きやすく、鉛が入っている半田を使っていると、とても体に悪そうだからです。
ただ、鉛フリー半田は、その融点と、基板や部品が壊れる温度が大変近く、温度制御を厳密にしないと、うまく半田付けできません。それが、ホットプレートを使ったリフロー用の温度制御装置を自作しようと思ったきっかけです。
今回製作している温度制御装置の2号機では、温度プロファイルを選択する機能を付けました。せっかくなので、有鉛半田用の温度プロファイルも実装しようと思いました。
そこで、共晶半田(有鉛半田の中で最も融点が低い物)用の温度プロファイルをネット上で探してみたのですが、鉛フリー半田用の温度プロファイルばかり見つかって、共晶半田用の温度プロファイルはなかなか見つかりませんでした。
色々さがしてやっと見つけたのが、PVZ3シリーズという、村田の表面実装用半固定抵抗のデータシート(リンク先はPDFファイル)です。
このPDFファイルを見ると、鉛フリー半田と共晶半田の両方の温度プロファイルが載っています。
上記PDFファイルからSn-Ag-Cu系の鉛フリー半田用の温度プロファイルを引用します。
標準プロファイルにおいて、ピーク温度が245±3℃に設定されているのが分かります。
また、同じPDFファイルから共晶半田用の温度プロファイルを引用します。
ピーク温度は230℃に設定されている事が分かります。
注:”230max.”と書かれているので、最大でも230℃以内という意味にも取れますが、限界プロファイルではなく、標準プロファイルで最大値を定めるのはちょっと変です。
ピーク温度が15℃違うのですが、Sn-Ag-Cu系の鉛フリー半田の融点が217℃で、共晶半田の融点が183℃と、34℃も違う事を考えれば、ピーク温度の差は意外と小さい気がします。
リフローの温度プロファイルを考える上で、半田の融点も大事なのですが、フラックスを活性化するための温度と時間も考慮する必要があります。そういう意味では、半田の融点ぎりぎりの温度を狙うのは問題があるのかも知れません。
有鉛半田を使ったリフローは、やった事がないですし、この先も多分やらないと思いますが、先ほどのPDFファイルを参考に、有鉛半田用の温度制御パラメータを決めてみたいと思います。
経験上、ホットプレートでリフローをすると、基板の裏側(ホットプレートに触れている側)が部品よりも熱くなり、部品のデータシート通りに制御すると、基板がダメージを受けやすい事が分かっています。先ほどのPDFファイルよりもちょっと温度を下げて設定してみたいと思います。
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