はじめに
PENTAX Q-S1をはじめとするQマウントレンズには、現在マクロレンズがありませんので、Qシリーズは接写に弱いカメラなのですが、クローズアップレンズを使う事で、接写してみましたので、報告します。
接写リングを使っている人がいるが・・・
私は電子部品の接写写真を撮る事が多いのですが、いままで十分に接写できなくて困っていました。ルーペのレンズをカメラのレンズの前に引っ付けて撮影すると、それなりに接写できるのですが、色収差が出て画質が今一つで、何か他にいい方法がないか探していました。
ネット検索すると、Qマウント用の接写リングを輸入して使っていらっしゃる方が何人かいらっしゃいました。
接写リングとは、カメラのボディーとレンズの間に挟むリング状のスペーサーの事です。レンズと撮像素子の距離を離すことで、本来の最低撮影距離よりも短い距離にピントを合わせられるようにします。
Qマウント用の接写リングはamazonでも買えるのですが、結構値が張ります。
ebayで個人輸入すれば、50ドルくらいで買えるのですが、ebayをまだ使ったことがなく、躊躇していました。
クローズアップレンズという物がある事を発見
ある日、ネットで、「クローズアップレンズというのが結構接写に使える」という評判を読んだので、気になって調べてみました。
クローズアップレンズというのは、簡単に言うと凸レンズの事です。フィルターと同じねじが切ってあり、カメラのレンズの前に装着できる様になっています。クローズアップレンズを使うと、本来ピントの合わない近い距離まで寄る事ができる様になりますので、その分、被写体が大きく写ります。
要するに、原理的にはカメラのレンズの前に虫眼鏡を押し当てたのと同じですが、虫眼鏡よりも良質のレンズが、カメラのレンズに固定できる様になっている点が違います。
クローズアップレンズにはいくつかメーカーがあるようですが、ケンコーが比較的色々なクローズアップレンズをラインナップしています。
ケンコーのクローズアップレンズには、No.1からNo.10までの数字が振られています。この数字は、レンズの度を表わしています。例えばNo.4のレンズなら、度は4Dとなります。
なお、Dはディオプトリと読みレンズの度を表わす単位です。焦点距離をm単位で表わした物の逆数です。4Dのレンズなら、焦点距離は1/4=0.25m=250mmとなります。
Amazonでケンコーのクローズアップレンズの値段を調べてみると、せいぜい2千円程度で買えるみたいなので、試しに買ってみる事にしました。どの程度の度のレンズがいいのかが分かりませんでしたが、Amazonのレビューを参考にNo.4のレンズを買う事にしました。
なお、ケンコーのクローズアップレンズにはMC(マルチコート)タイプとAC(アクロマート)タイプがあります。
MCタイプは、1枚のレンズで構成されています。そのため、色収差が若干出ます。
ACタイプは2枚のレンズを貼り合わせて作ってあり、色収差が改善されています。
クローズアップレンズを買った
せっかくなのでACタイプのクローズアップレンズを買おうとしたのですが、MCタイプは自分のカメラのレンズに適合する40.5mmの製品があるのに、ACタイプでは49mm以上の製品しかありませんでした。そこで、ステップアップリングで40.5mmから49mmに直径の変換をする事にしました。
結局、AC No.4のクローズアップレンズと40.5mm-49mmのステップアップリング、合せて2千円ちょっとの買い物になりました。
購入したクローズアップの写真を次に示します。
結構厚みがあり、枠の幅が13mmほどあります。
購入したステップアップリングの写真を次に示します。
このステップアップリングは、たった390円だったのですが、ねじ溝の加工精度も良く、十分に使えました。
クローズアップレンズとステップアップレンズを、Q-S1と02 STANDARD ZOOMに装着すると、次の様な感じになります。
私は02 STANDARD ZOOMと06 TELEPHOTO ZOOMの2本のレンズを持っているのですが、クローズアップレンズを装着して、一番大きく写せる06 TELEPHOTO ZOOMのテレ端で撮影すると、ちょうど1円玉が画面いっぱいに写せます。
細部まで写っていますし、色収差も出ていませんし、良好な写りになっています。
同じ条件で電子部品(1/4Wと1Wの抵抗)を撮ると、次の様になりました。
下の方に写っている定規を見れば分かるのですが、画面にひずみがありません。
現在、電子工作の入門者向けの本を執筆中で、電子部品をきれいに撮影して載せたかったのですが、これだけ鮮明に写れば十分です。
06 TELEPHOTO ZOOMにクローズアップレンズを付けて、白梅を撮ってみました。
一輪の白梅が、画面いっぱいに写っています。
クローズアップレンズの効果を評価
色々な条件でミニカーを撮影してみて、クローズアップレンズの効果を確かめてみます。
02 STANDARD ZOOMのワイド端の場合
02 STANDARD ZOOMのワイド端(5mm)で、クローズアップレンズを使用せずに、一番寄って撮影すると、次の様になります。
同じ02 STANDARD ZOOMのワイド端で、クローズアップレンズを使って、いっぱいまで寄ると、次の様になります。
先ほどの写真よりは大きく写っていますが、効果はそれほど大きくはありません。これは、02 STANDARD ZOOMが、元々比較的寄れる(カタログ上は30cmまで)レンズだからです。元々被写体に寄れるレンズの場合、クローズアップレンズの効果は大きく出ません。
02 STANDARD ZOOMのテレ端の場合
次に、02 STANDARD ZOOMのテレ端(15mm)で、クローズアップレンズを使わずに撮影すると、次の様になります。
同じく02 STANDARD ZOOMのテレ端で、クローズアップレンズを使うと次の様になります。
06 TELEPHOTO ZOOMのワイド端の場合
次に、レンズを06 TELEPHOTO ZOOMに替え、ワイド端(15mm)でクローズアップレンズを使わずに撮影すると次の様になります。
06 TELEPHOTO ZOOMの最低撮影距離は1mで、離れたところから撮影しているので、ミニカーが小さく写っています。
同じ06 TLEPHOTO ZOOMのワイド端で、クローズアップレンズを付けて撮影すると、次の様になります。
06 TELEPHOTO ZOOMでは、クローズアップレンズの効果がかなり大きく出ている事が分かるでしょう。クローズアップレンズを装着すると、20cmちょっとまで寄れるようになるからです。撮影していても、クローズアップレンズを装着すると、かなり被写体に近づける事が、実感として分かります。
06 TELEPHOTO ZOOMのテレ端の場合
06 TELEPHOTO ZOOMのテレ端(45mm)で、クローズアップレンズを使用せずに撮影すると、次の様になります。
同じ06 TELEPHOTO ZOOMのテレ端で、クローズアップレンズを使うと次の様になります。
バスの前面が、画面いっぱいにまで拡大されました。
まとめ
今回、PENTAX Q-S1にクローズアップレンズを装着し、マクロ撮影を試してみました。元々マクロ撮影が弱かったQマウントレンズですが、マクロレンズを装着すると、良好な画質でマクロ撮影が楽しめる様になりました。
特に06 TELEPHOTO ZOOMに装着した場合、クローズアップレンズの効果が大きく、望遠マクロレンズの代わりに使える事が分かりました。
出費はわずか約2千円で、仕事で行う電子部品の撮影が綺麗にできる様になったので、非常に費用対効果の高い買い物になり、満足しています。
- 作品撮影用にPENTAX Q-S1を買った
- PENTAX Q-S1とお散歩
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- ポポンデッタの喫茶店で鉄道模型を撮影した
- 鉄道写真でC-PL(円偏光)フィルタを使って、効果を実感した
- PENTAX Q-S1にミノルタのオールドレンズを付けてみた
- PIXTAで公開しているしなぷすの写真
- 写真ACで公開しているしなぷすの写真
- しなぷすがストックフォトで公開している電子工作関係の写真・イラスト
- しなぷすがストックフォトで公開している駅関係の写真の一覧
はじめまして、初心者なのですが
こちら、装着するときはどのような順番で
取り付けたらいいですか?
本体|02|ステップアップリング|クローズアップ
であってますか?(´;ω;`)
はい、その順で合っています。レンズのフィルタ装着用ネジにステップアップレンズをねじ込んで、ステップアップレンズの反対側の面にクローズアップレンズをねじ込みます。
はじめまして。
カメラ初心者でして、こちらの記事を参考にさせていただきました。
撮影をするたびに、もっと良い写真を撮りたいと思うようになり、しなぷす様の記事まで辿り着くことが出来ました。
また何か参考にさせて頂く事もあるかもしれませんが、宜しくお願いします。
コメントをありがとうございました。私のブログ記事が、伝助さんの写真撮影の参考になっていたら幸いです。これからもよろしくお願いします。