前回の記事で、AliexpressでKマウント用の55mmのリバースアダプターを買った話をしました。
今回の記事は、その続編です。買ったリバースアダプターを使って、どの様な写真が撮影できたかについてお話しします。
届いたリバースアダプター
届いたリバースアダプターは、次の写真の様に、ビニール袋に入っていました。袋には、PK-55mmのラベルが貼ってありました。
中身を取り出すと、次の様な状態でした。
まず、レンズのフィルター枠にかみ合わさる側の面の写真です。
次に、カメラのマウントとかみ合わさる側の面の写真です。
質感は良く、工作精度も十分な様です。これが送料込みで1ドル50セントとは驚きです。材質は、真鍮かアルミの削り出しでしょうか?樹脂ではありません。
リバースアダプターでレンズをカメラに装着する
このリバースアダプタを取り付けるレンズはMINOLTAのMD ZOOM 35-70mm 1:3.5というレンズです。
このレンズに先ほどのリバースアダプターを取り付けると、次の様な状態になります。
さらにこれを、PENTAX K-S2のマウントに装着すると、次の様になります。
この状態でマクロ撮影ができる様になります。ズームリングを広角側(35mm側)に回すほど撮影倍率が上がり、被写体が大きく写ります。
ピントリングは、回しても、撮影倍率やピントに大きな影響がない様です。
絞りの調整については、レンズを反対向きに付けた都合で、カメラ側が絞りをコントロールできなくなってしまっています。そのため、レンズに付いている絞りリングで絞りを調整する事になります。
レンズの先端から、絞り調整用のレバーが飛び出しているので、これを被写体にぶつけない様に気を付ける必要があります。
撮影倍率と画質の評価
それでは、実際に何かを撮影してみましょう。
まずは、撮影倍率を評価するために、1mm間隔の目盛りがある定規を撮影してみました。
ズームリングは35mmの位置に固定し、ピントリングは無限大の位置に固定して撮影しました。
絞りについては、開放のF3.5から最小絞りのF22まで、1絞りごとに撮影しました。なお、F値は絞りリングの値を直読した物で、レンズが反対向きに付いている状態の正確な光学的なF値になっていない可能性があります。
センサ感度はISO100で固定し、F値に合わせてシャッター速度を変える事で露出を一定にしました。
以下に示す定規の写真をクリックすると、JPEG取って出しの5472×3648画素の大きなファイルが表示されます。
まず絞り開放のF3.5の写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
次はF5.6の写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
次は、F8の写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
次は、F11の写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
次はF16の写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
最後に、最小絞りのF22で撮影した写真です。
上の写真の中央部を等倍に切り出すと次の様になります。
ピントがとても薄い(被写界深度がとても浅い)ために、ピント合わせには苦労しました。完全にピントが合っていないかもしれないので、その分は割り引いて写真を見てください。
撮影倍率について考えてみます。定規の目盛りを読むと、画面の右端から左端まで、12mm弱の範囲が写っている事が分かります。一方で、K-S2のイメージセンサの幅は、リコーが公表している仕様によると、23.5mmです。よって、撮影倍率は、23.5÷12≒2倍となります。さらに、K-S2がAPS-Cセンサを使っている事を考慮し、フルサイズに換算すると、撮影倍率は約3倍相当になります。この様に、等倍以上のマクロ撮影ができている事が分かります。
F値による描写の違いを見ると、開放のF3.5では描写がやや甘く、F5.6、F8と絞ると、描写が良くなります。逆に最小絞りのF22まで絞ると、やや回折ぼけが出ています。F8~F11くらいで撮ると、高い解像度が得られるようです。
本当は立体物も取って、被写界深度の評価もすればよかったのですが、今回はやっていません。
撮影サンプル
次は、身近にあるものを色々撮ってみましょう。
まずは、いつもお世話になっているお金を撮影しました。次の写真は1円玉の写真です。この写真はISO100、F8で撮影しました。
上の写真の中心部分を等倍に切りだすとこうなります。
幹の真ん中の部分を切り出して、輪郭がないので、訳が分かりませんね。(^^;; 使用時に付いた表面の傷が拡大されて見えます。
1円玉の直径は20mmもあるので、当然画角からはみ出してしまします。ENTAX Q-S1に06 TELEPHOTO ZOOMとNo.4のクローズアップレンズを付けて以前に撮影した1円玉の写真と比較すると、かなり大きく撮影できる様になった事が分るでしょう。
次に、千円札の野口英雄の右目付近を撮影しました。
上の写真の右目の瞳の部分を等倍に切り出すと次の様になります。
瞳が同心円で描かれている事が分かりますね。
次に、一万円札の福沢諭吉の右目付近を撮影しました。
上の写真の右目の瞳の部分を等倍に切り出すと次の様になります。
瞳が網目で描かれているのが分かりますね。
どうでもいい事ですが、私は、福沢諭吉より野口英雄の方が、つぶらな瞳で可愛いと思います。等倍に切り出すとさすがに拡大しすぎですが、目全体がちょうど入るくらいにトリミングすると、ほら、キュートでしょ?
元々どうしてマクロ撮影を始めたのかと言えば、小さな電子部品を綺麗に撮影して、自分のサイトに載せたいからでした。そこで、今度は1/6Wカーボン皮膜抵抗(電子部品の一種)を撮影してみました。
露出が少し足りなかったので、写真の明るさの調整だけしましたが、リサイズなどはしていません。
これらの写真は、F22に絞り込んで撮影しました。抵抗の様に立体物になると、絞りを絞り込んで被写界深度を深くしないと、抵抗のカラーコードとリード線に同時にピントが合わないのです。回折ボケは出てしまいますが、仕方がありません。
被写界深度の深さと回折ボケの少なさを両立しようとするなら、深度合成をする方法がありますが、私のカメラには、自動的に深度合成してくれる機能はありません。手動で震度合成をするとすれば、ピントを少しずつ動かしながら何枚か撮影し、そのあとフォトレタッチソフトで、各コマのピントの合っている部分を抜き出して合成する事になりますが、そんな面倒くさい事はしたくありません。
回折ボケが出ている条件で撮影しているとはいえ、2本の抵抗ともカラーコードは綺麗に解像しており、上の抵抗のカラーコードは橙・橙・茶・金で330Ω±5%、下の抵抗のカラーコードは紫・緑・茶色・金で750Ω±5%という事がはっきりと読み取れます。
今回リバースアダプタで組んだカメラのシステムは、このくらいの大きさの部品の撮影には、十分な性能を発揮するようです。
ワーキングディスタンス
マクロ撮影時のワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)を定規で測ると、おおむね5cmでした。被写体とレンズが近いので、被写体にレンズをぶつけない様に注意が必要です。
また、ライティングの角度に注意をしないと、カメラやレンズの影が被写体にかかってしまいます。私の場合は、自作の撮影ボックスを使ってライティングしています。
撮影時は、下の写真の様に、机の上に撮影ボックスを置き、その中に被写体をいれて、上からカメラでのぞき込む形で撮影しています。(机の上が散らかっていてすみません)
まとめ
Aliexpressで買った激安リバースアダプターで、MINOLTA MD ZOOM 35-70mm 1:3.5をPENTAX K-S2に装着し、マクロ撮影をしてみました。
その結果、約2倍(35mm換算で約3倍)の撮影倍率が得られ、小型の電子部品を撮影するという当初の目的は達成しました。
ワーキングディスタンスは約5cmで、十分に長いとは言えないものの、工夫すれば照明が行える距離がありました。
レンズ交換などの手間が少しかかるものの、これで綺麗に部品を撮影できる様になり、当面、マクロ撮影の方法の探求はしなくても良くなりそうです。
注:撮影倍率がここまで高くなくていい場合は、Q-S1と06 TELEPHOTO ZOOMとクローズアップレンズを使う方が、簡単にマクロ撮影ができます。被写界深度が深くて、ピントが合わせやすいです。やっぱりセンササイズの小さいカメラはマクロ撮影に向いています。
今までは、タムロンの銘玉SP AF90mm F2.8 Di MACRO 1:1(通称タムキュー)を欲しかったのですが、優先順位はかなり後退しました。次に買うのはDA 35安(smc PENTAX-DA 1:2.4 35mm AL)かな?Kマウントの単焦点レンズは持っていないし。
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