写真の背景用にポリプロピレンのシートを買った

私は、電子基板や電子部品などの写真を撮影する場合が多いのですが、撮影時の背景にするために、ポリプロピレン製の無地のシートを買いました。それが使いやすかったので、報告します。

購入した3色のポリプロピレン製シート

写真撮影は背景の選択が重要

写真撮影する場合、撮影したい被写体に気を配るのと同程度に、背景にも気を配る必要があります。

例えば、庭に咲いている綺麗な梅の花を撮影するケースを考えてみます。初心者は、被写体の梅の花の事ばかりを考えて写真を撮りがちです。そのため、後で撮った写真をパソコンで改めて見てみたら、背景に家のベランダが写っていて、しかも洗濯物が干してあったなんて事がよくあります。梅が綺麗でも、背景が洗濯物では雰囲気が台無しです。

背景に嫌なものが入る場合は、撮影のアングルを変えて、無難な背景になる様に工夫したり、どのアングルでも嫌な物が写真内に入ってしまう場合は、被写界深度を浅くして(絞りを開きピントの合う範囲を狭くして)、撮りたい被写体にのみピントを合わせ、背景をぼかしてしまったりします。

写真撮影に慣れないうちは、被写体と背景の両方に気を配るのが難しく、ファインダーをのぞいたら(あるいは背面液晶を見れば)嫌な背景が写りこんでいたはずなのに、撮影時は全く気付いていない事もあります。

私もPENTAX Q-S1を買った頃は、面白い被写体を見つけると、あまり背景の事を気にしないでシャッターを切っていましたが、最近では、カメラを操作する前に、肉眼で背景をよく観察する癖が付きました。

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ブツ撮りでは無背景で撮影する場合が多い

風景写真の場合、撮影者は背景をコントロールできません。「あの電柱がなければいい景色が撮れるんだろうけどな」と思っても、実際に電柱を引っこ抜くわけにはいきません。せいぜい、電柱が写真に写りこまない様に、撮影のアングルを工夫するくらいの事しかできません。

しかし、文房具、腕時計、電子基板、フィギュアモデルなどの小物の撮影(いわゆるブツ撮り)の場合は、撮影者が背景をコントロールできます。被写体を置く机が古くて汚くても、その上に綺麗な紙を敷けば、簡単に白一色の無背景(模様のない1色の背景)で撮影する事ができます。

例えば机の上に直接腕時計を置いて撮影する場合、仮に机がきれいでも、写真を見る人の視線が、肝心の腕時計よりも、机の木目に取られてしまう事もあります。そのためブツ撮りでは、無背景で撮影する場合が多のいです。無背景なら、必然的に視線が被写体に集中します。

参考:余談になりますが、amazonの出店者には、商品のサムネイル画像を、白色の無背景で撮影する事が義務付けられているという話は、有名です。色の薄い商品の場合、白い背景では商品が目立たないため、そういう商品を扱う出店者は、いかに撮影技術で商品を目立たせるかに神経を使っています。楽天市場で「Tシャツ」で検索すると、色々な背景のサムネイル画像が並ぶのに、amazonで同じ事をすると、白色無背景のサムネイル画像ばかり並ぶのが面白いです。

楽天市場で「Tシャツ」を検索した例amazonで「Tシャツ」を検索した例

写真素材素材【写真AC】

無背景でブツ撮りする場合、机に何を敷いたらいいか?

無背景でブツ撮りする場合、無地の紙を机の上に敷くのが簡単です。私場合、回路図を印刷するために、A3のコピー用紙を常備しているので、A3サイズの白背景なら簡単に調達できます。

また、電子基板を撮影する場合は、無地の紙を敷いた、専用の撮影ボックスを作ったので、それを使っています。無地の背景と、白色LEDの照明が同時に手に入るので、撮影ボックスを作ってから、撮影時間をかなり短縮できる様になりました。

基板専用撮影ボックス

ただ、場合によっては、撮影ボックスやA3のコピー用紙では対応できない、大きな被写体を取らなければならない事があります。

先日からArduino starter kit with Logic Analyzerという製品のレビュー記事を書いているのですが、製品に付属している機器や部品が多く、撮影するのに苦労しました。

A3サイズの白いスチレンボード2枚をテープで貼り合わせて作ったレフ板の上に部品類を並べたのですが、下の写真の様に、レフ板の大きさが足りず、机が直接写っている部分が残りました。

レフ板を背景にして撮影した写真(レタッチ前)

最終的には、PhotoDirector 9でフォトレタッチして、次の様な写真に仕上げたのですが、机が写っている部分を消すのは、かなり時間がかかる作業でした。

レフ板を背景にして撮影した写真(レタッチ後)

このままでは写真撮影(というよりは、その後のフォトレタッチ)に時間がかかりすぎて、記事が進みません。そこで、大きな被写体に対応できる背景について考える様になりました。

大きな背景の候補

背景布

amazonでは撮影背景に使う無地の布(背景布)が色々出品されています。価格は千数百円から2千数百円くらいで、お財布にも優しそうです。

ただ、amazonのレビューを読んでいると、折りたたむ時に折り目が付くのが問題の様です。アイロンで折り目は撮れるみたいですが、撮影するたびにアイロンがけするのでは、時間のロスが大きいです。

また、汚れた商品が届いたというレビューもありましたし、大きさが1.8×2.8mと、大きすぎるのが気になりました。この大きさなら人物撮影にも対応できるのでが、ブツ撮りには少し大きすぎます。

背景紙

amazonには背景紙というものも出品されています。文字通り紙でできた製品もありますし、PVC(ポリ塩化ビニル)のシートの製品もあります。いずれにせよ、背景紙はロールされていて、折り目がないのが特長です。

紙の製品は品質がよさそうです。あえて言うと、汚れると使い捨てになってしまうのがもったいないでしょうか。

PVCの製品は、少しぐらい汚れても拭き取ればよい所が利点です。一方で、巻き癖がついて、机の上に引いてもまっすぐに伸びない点が欠点です。反対向きに巻きなおしてしばらく放置すると巻き癖が取れるらしいですが、手間です。

シーツやテーブルクロス

amazonで背景布や背景紙を買うのもいいのですが、自分の目で確認してから商品を買えないのが不安でした。

別に写真撮影専用の布や紙でなくてもいいので、シーツやテーブルクロスで撮影に使えそうな物があるかもしれないと思い、妻に車を出してもらって(私はペーパードライバー)ニトリに連れて行ってもらいました。

正確な値段は忘れましたが、900円台で白いシーツが売られていました。値段は十分に安く、また光を透過しにくい生地でした。(光を透過しやすい生地だと、机が透けて見える事があります) シーツなので、ブツ撮りにはちょっと大きすぎるところが難点です。

また、120×120cmの正方形の無地のテーブルクロスが、600円台で売られていました。ただ残念ながら、真っ白なテーブルクロスはなくて、アイボリーホワイトになってしまいます。シーツよりも厚手で、光は透過しにくそうでした。

シーツもテーブルクロスも気に入っていたので、それらの内どちらかを買って帰ろうかと半ば思っていたのですが、妻が「コーナン(ホームセンター)にも何かあるかも」といったので、コーナンにも連れて行ってもらいました。

結局ポリプロピレンのシートに

コーナンにはスチレンボードやアクリル板、PVC板など、色々使えそうな素材があったのですが、最終的にポリプロピレンのシートが気に入って、それを買う事にしました。シーツやテーブルクロスは、折り目が付く点と、汚れを拭き取る事ができない点で、買うのをやめました。

ポリプロピレンシートの色は、白、シルバー、黒の3色を買いました。表記はシルバーですが、実際の色はグレーです。

購入した3色のポリプロピレン製シート

1枚当たりの価格は税抜き980円と、お手頃でした。汚れても拭き取ればいい点も魅力的でした。

アクリルサンデー㈱という会社の製品で、大きさは565×980mm、厚みは0.75mmです。ブツ撮りに使いやすい大きさです。

ポリプロピレンシートのタグ(1)ポリプロピレンシートのタグ(2)

厚さが薄いため、簡単に曲げる事ができます。

ポリプロピレンシートを曲げる様子

ロール状に巻いて保管する事もできますが、巻かずに保管する方が、巻き癖が付かないので良さそうです。565×980mmの大きさなら、普段は本棚の裏にでも隠しておけば、邪魔になりません。

多少光沢があるのが気になりますが、それほどひどくはありません。裏と表で面の粗さが違いますが、粗い面を使う方が、光沢が目立ちません。

妻がホームセンターに連れて行ってくれたおかげで、いい買い物をする事ができました。感謝しています。

家に帰ってからamazonで検索してみたら、色違いの製品が出品されていました。

作例

A3のコピー用紙と、買って来たポリプロピレンシートを使って、実際に撮影を行ってみました。

まず、A3のコピー用紙を使った作例を示します。

A3のコピー用紙を使った作例

背景のコピー用紙が小さすぎて、机が見えてしまっています。被写体の位置を調整すると改善しますが、机を完全に隠す事はできません。

次に、白いポリプロピレンシートを使った作例を示します。

机が完全に隠れています。フォトレタッチで少し画面を明るくすれば、それだけで使える写真になりそうです。

参考:露出不足の写真は、フォトレタッチで補正できますが、逆に露出オーバーで白飛びした写真は、フォトレタッチで補正できません。そのため、白飛びが起こらない様に、意図的に露出不足気味に撮影しています。

次に、グレーのポリプロピレンシートを使った作例を示します。

 グレーのポリプロピレンシートを使った作例

被写体の部品箱が白っぽい色なので、白いポリプロピレンシートを背景にすると、部品箱が目立たないのですが、背景を灰色にすると、少し見やすくなった気がします。

最後に、黒いポリプロピレンシートを使った作例を示します。

黒いポリプロピレンシートを使った作例

背景を黒くすると、より部品箱が見やすくなりました。

最後の写真をフォトレタッチで明るく仕上げると、次に示す様に綺麗な写真になります。

黒いポリプロピレンシートを使って撮影した写真をレタッチした物

ポリプロピレンシートを使ってもフォトレタッチの作業がなくなるわけではありませんが、机を消す作業がなくなる事で、フォトレタッチの時間が激減しました。

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投稿者: しなぷす

電子工作サイトしなぷすのハード製作記の管理人です。フリーランスのエンジニアですが、大学の非常勤講師もやっています。

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